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バキッ
「!?」
墓場近くの人気のないベンチにぼーっと腰かけていると足音にパッとふりかえるとそこには潤の姿が
「潤くん…どうした…の?」
「別に」
いつもの機嫌の悪そうな声が聞こえてきた
「そう…あの…私…行くね…」
「ああ」
何も言わないけれど後ろにいる潤に逃げるようにその場を後にする
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…どうしてついて来るの」
何も言わずに後ろをついてくる俺に振り向かずに聞いている
そりゃあ気になるよなでも
「別にどこ行こうが俺の勝手だろ」
「…」
もう一度歩き出す
もちろん俺も
「もう!なんなの!ついて来ないでよ!」
やっとこちらを向いて怒ってきた
けど目は合わない
合わないけれど目に溜まってるもんは丸見えだ
「約束なんてねえんだろ
家帰るぞ」
「潤くんには関係ない
放っておいてよ」
「あーもう!お前面倒くさいんだよ!てか辛気臭い!」
そう言って俺はポケットに入れていた物をアイツに押し付けた
「誕生日プレゼント」
「え?」
「ダサくても文句言うなよ
陽菜がどうしても全員一人一つ用意しろってうるさいからしゃあなし用意したんだからな」
あーくそっそうじゃない。
今日はそうじゃなくて。
ちゃんと言わないとだろ。
俺は1回深く息をする
「…俺は渡したぞ
お前にプレゼント用意して今渡せてる
何回も続くわけねえだろ
続くわけがねえんだ
だから毎年俺が渡して証明してやる
そんな面倒くさいこと考えないようにな」
「潤くん…ごめんなさい…ありがとう…」
「帰るぞ」
結音の目に溜まっていた物が溢れていく
けどこうなると俺はどうしていいか分からない
だから結音の手を引っ張り黙って歩いて帰るしか思いつかなかった




