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「聞いてる潤?」
「え?ああ悪いボーっとしてた」
待ち合わせ場所に着くと既に奏斗が付いていて
映画を見たいと言い出した隆が居ないのでどうするか話してたが
どうも陽菜から出された難題の指令が頭の離れず話の最中でも考えてしまった
「眠いの?
だったら今日帰る?
隆も居ないし別に俺らあの映画興味あるわけでもないし」
「いやいいよ
まあ映画はいいけど適当にぶらつこうぜ」
「そう?
なら潤はどこか行きたい所とかある?」
「行きたい所なー」
遊べる所を考えるも案外外で遊ぶ場所って無いよな
ボーリングとかゲーセンとかあるけど2人じゃ人数的に盛り上がりにかけるし
となると後は買い物ぐらいか
なんか今欲しい物あったけか?
「…なあ女子が貰って喜びそうな物ってなんだと思う?」
別に俺が欲しい物ではないけど買わないと陽菜が煩いだろうし
それに父さんもからかわれそうで面倒くさいしな
「潤彼女できたの?」
「ちっちげーよ!!
隆みたいな事いってんなよな!!
アイツが彼女なわけねえだろ!!」
「ああ結音か」
「っ…結音だって言ってないだろ」
「潤は分かりやすいんだよ
誕生日かなにか?」
「…ああ」
「そうなんだ
まあ俺はそう言うの疎いから分からないな
でも大体その子の趣味とか好みに合わせて決めるんじゃないの?」
「趣味に好みか…」
奏斗のアドバイスでアイツの趣味を思い出す
ってそんなの知らねえよ!!
てか知るわけねえじゃん興味も無いし!!
あーどうすっかな好みも分かんねえし
まあそれっぽいの選べばいいか
じゃあ俺の持ってるアイツの情報は
・ギター弾ける(ベースも)
・歌まあまあ上手い
・飯もまあまあ上手い
・本屋でバイトしてて本を結構読んでる(奏斗談)
…うわ少ねえ
1ヶ月一緒に暮らしてこれかよ
ある意味すげえな俺
どれだけアイツに興味が無いかが分かるわ
しゃあねえよなこの情報から適当に探すか
取り敢えず
「奏斗、本屋行こうぜ」
本でも適当に見繕うため行き先を本屋へと決めた
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「…本って何を基準に選べばいいんだ」
適当に選ぼうと思っていたが普段漫画か雑誌しか読まない俺に小説を選ぶのは難しいものだった
「なあ奏斗っていつもどうやって本選んでんの?」
「そうだね好きなジャンルとか好きな作家とかかな」
「そんなの知らねえ…」
「結音は純文学より大衆文学の方が好きだよ」
「…大衆文学ってなんだけ?」
「現文とかで習う純文学みたいな堅苦しい話じゃなくて
推理物とかSFとか感動する話とかストーリーの面白さ重視みたいなやつ」
「あーなるほど」
「まあ好みなだけで結音は純文学も読んでるけどね
だからそんなに考えこまなくても何でも読むと思うよ」
「そうか…
なあこれって読んだことあるか?」
「うんあるよ面白かった
結音も読んでた」
「っ…じゃあこれとか」
「面白かったって結音が言ってたよ」
「……これは?」
「俺が結音に薦めて貸した本だね」
「………こ…れ」
「それ結音が今読んでる本だよ」
「だー!!
全然決まらないじゃねえかよ!!
アイツの読んでない本無いのかよ!!」
「潤のチョイスが神がかってるだけだよ
読んでない本なんていくらでもあるよ」
「あーもう奏斗なんか選んでくれよ」
「そう言うのは自分で選ぶ物だと思うけど」
「それは…そうだけどさ」
「もうちょっと頑張って選んでみなよ
俺はちょっとこれ買ってくるから」
そう言って奏斗は俺を置いてさっさと本を3冊も持ってレジへと歩いて行った
あーどうすっかな
持ってるの貰っても興味ないの貰ってもしかたねえだろうし
小説以外も見てみるか…
小説のコーナを離れて本屋の中をグルっと回ってみる
漫画ってのもありか?
でも1,2冊貰っても仕方がねえよな
俺なら貰うなら全巻欲しいし
全巻となると金掛かり過ぎるし却下だな
参考書…
貰って嬉しい奴なんてガリ勉だけか
でもアイツってガリ勉か?
候補としてはありか
あー料理本いいかもなアイツ料理するし
まあ家事だけどな
でもなんか大抵のもんは作れる気がするしいらねえか?
美容本…
アイツが可愛くなっても中身がな残念すぎてモテねーな
アイツにとって無意味な本だな
本屋を一周した結果
何も見つからなかった
難しいな本って
「あっこんな所に居た
決まったの?」
「…別の店行こうぜ」
「ふっ了解」




