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俺だけが  作者: パー子
第四章 誕生日
44/52

俺の学校の軽音部は3学年合わせて30人ぐらいの部員が居る

全員での活動は週1昼休みのミーティングと2ヶ月に1回ペースであるライブだけと言う緩い部活である

緩い部と言うわけか部員には色々な奴が居る

でも比較的賑やかな奴の集まりであって大人しい奴は珍しい

そう今俺らの目の前に立たされている奴みたいな奴はほぼ皆無だ




「2年3組米倉結音です…

よろしくお願いします…」



「えーとっそれだけ?

やってみたいパートとか好きなバンドとかも言ってくれると嬉しいんだけど」



「すっすみません…」

いつもの様に俯き加減で小さな声で自己紹介した結音

こんな根暗のキャラ軽音部に居るわけも無いので

いつも煩い部員の奴らも驚いて言葉を失っているようだ

それに隣に居る部長が困りながらも助言をしてやる

その反応に結音はいつもの感じで謝る

あーもう見てらんねえわこれ




「えっと…ギターとベースやってます…

RADとか時雨とか好きです…」



「ヒュー!!いいね!!」



「時雨最高!!」

結音が部長に言われたことを辿々しく言うと

部員の中から2つのヤジが飛ぶ

最初のヤジはうちのバカ(隆)

そして2つ目のヤジは隆が言ってた時雨を一緒に組みたいと言っていた春樹先輩だ

春樹先輩にはもう隆から話を済ませてるらしく

この2人は他とは違ってテンションMAXなのだ




「それじゃあ米倉さん席に戻っていいよ」



「はい…」



「お疲れ様結音」



「うん…」

挨拶が終わると結音は俺の隣の隣の席、奏斗の隣に座った

結音は席についてもガチガチに緊張していていつも以上に挙動不審だった

ダメだなコイツ




「それじゃあ次のライブに出たいバンドは

来週のミーティングにセットリストを提出すること

では解散」

いつも通り短いミーティングが終わると

みんなは次のライブに向けてバンドを組んだりと話をし始めた




「おーい結音!!」



「っ!?」

いきなり大きな声で名前を呼ばれ結音は身体をビクッとさせる

そしてその声の方へ視線を向けた

ついでに俺も目を向けてみた

そこには隆と春樹先輩が教室の後ろで陣取っていた




「こっち集合!!時雨のミーティングするぞ!!」



「えっ…あっあの…」



「大丈夫噛まれたりしないから

行っておいで」



「うっうん…」

オドオドしていると奏斗が声をかけた

すると結音は少し落ち着いたのか

返事をして後ろにいる隆の元へと近づいていった

てか噛まれたりしないって猛獣扱いかよ

それを聞いて安心するのもどうよ

…まあ否定はしにくいけど




「どうかした?」

ジーっと奏斗を見ていると視線が気になったのか奏斗が声をかけてきた

だから俺は前から気になっていた事を聞いてみる事にした




「奏斗ってさ…仲良いよな」



「結音と?」



「ああ」



「そう見える?」



「だって良く話してるだろ

普段口数少ないのに」



「そうかな

でもまあ結音とは話しやすいかな

話してても楽だし」



「似てるからか?」



「それもあると思うよ」



「なあもしかして…」

それもあると言うことは別の理由もあるんだよなと思い

前に思った事を口にしようと開いた

開いたけど言葉は重要な所で止まってしまった




「もしかして何?」



「いや別になんでもない」



「そう」

俺の返事を聞くと奏斗は閉じていた本を栞の部分から読みだした

聞いても良かったんだけどなんか聞くのが嫌になった

もし奏斗が結音の事好きだなんて言ったら俺はどういう反応をしていいか分からないから

だって俺の立場ってさあ認めたくはないけど…弟…じゃん?


・・・


自分で認めてしまうと余計にダメージが…orz

ってまあそんな認めたくない事実+奏斗は俺の親友だからさ

もし2人が付き合うなんてなったらさ俺ってなんか微妙な立ち位置じゃん?

だから奏斗が結音の事が好きなんて言ったら俺はどうしたらいいか分からないわけ

まあ多分そんな事は無いだろうけどこれがフラグにならないことを願っておこう




とそんな事を俺は考えながらさっき猛獣の所へと飛び込んでいった人物に目をやる

そこは猛獣の二匹が楽しそうにはしゃいでいる姿と何処からどう見ても苦笑いの結音が居た




うわ見るからに苦笑いじゃん顔引きつってるし

そこはもっとナチュラルに笑顔作れよ嘘でも

ホントに社交性0だよなアイツって

ここでも馴染めずに終わるのが目に見える



ボーっと見ているとふと昨日の話を思い出した

するとある事を思った




親父さんが交通事故になる前はあんな性格じゃなかったりすんのかな?

テレビドラマとかで大切な人の死のショックで性格が変わるとかよくある設定じゃん?

だからアイツもそのたぐいで根暗になったとか

…ダメだアイツが明るい性格とか想像が付かねえわ




「潤見過ぎ」



「っ!!

べっ別に見てねえし!!」



「心配なのは分かるけどあまり気にしすぎない方が良いと思うよ」



「だから見てねえって!!

心配なんてしてねえから!!」

アイツに興味なんて無いんだから気になんてするかっつーの

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