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俺だけが  作者: パー子
第三章 新しい繋がり
41/52

13

「すっげええええええええええええええ!!」

曲が終わった瞬間また隆が叫んだ




「ホントにすげえよ結音!!

完璧じゃん!!」

隆の言う通り完璧だった

演奏も歌も完璧だったムカつくくらいに




「ホントにすげえ!!

あんなに難しい曲なのに本職じゃないベースなのに!!」



「そっそんなことないよ」



「あるあるある!!

くー俺も俺も叩けるようになりたい!!

いやなってみせる!!」



「やる気スイッチ入れちゃったみたいだね」



「え?ああ

これから鬱陶しくなるぞ更に」



「あの…ベースありがとう…」



「おぉ…」

俯きながらお礼を言って俺のベースをスタンドに降ろした

そんな様子を見ているとつい俺の口は動いてしまった




「なあ家でも練習してんだよな」



「うん…煩かった?」



「全然…」

寧ろ聞こえてこ無さ過ぎだろ

部屋隣なのに全然物音してこないし




「よし決めた!!」



「っ…おいその勝手に何かを決めるの止めないか

心臓に悪い」



「何を言う!!

今回決めたことはとても良い話だぞ潤!!」




「なあ結音軽音部に入ってほしい!!」



「お前なまだそれ言うのかよ

もう断られただろ」



「それにこの練習も部に入らなくてもいいからって言って

結音にやってもらったんだよ」



「分ってる!!分ってるけどさ…

俺どうしても時雨でバンド組みたい先輩がいんだよ

その先輩も時雨好きでさ入部した時から時雨組みましょうって言ってたんだよ

でも部の中にはやってくれるベースも居ないし

かと言って来年入って来る1年を待つ事もできないし

だから俺も先輩も諦めてんだ

でも今希望が見えた!!

結音が入ってくれたら出来るんだ!!

だからさ結音頼む!!

軽音部に入って時雨組んで欲しいんだ!!

頼む!!」



「あの…私…」

真剣に頭を下げる隆

それを見て少し間を開けて結音が口を開けるも

とても申し訳無さそうな困った表情で言葉を篭もらせる

こんな風に真剣に頼まれたら断りにくいよな

特に結音はそう言うの苦手だろうしな

ここは隆には悪いけど口挟ませてもらうか




「…おい隆

お前の気持ちは分かるけど

無理慈恵は無しだろ」



「…だよなー

まあしゃーないか

先輩とは時雨のDVD見るので我慢しておくか」

俺の言葉の後一瞬間があったも隆は頭を上げ明るくそう言った

でもどこと無く残念そうな表情だった

それは多分その先輩っていうのが隆が一番懐いている先輩だからだろう

本当にしたかったんだろうな




「あの…」



「あーごめんな結音

けど今日の練習マジで楽しかったぜ

ありがとうな!!」



「あの…」



「どうしたの?」

謝る隆に何か言いたげな結音

それを感じ取ったのか奏斗が声をかけた

するといつも通り俯きながらも結音はゆっくりと口を開いた




「あの…時雨…だけでいい…なら…入部…しても…いいよ」



「はあ!?」

途切れ途切れだが結音から出た言葉に俺は驚きの声を叫んだ




「ええ!?マジで!?

マジで良いの結音!?」



「うっうん…時雨だけでいいなら…」



「いやったあああああああああああああああああ!!」

隆の喜びの雄叫びが響いた




「本当にいいの?

嫌なら断っていいんだよ?」



「ううん…大丈夫」

昼間の時とは違い結音の表情から困っている様子は取れなかった

だからこの言葉は本当なんだろう




「あっごめん結音もう一個だけお願い聞いて!!

俺達のバンドにも入ってくれない!?

リードギターで!!歌は歌わなくていいからさ!!

もうその2つ以外はバンドなんて組まなくていいからさ!!」



「…分かった」



「マジでか!!

いっほおおおおおおおお!!」

クスっと笑いながら隆のお願いを受け入れた

すると隆はまた叫ぶ

しかしそれを聞いて俺の思考は停止状態だった




「嘘…だろう?」



「どうやら本当みたいだよ潤」



「マジかよ…」

こうしてめでたく結音は軽音部に入部して俺達ともバンドを組むことになったのだった



って!!

全然めでたくねええええええええええええええええええええええええええ!!

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