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それから全員が席について高そうな飯を食べて楽しげに話をする
しかし俺には耳に入る話の内容も
口に運ぶ高そうな飯の味もなんだかちゃんと理解できなかった
さっきの衝撃で俺の頭はやられたようだ
「そう言えば結音ちゃんは潤の事知ってるかな?
同じ学校なんだろ?」
さっきまで入って来なかった話が一気に俺の中へと流れこむ
その話題に俺は体を少しビクッとさせてしまった
そして話題を振られたアイツへとゆっくり視線を移す
「…はい知ってますよ」
アイツはニコッと笑いながら言った
「そうかそれは良かった
潤は3組だったな結音ちゃんは何組だい?」
「それは…」
「っ!!」
父さんの問いにアイツは言葉を少し途切れさせ俺に視線を向けた
そしたらアイツと初めて視線が合ってしままった
俺は何故かその視線を離す事ができない
ただ俺は目線を外さずアイツの言葉を待つ
「私も同じ3組です」
アイツはその言葉を放った
放った瞬間俺と目を離し父さんに学校じゃ全く見せない笑顔を向けた
「あらそうだったの結音」
「これは凄い偶然だな」
そんな偶然要らねえよ
寧ろ迷惑だ
「じゃあ2人は仲がいいんだな」
「はあ!?」
俺の食事会一発目の発言はそれだった
「同じクラスなんだろ?」
「な「全然仲良くありません」
「 !? 」
俺の言葉を遮ったのは普段言葉を発さないアイツだった
アイツは笑顔でそれを言い放ったのだ
「えっ仲悪いの!?」
「いえ仲が悪いと言うより話したことがありません」
こいつは空気を読むと言うことをしないのだろうか?
いや根暗だからできないのか?
どうしてこの状況でそんな事を笑顔でさらりと言えるんだ
空気が悪くなるの目に見えてるだろ
「同じクラスなのに?」
「私は男子と話すこと無くって…
だから同じクラスでも話したことないです
ね櫻井くん?」
少し照れたような表情を見せるアイツ
そしてその後俺に笑顔を向け同意を求める
なんだろうアイツの目笑ってる気がしない
顔は笑顔なのに目は同意しろと命令するような感じがした
「ああ」
俺はつい同意してしまった
いやこれが正しかったのかもしれない
アイツの言ってる事は正しい現実だ
ただニュアンスが違うだけ
言葉が足りないだけで真実だから
「さすが高校2年思春期真っ盛りか」
「思春期って何ー?」
「うーん難しい質問ね
でも陽菜ちゃんも大きくなってお兄ちゃん達と同い年になったら分かるわよ」
「うー分かんないよ!!」
アイツの言葉で悪くなった雰囲気がアイツの言葉で雰囲気が和んだ
アイツは何を考えてるんだ?




