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「…え?」
隆の言葉を全く予想していなかったのだろう
結音はその言葉が理解できない様なポカンとした表情を見せる
「だから俺達とバンド組もうぜ!!」
「あの…私軽音部の人間じゃないけど…」
「うんだから結音も軽音部に入って!!」
唐突で自分勝手な発言をしながらも嬉しそうな笑顔を見せる隆に
結音はそれを隆が本気で言ってるのか理解できない様で
俺と奏斗の方へと確認するように視線を向ける
「ごめんね結音
隆はこう言う奴なんだ」
結音の視線と困った表情に奏斗は一言で的確に説明する
この説明が正しい
もしくはバカと言う説明も正解
「こう言う奴ってなんだよ奏斗!!」
「強引すぎるんだよ隆は」
「そうだそうだ」
「なんでそこだけ微妙に入って来るんだよ潤!!
ってそんな事よりも結音お願いします!!ホントにお願い!!
3人じゃやりたい曲出来ないんだよお願い!!」
「あの…ごめんなさい
もう2年生だし…それにそんなに上手くもないから…」
「2年だろうが大丈夫だって!!全然気にしなくていいから!!
軽音部の奴らみんないい奴でいつでも入部ウェルカムだから!!
それに上手くなくても楽しめればokok!!」
「でっでも…」
「そこをなんとかお願い結音!!」
理由を付けて断るも隆が両手を合わせ頭も下げしつこく頼み込み
結音はどうすればいいか分からず困った表情でオドオドする
助ける訳じゃねえけどさすがにしつけえな
「おい隆もう諦めろよ」
「でも~」
「潤の言う通りだよ
結音も困ってるし」
「うぅぅ…
分かった!!じゃあ1回だけ一緒に練習しようぜ!!
今日放課後に俺ら練習あるから結音もギター持ってきてさ弾いて見せて!!」
「お前マジで諦め悪すぎ」
「入ってくれって言ってないじゃんか!!
なっお願いだよ結音!!この通り!!」
「…1回だけ…なら」
「っ!?」
完全に断ると思っていた俺はその返事を聞いて目を見開くほど驚く
えっ今1回だけならって言ったよな!?
それって1回だけは一緒に練習するって事だよな!?
こいつ自分が何言ったか分ってるのか!?
「マジで!?やったー!!ありがとう結音!!」
「嫌なら嫌っていいんだよ?
隆には言い聞かせるから」
「大丈夫…」
隆がバカみたいに喜んでいると空かさず奏斗がフォローを入れる
そんなフォローにも結音は隆の提案を受け入れる
しかし結音は大丈夫と言って笑顔を見せるも
その笑顔は完全に引きつっていた
すげえ嫌なんじゃねえか
「じゃあ結音ギター持って学校に戻ってきてくれよな!!
俺達教室で待ってるから!!」
「うっうん…」




