11
ジリジリジリジリ
目覚まし時計が鳴るとゆっくりと手を伸ばしそれを止める
そして糞重たい体を起こす
今日は寝坊しなかった
寧ろ目覚ましが鳴る前に目は覚めていた
昨日寝ついたのは遅かったはずなのに
これも全部アイツのせいだ
昨日のアイツのせい
胸がざわざわしてるのは全部アイツのせいだ
寝ても取れない胸のざわつきにイライラしながら
ダラダラと着替え準備をする
準備を済ませると部屋を出るためにドアノブに手をかける
すると下から物音が聞こえてきた
ここ数日とは違い時間には余裕がある
だからまだ陽菜とアイツが居るんだろう
それを思うと昨日のあの場面を思い出す
すると自然と手がドアノブから離れた
そして俺は方向を変えベットへと倒れこんだ
「まだ時間余裕だし」
俺は下から聞こえる物音が消えるまでそう居ていた
胸のざわざわしたのを押さえるように
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「潤大丈夫?」
いつも通り屋上で昼飯を食ってる時
奏斗にいきなり心配された
「何が?」
「ボーっとしてる」
「そんな事ないと思うけど」
「イライラしてるって訳じゃないけど
考えこんでいる感じする」
いつもの様に奏斗に見透かさせる俺
俺ってそんなに分かりやすいのか?
でも内容はさすがに言えるわけもないので適当に誤魔化す
「あれだよ
このバカがどうしたら宿題してくるかなって考えてただけだよ」
誤魔化しネタは俺達の目の前でパンを咥えながら
自分のノートに俺のノートの答えを必死で移す隆
「今日はたまたまだって!!」
「たまたまってのは連続で続くもんじゃないんだよ」
「うー」
「俺はてっきり結音と何かあったのかと思った」
「なっ!?別になんもねえよアイツとなんて!!」
「そう」
クスっと笑う奏斗は全部知ってるんじゃないかと思えてきて少し怖いっつーの
「なーなー潤」
「なんだよ写せたのかよ」
「それはまだだけど
潤ってさ結音の事名前で読んでないのか?
アイツとかばっかじゃん」
「ああ?」
だってアイツはアイツだし
アイツだって俺の事は櫻井くんって読んでたし
それになんか名前で呼びたくない
「…別になんでもいいだろ」
「良くないだろー
ちゃんと名前で呼ばないと失礼だろ
それに家族になったんだから仲良くなる努力をしろよ!!」
「そんな努力無意味だと思うけどな」
アイツと仲良くなれるイメージが湧かない
それに昨日の事が頭から離れない
「諦めんなよ、諦めんなよお前!
どうしてそこでやめるんだそこで!」
「暑苦しいんだよ松岡修造
宿題写さねえなら返せ」
「ごめんなさいごめんなさい!!
あとちょっとなんです!!」
「たく…」




