表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけが  作者: パー子
第二章 呼び名
25/52

10

「ハァ~…なんかすげえ疲れた」

家に帰ると自分の部屋に直行してベットに倒れこんだ

体力的にじゃなくて精神的に疲れすぎたからだ



あれからファミレスで飯を食った後

陽菜とアイツは先に家に帰った

そして俺等3人は少し適当に時間を潰してから帰った

と言うか俺が陽菜たちと帰るのが嫌で

隆と奏斗を無理矢理突き合わせただけだけどな




「バレねえかな…」

隆と奏斗にバレたのは仕方がない

もう終わったことだから諦めようてか諦めるしか無い

次はこれ以上バレないかが心配で仕方がない

てかあのバカ事隆がうっかりバラしたりしないかが問題だ

もう明日にでもやりそうで怖い




「あーもう!!…風呂入ろ考えんのメンドイ」

俺は頭を動かすのを止めた

そして少しでもスッキリしたくて風呂に入る事にした




ガチャッ




「あ」

部屋を出ると今一番会いたくない奴と会ってしまった



アイツも俺が出てきたのに驚いたのか足を止めた

でもすぐに俺から目を逸らし俯きながら俺の横を通って自分の部屋へと足を動かした




「おい!!」



「っ!?」

どうやら俺は疲れ過ぎているらしい

アイツの行動にイラッと来てつい声をかけてしまった

それにアイツもまさか声をかけられると思ってなかったのか体を少しビクつかせた

まるで食事会の時に廊下で俺が声をかけた時と一緒だった



でも今回はあの時とちょっと違う

俺は話す事なんて無いのに話しかけてしまったのだ

だから俺とアイツの間に沈黙が漂ってしまう




「…何?」

呼び止められて俺の言葉を待っていても全く帰って来ないから

さすがのアイツも自分から聞いてきた

そりゃ聞くよな

呼び止めたの俺だし

やべえどうしよう何話せばいいんだ

何も話すことねえのに

コイツに聞くことなんて




「なんで泣いてたんだよ」



「っ!!」

話すことなんてないって思ってたのに

俺の口からは何故かそんな言葉が出ていた

いやそこまで疑問じゃなかったな

だって俺がコイツと家族になって今まで見てきた事の中であれが

コイツが泣いてたことが一番衝撃的だったから

学校でも結構キツい状況になっても全く泣かなかったコイツが泣いたんだ

だから別の事で頭がいっぱいでも頭の端から離れないんだよ




「泣いてないよ…」



「はあ?誰がどう見ても泣いてただろうが」

なんだコイツ見え透いた嘘つきやがって

どれだけ俺の癇に障るのがうめえんだよ




「…櫻井くんには関係ない」

アイツのその言葉に俺の中の栓みたいなのが吹っ飛んだ




「ああそうかよ!!そうだよな!!

俺とお前は無関係!!寧ろ赤の他人だもんな!!

あんな猫被った根暗なんて知り合いにも居ないしな!!」

我慢の限界が来て俺は怒鳴りつけるようにその言葉を言い放った

でもアイツは何も言い返さずただ俯いているだけだった



ここまで言われてなんでだんまりなんだよ言い返せよ

そう言うのがイライラするんだよ




「もういい

その根暗も猫かぶってるのも鬱陶しい

あれだな案外詩織さんもお前みたいに猫被って良い人ぶってるのかもな」



「…のこ……せに」



「ああ?」



「お母さんの事何も知らないくせに勝手な事言わないで!!」



「っ!?」



「私の事はどんなにバカにしてもいいよ本当事だから!!

でも…でもお母さんの事バカにしたら許さない!!」



アイツは俺を怒鳴り睨みつけると

荒々しくドアを開閉して自分の部屋の中へ入っていった

それを俺はただ呆然と見るしかなかった

アイツが部屋に入った後もアイツの部屋のドアから視線が離せなかった

驚きがすごかったからだ



俺は自分でも酷いなと思う言葉を吐いた

でもアイツがあの根暗で俺に対しては全く話してこないアイツが

あんなに感情を露わにしてキレるとは微塵も思っていなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ