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俺だけが  作者: パー子
第二章 呼び名
24/52

「なーるーほーどー

そう言う事だったのか」

あの後俺達は陽菜とアイツを含めた5人でフェミレスに入った

そこで俺の親とアイツの親が再婚したと言う事実を全て隆と奏斗に話した




「それにしても全然気付かなかったな!!」



「そう?俺はなんとなくそんな気がしてたけど

潤は嘘つくの下手だから寧ろ嘘付けないタイプだしね」



「うっせ…」



「ねえもうお話終わった?

ジュース取りに行っていい?」

俺が全部話すまでジッと待ってた陽菜はもう待てないと言わんばかりだ




「ああ行って来い」



「ヤッタ!!お姉ちゃん行こう!!」



「うん…」

陽菜は嬉しそうにアイツの手を引いてドリンクバーへと向かった

一方手を引かれるアイツは少し複雑そうな作り笑いだった

無理もないよな

俺だってこの現実を受け入れたくねえもん




「ふーん米倉さんが潤のお姉ちゃんねー」

隆の声で視線を陽菜たちから隆たちに移す

するとその視線の先にはそれはそれはムカつく表情の隆がいた




「いやーエロゲーみたいな設定だねー

再婚相手の連れ子がクラスメイトなんてー」



「そのムカつくニヤニヤした顔を止めろ

顔面ぶん殴るぞ」



「うっ…そんな怒るなよ潤…」



「第一そんな喜ばしい設定じゃねえよ

相手考えろアイツだぞアイツ」



「あはは…米倉さんって潤の嫌いなタイプだもんな」



「ああ、あんな根暗で協調性の無い奴大っ嫌いだね」



「でも毛嫌いするほどじゃないと思うけどな

だって陽菜と楽しそうに話してるじゃん

笑ってるところとか俺初めて見ちゃったよ」



「あれは…特別なんだろ」

あんなの俺には絶対に見せないし俺とも話さない

だから俺以外の家族限定なんだろうよ




「そんな事ないと思うけど

いつも普通に話してくれるしよく笑う子だと思うよ米倉さんって」



「?奏斗とアイツが話してるところなんて見たことないぞ」



「そうだね

学校では挨拶程度だけどバイト先じゃあよく話してるよ」



「バイト先?」



「俺のよく行く本屋で米倉さんバイトしてるんだよ

だからその時いつも軽く話すんだ」

そう言えばアイツのバイト先本屋だったな

でも奏斗とアイツが楽しそうに話してるなんて全く想像できないけど




「それに米倉さんの事が嫌いなら

俺の事も嫌いなんじゃないの」



「なんでそうなんだよ?」



「だって似てるでしょ俺と米倉さん

人と関わったりしない所とかあんまり話さないところとか」



「そりゃあ奏斗もあんまり協調性無いけど

アイツとは比べもんになんねえだろ」



「そんな事ないよ

俺だって入学して隆に声かけられてなかったら

ずっとクラスで1人で居たと思うよ

別にガツガツ友達作るつもり無かったから

だから俺と米倉さんって大して変わらないと思う」



「それは…」



「潤せっかく米倉さんと家族になったんだしさ

少し見方変えてみろよ

奏斗と同じで絶対良い子だから米倉さん!!」




俺は奏斗と隆の言葉に返事ができなかった

人間そんなに変われないだろ

なんかきっかけでも無い限りそれに気づかない限り




「隆!!これあげるから全部飲んで!!」



「ゲッ陽菜…これドブみたいな色いてるけど…」

話が終わるとアイツと

飲み物なのか判別しにくい液体が入ったコップを持った陽菜が戻ってきた




「ドリンクバーの飲み物全部入れたから!!」



「入れたから!!じゃねえよ!!

ドリンクバーで遊んじゃいけません!!店の人に怒られるだろ!!」



「隆が残さず飲んだら怒られないよ」



「なっお前鬼かよ!!

てか米倉さんもそこ止めないと!!」



「ごめん一応止めたんだけど…」



「いきから飲んで!!」



「ブッ!!」



「汚えっ!!吐くなよ隆

飲むならちゃんと全部飲め」



「そうだよ!!全部飲むの隆!!」



「誰かこの兄妹を止めてくれ~」



「騒がしいでしょ?」

俺と陽菜が無理やり隆にドブ水を飲ましていると奏斗がアイツに声をかけた

それを俺は騒ぎながらも気づいた




「楽しくていいと思う」



「まぁそうだね飽きないよ

そう言えばこの間買った本面白かったよ」



「もう読み終わったの?

山下くんいつも読むの早いね」



「まあ本読むの好きだからね

でも米倉さんも結構読んでるでしょ?

俺と話合うの米倉さんくらいだし」



「することないから

それにバイト先が本屋だし

ん?あのどうか…した?」

俺たち3人の視線に気づいたのか奏斗ととの話を止めた




「いや米倉さんがそんなにいっぱい話してるところ初めて見たなーって」

アイツをジーっと見つめながら隆はそう言う

でも俺も少し驚いたていた

陽菜や父さんとかと話すよりも自然に普通に奏斗と話してるから

そんなアイツ見るの初めてだったから




「えっ!?あっ…ごめんなさい」

隆の言葉にいつのも自分を思い出したのか

いつもの鬱陶しい感じで謝った

それを見て俺はまたイラッと来る

コイツのそう言うところが嫌いなんだよ




「いやいや謝る事じゃないから!!

寧ろさ俺ともいっぱい話そうよ米倉さん!!」



「うっうん…」

返事をするもアイツは俯く

それ止めろつーの

空気が悪くなんだよ




「ねーねー

どうして隆と奏斗お兄ちゃんはお姉ちゃんを米倉さんって呼ぶの?

結音お姉ちゃんは櫻井になったんだよ」

陽菜の言葉で場の雰囲気が変わった

さすが俺の妹

アイツとは全然違う




「それもそうだな

じゃあ櫻井さん!!」



「そうしたら他の奴にもろバレだよ隆」



「お前はさっきの俺の話聞いてなかったのかよ」



「うっすみません…

それじゃあ【結音】だな!!」



「はあ!?」

いきなりとんでもないことを言い出した隆に俺の驚きの声が漏れてしまった




「だって苗字がダメなら下の名前だろ?」



「まあそうだけどさ…」

隆の言うことは間違ってないけど

俺がなんか嫌だ

なんで隆と奏斗がアイツの事呼び捨てにしなきゃいけねえんだよ




「いいんじゃないそれで

米倉さんは結音って呼ばれるの嫌?」



「私は2人がそれでいいなら…」



「じゃあ結音で決定!!

あっ俺の事も隆でいいぜ

こっちが呼び捨てだから

結音も呼び捨てじゃないとなんか不公平感あるしな!!」



「俺も奏斗でいいよ」



「でも…」



「遠慮しなくていいって

俺らクラスメイトだろ

それになんたって潤のお姉ちゃんだからな」



「無理はしなくていいよ

結音が嫌じゃなかったらでいいよ」



「分かったじゃあ…そう呼ぶね」



「よーし!!新しく友達できた事だし乾杯するか!!」



「隆は陽菜がおかわり入れてきてあげる!!」



「もうあのドブは止めて!!

てか前から思ってたことだけど

なんで俺だけは呼び捨てなんだよ陽菜!!」



「だって隆だから!!」



「どういう事だよ!!」



「仕方がないよ隆だから」



「いや意味分かんないから奏斗!!

てか結音も笑うところじゃないからここ!!」

呼び名が決まって楽しそうな雰囲気が俺たちを包んだ

でも俺はモヤモヤして仕方がなかった

帰るまでずっと

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