表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの日に見た夢

先生の異常な愛情~または彼は如何にして平凡であることを止めて熟女を愛するようになったか~

作者: 塚又右

 緊張感に包まれた放課後の教室にて。

 先生と友人の母が向かい合って座っていた。友人の母にギッと睨みつけられ、先生は困り顔で萎縮していた。張り詰めた空気のなか、まだ若い教師は居心地悪そうに眉を落としている。


「先生」


 友人の母の声は怒りに震えていた。


「娘との距離が近すぎやしませんか。あの子は毎日毎日先生とああしたこうしたって何も知らずにお話してますが、私にはおかしいとしか思えないんですよ。あんなまだ小学生の娘に興味を持つ変態だって世の中にはいて、被害に遭う子だっているじゃないですか。だからね、あまりウチの子にベタベタされますと、おかしいなって思うんですよ。というかあからさまに怪しいとしか思えないんですよ。主人にもその話をしたら、ぜひとも先生とお話すべきだって言われて。今日はね、先生の正直な気持ちを聞きに来たんです。先生は教師には向いていない方なんじゃありませんか。そうなんでしょう? はっきりおっしゃってくださいよ。そもそも――」


 先生は弱り切った様子だった。何度も何か言いかけ、そのたび遮られているのだから無理もない。


 教室の外から、友人が中を覗いていた。彼女に一緒にいてと言われて私はここにいる。友人がただ物怖じしなくて懐っこい女の子なだけだと思うのだが、親の眼鏡には変な色が入っているらしい。


「ただ先生と仲良くしたかっただけなのに。お母さんはどーして怒ってるんだろ」


 不思議顔で友人が言う。事態の深刻さが、この少女には欠片も伝わっていないようである。

 先生を憐れだとは思うが、私は自分の担任である彼と直接話をしたことがない。だから助ける義理もない。というかそもそも助けられないのだ。


 想像してみて欲しい。幼女愛好趣味の疑惑がかけられている先生を庇い、友人と同じく小学生である私が割って入って「先生はわるくないの!」と言ったらどうなるか。どう考えても疑惑が加速する。


 そういう訳でこの場で一番の部外者な私は今猛烈に帰りたいのだが、友人に手を握られて逃げられない。


 何か言おうとする先生をまた遮って友人の母はまだまだマシンガントークを続けていたが、次の瞬間、とうとう決定的な一言を放った。


「このロリコン!」


 その言葉だけが妙に教室に響く。


 ――ガタン!


 次の瞬間、先生がカッと目を見開き、椅子を倒す勢いで立ち上がった。



「失礼な! 私は年上()きです!!」



 先生は高らかに告白した。ついに言ってやったと得意顔をしていた友人母だったが、あまりに真剣な先生を前に何故か頬を染め、そんなこと急に言われても。もじもじ。気持ち悪い反応をしだす。


 そんな彼女に首を振り、先生はなおも叫ぶ。



「あなたでは若すぎる! あなたではまだ足りない! あなたのお母さんくらいが俺の好みです!!」



 時が止まった。


登場人物紹介

先生:25歳の男性教師。ロリコン疑惑をかけられている。

友人の母:29歳。昼ドラが好きな専業主婦。妄想と暴走が多い。デンジャラスな人妻。

友人:7歳。小学生の女児。無邪気な小悪魔。

私:8歳。小学生の女児。うさぎ当番。

友人の母の母:52歳。子育てに失敗した。友人の放置した朝顔を育成中。

友人の母の夫:31歳。最近妻がめんどうくさくなってきた。放置中。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 見事な一発ネタでした。 [一言] さあ、さっさと友人の母の年齢を書く作業に戻るんだ!
[良い点] オチが良かったです。これってもう終わりなんですか? 続きが読みたいです。 [一言]  こらからも頑張って下さい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ