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時空旅行者”time  traveler ” 「悲劇の皇女 和宮」 前編

作者: 佐藤奈津

※歴史を否定する文や、和宮を否定する文があります。ご注意ください。わたしは、歴史も和宮も好きです。



和宮(かずのみや)

時の流れに翻弄されつつも強く生きた女性。時の天皇の孝明天皇の妹として生まれた。当時の政治的な思惑によって当時の徳川幕府14代目将軍 徳川家茂(とくがわいえもち)と結婚。政略結婚結婚だった。皇女であった和宮は武家のしきたりとの差に戸惑い、悲しみにくれていた。そんな和宮の心をとかしたのが夫 家茂だった。そうして、和宮と家茂は中の良い夫婦になったが、家茂が出兵先で病死してしまう。和宮のいる江戸に、家茂にお土産にねだった西陣織と家茂の亡骸が届く。そのとき、和宮は、


空蝉の 唐織り衣何かせむ 綾も錦も 君ありてこそ

-----あなた(家茂様)がいらっしゃらないのなら、どんなに美しい織物も無意味ですのに....----


と和歌を詠んだとされる。その後も和宮は徳川が滅びぬよう尽力したと伝わる。



「あぁ!畜生!!」


蝉の声は少年をいらだたせる。夏休みの中、少年は高校に向かっていた。




憎らしいほどの暑い日差しが俺に降り注ぐ。憎たらしいほどの快晴で雲一つすら見あたらない。

こんな日は俺はいつも家でクーラーをつけて涼みながら好きなことをするのに補習なんて………。あーーーー!!!畜生!






黒い学ランに黒い髪の少年は炎天下の中、一人教室に歩き出した。

少年ことみなもと かいは、この後信じられないような事を体験する。



それは、一人の少女が起こした時空旅行タイムトラベル






「おい、みなもと!!」



ゲェ!!


戒は心の中でそう叫んだ。今、彼を呼んだのは……

「コンニチハ、サトミセンセイ……」


戒の通う高校で日本史教師をやっている里見さとみだった。


「たっく、源、おまえはなんでこう歴史だけできないんだ?俺に対する嫌がらせか?」


里見は戒に向かってため息をつきながら言った。戒は里見に反論できなかった。


源戒という少年は聡明だ。勉学が好きなようで全国でトップクラスの学力を持つ………が、彼の総合の試験結果はそこまでよくない。(といっても、戒のなかで悪いだけだが……)なぜなら、彼は里見の言うとおり、歴史だけなぜかできないのだ。


おっと、ここで皆様に言わなければならないことが、ここは皆様の生きている時代より先のお話。近未来のお話だ。読者の皆様よりも文明が進歩した世界でのお話。

何がいいたいかというと、戒は今高校一年生。大学を卒業した方などはこう思うだろう。

ん?大学受験で歴史を選択しなきゃ関係なくね?

と。しかし、この世界は戒に残酷で、歴史は進学に必要なものの一つなのだ。それゆえ、戒は心の中で焦っていたし、いらついていた。


戒からしてみれば歴史という自分の大嫌いな科目のせいで進学先が左右されてしまう。これまでの努力が全て無駄になるのだ。

大体過去なんて学んでどうなる!?

戒はいつもこう思っていた。それゆえ、彼の歴史嫌いは悪化の一途をたどり、歴史の成績はいつも悲惨だった。


いつもの様子の戒に里見は戒にばれないようにため息をついた。入学から里見は戒に歴史を教えてきたが、彼の歴史嫌いは里見の手には負えなかった。里見は、戒に無理強いはしたくなかったが、これほど優秀な生徒が歴史によって進学を左右されるのは日本史教師として心が痛かった。


里見は心の中でそっとあることを決心した。


源をあいつに任せよう。あいつの方が適任かもしれない。


里見はそう決心すると、戒に告げた。


ー夏休みに補習を行う。参加しなければ、単位はない。



と。







畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!!!


戒はかなりいらついていた。大嫌いな暑い日に、大嫌いな歴史のために登校するなんて彼にとってかなりの屈辱だった。戒は本当はさぼろうかと思ったが、さぼれば単位をなくしてしまう。歴史の単位がなくなれば推薦もあやしくなってしまう。つまり、戒がこの歴史の補習をさぼるなんて自殺行為なのだ。参加するしかなかった。




ガラッ!



彼はいらつきを隠さず教室のドアを開けた。




「ぎゃ!!」

「は?え?里見先生は?」


教室に日本史教師 里見はいなかった。そこにいたのは、


「ど、どうも、源くん。え、えっと、小町こまち 千代子ちよこです。」


クラスの中で根暗歴女と呼ばれ、歴史の成績がいつもトップな小町千代子がいた。







「………えっとですね、ああ!そうではなくて、金が大量に国外に流出したのは……!!」



小町千代子がいうことには、日本史教師 里見と小町千代子はいとこ同士で、戒の歴史嫌いを自分ではどうにもできないと思った里見はいとこで自分よりも歴史が好きないとこ 小町千代子に戒の歴史の勉強を見てやって欲しいと依頼。小町千代子はふだんからいとこである里見にお世話になっているのと断る理由がなかったため戒の勉強を見ることにした。

そういう話だった。(ちなみに、里見は入り婿なため、苗字が小町ではなく里見らしい。)


戒はとりあえず単位を貰うため、クラスメイトに教わるのは少し屈辱的だったが根暗歴女 小町千代子から補習を行って貰うことにした。



補習は順調に進んでいった。補習といっても、里見がだした課題を戒がといて、それを小町千代子が見張る。間違えがあれば、小町千代子が戒に教えるというものだったし、里見が出した課題はある意味単純なものだった。歴史が嫌いな戒にまず、歴史の簡単な流れを知って貰うために年号や細かいところを無視して時代の流れをまとめさせていた。


そして、今回戒が課題を出された時代は



ーーー幕末


だった。



戒にとって幕末の何がおもしろいのか全く分からなかった。この間 悲劇の皇女 和宮に迫る!!というテレビ番組がやっていたが、戒は暇つぶしに見ていても何も楽しくなかった。大体、その和宮とやらは政略結婚の相手が死んだときその相手を偲ぶ和歌を詠んだというが、そんなもの嘘に決まっている。そんなもの、体裁を取り繕うために詠んだのだろう。政略結婚の末、相思相愛、そして旦那の死。そんな、三流ドラマみたいな流れが気にくわなかった。戒は、この和宮という幕末にいた女の話を聞いてもおもしろくもなんともなかった。逆に和宮とやらの結婚相手はその和宮とやらに毒を盛られたんじゃね?などと思っているくらいだ。



そんなことを思った戒は、目の前の根暗歴女 小町千代子にその和宮とやらの純愛ラブストーリーとやらについて聞いてみたくなった。

大体、歴史好きなんて頭がおかしいんじゃないか?そう思っている戒は、目の前の歴史好きの話す歴史のいいところとやらを全て否定したくなっていた。反論もできないほどボコボコにしたかった。それは、戒ができる歴史への抵抗だった。


「なあ。」


戒は目の前の根暗歴女こまちちよこに話しかけた。


戒の標的である彼女は戒の方を向いた。


「悲劇の皇女 和宮って知ってる?」


その瞬間、彼女の目はきらきらと輝きだした。

「はい!」

千代子は、こぼれんばかりの笑みを浮かべ頷いた。

これに驚いたのは戒だ。歴女である千代子に意地悪をしようと思ったのに無邪気に笑いかけられたから。これは、非常に意地悪し辛い。しかも、こんなに千代子のテンションがあがるなんて思っていなかったのだ。


千代子は千代子で、笑みをこぼした理由がある。彼女は歴史好きを増やしたいという密かな夢があるが、それを他人に押しつけようと思ったことは無かった。今回お世話になっている里見から歴史の補習を頼まれた(補習というか家庭教師であるが)とき、断ろうと思っていた。相手は歴史以外成績トップの秀才 源戒 だったからだ。歴女とよばれる千代子にとって戒のようなかなりの歴史嫌いと話すのは未知の領域だし、根暗歴女の自分では無理だと思った。しかし、彼女は里見の依頼を引き受けた。(里見は千代子をうなずかせるために、”幕末から明治維新を駆け抜ける ー日本の夜明けを見よー”という博物館の予約制の展示のチケットを報酬にした。つまり、千代子は、里見に踊らされている)

そんな千代子にとって、あの歴史嫌いで有名な源戒が和宮に興味があるなんて!!!と思い、自然にテンションが高くなってしまったのだ。そう、だから千代子のテンションが高いのは不可抗力だ。たぶん。



戒は最初は呆然としていた。根暗歴女とよばれている小町千代子クラスメイトがこんなにも明るいところがあるとは……。と。

しかし、彼は自分の為すべき事を思い出した。歴史好きの幻想を砕くのだ!



「この前、その、和宮?の特集をみたんだけど…」


「…ああ!あれですか!源くんも見たんですね!ちょっと不満がありましたが、まあ、そこはいいとして……。



源くんは和宮のことどう思います!?」



千代子に尻尾が着いていたとしたらちぎれんばかりに振っているだろう。そのくらい千代子はテンションが高かった。


戒はその様子を見て、心の中で謝りながらも千代子に告げた。


「和宮は結婚相手のことを愛していたって言われているけど、俺は嘘だと思うな。なんだっけ、相手が死んだときに詠んだ和歌も自分の保身のためだろうし。実は夫以外に浮気あいていたりして。和宮って実は悪女だったりして。たしか、将軍と結婚したんだよな?残念だったよねー、時の権力者がすぐ死んじゃって。」


「え…」


千代子は目を見開いた。この流れだと源くんと仲良く和宮トークができると思っていたのに、まさかのその源くんから和宮を否定されたのだ。千代子にとって、和宮が政略結婚の相手 徳川幕府14代目将軍 徳川家茂との夫婦仲の話は今も論争があるくらいだから、そこをどう言われてもしょうがないと思っていた。けれど、けれど、彼女の中で許せないことがあった。それは、


「源くん!前言撤回を求めます!和宮の苦労を、悲しみを、いいえ、彼女の何も知らないのに、彼女を侮辱しないで!!」


悲劇の皇女と語り継がれる和宮をバカにしたことだった。


「なっ!なんだよ!お前だって、和宮の何を知ってんだよ!」


「わたしは、彼女が嫁ぎ先で苦労したことも!彼女が家茂を亡くしたとき涙していたのを知っています!!」


「はぁ!?そんなの、ただの紙に書いてあることか、伝承だろ?!そんなの信じられるかよ!!俺はこの目で見ねえと信じられねえな!」


「わたしだって!自分の目で見なきゃ信じられません!!」


「は?じゃあ、なに?あんたは和宮に会ったことあんのかよ?この、根暗歴女!!」


歴史嫌いと歴史好きの喧嘩は収まることをしらない。そんなとき、


「ええ!会ったことがあります!素晴らしい強い女性でした!!」


千代子は和宮に会ったことがあるとはっきり戒に告げた。


戒は目を丸くした後、肩をふるわせ始めた。


「ククククク、アハハハハハ!!!何言ってんのあんた!歴史が好きすぎて頭でもふいちゃったの!?アハハハハハ!!」


戒からしてみれば当たり前のことだ。過去の人物である和宮に会うためにはタイムトラベルでもしなければ不可能だ。しかし、この近未来でもタイムトラベルの方法は見つかっていない。それなのに、たかが高校生の小娘がタイムトラベルをした?ありえない。そう、ありえないのだ、普通であれば。


笑われた千代子はキッと戒を睨む。


「それじゃあ!源くんも、和宮に会って下さい!そこで、考えをあらためて!」


「いいよ、あらためてやるよ。まあ、タイムトラベルでもできたらな!」


「言いましたね!」


戒がまた千代子をからかおうとしたときだった。戒は千代子に片手をぎゅっと握られた。その千代子は、もう片方の手のひらに古い懐中時計をのせていた。そして、


「timetravel!」


千代子はそう叫んだ。












夏の暑い教室に日差しが差し込んでいた。カーテンの揺れる教室には、穏やかな風に揺られるプリントと、筆記用具が机の上にあるだけだった。



ーーーそこに、少年と少女の姿は








ない。












「うわぁーーーーーーーー!!!!」



た、大変だ!!え、え、え、ええええええ!!!!小町千代子に手を握られ、なんか懐中時計だして唱えたと思ったら、いきなり落ちてる!お、俺と小町千代子がぁ!!


てか、小町千代子冷静だな!え、え、ええええ!どうするの俺!?



「源くん、今は空から地面に落ちていますが大丈夫です。着地は安全です。」


え?何、なんなの俺?え、死ぬの?えええええ!!!


「おーい、源くん?聞いてますか?あのーー!!今から和宮に会いに行くんでしゃんとして下さい!」


そ、そうか!!!黄泉の国の和宮に会いに行くのかーー。俺の人生短かったな(泣)ん?じゃあ小町千代子は幽霊?お、俺幽霊とお話ししてたんだなー。アハハハハハ


「ちょっと!源くーーーん!!」


え?

ぎゃあーーーーーー!!!!じ、地面が近いいいい!!!!死ぬのかぁーーーー!!!


「お、落ち着いてくださぁい!!!」
















ん?あれ、衝撃がこない……?


お、俺浮いてる………!!


「…はぁ。」


ため息が聞こえ顔を上げるとそこには、クラスメイト 小町千代子の姿が。


「お、おい!ここはどこだよ!!」


「空中でも話したじゃないですか……。」


「……え、あの話本当なの?え?」


「本当です!ここは1862年の江戸です。和宮に会いに行くんでしょう?」


えええええええええええええ!!!!!????!!!





小町千代子の話をまとめるとこうだ。


★小町家は代々タイムトラベラーつまり、時空旅行者として生きている。その役目は誤ってタイムトラベルをした人を元の世界に戻したり、過去を変えようとする人を止めたりすること。タイムトラベラー以外がタイムトラベルすることを時空の歪みと呼んでいる。


★タイムトラベラーには、絶対に破ってはならない決まりがある。それは、過去を変えることと、未来に行くこと。この二つだ。


★基本的にタイムトラベルは、時空の歪みを直すときだけに行っていいものだが、仕事さえすればいいのでタイムトラベラーは決まりを破らなければ旅行気分でタイムトラベルしてもよい。(小町千代子は家族のタイムトラベルに小さい頃からついていった結果歴史好きになったらしい。今もタイムトラベルを楽しんでいるらしい。)


★タイムトラベラー以外は普通タイムトラベルをしてはいけないが、タイムトラベラーの許可のもとタイムトラベラー同伴ならばタイムトラベルをしてもよい。


「待て待て待て待て!!小町千代子!そんな軽い感じでタイムトラベルを他人にさせていいのか!!!??」


すると、目の前の小町千代子タイムトラベラーは、


「ううん。軽い気持ちの人はタイムトラベルをしてはいけないの。そもそも、自分がタイムトラベラーであることを簡単に他人に告げてはならないよ。」


は?



「え、じゃあ、なんで俺に教えたの?」




すると、小町千代子は悲しそうに笑った。




え?






「あのさ…」


「源くん!じゃあ和宮に会いに行こう!」



彼女こまちちよこは、先ほどの顔が嘘のように、明るく笑って俺に言った。






「千代子、大体、相手は将軍の妻なんだろ?どうやって会うんだよ?」


俺は小町千代子のことを千代子と呼ぶことになった。千代子も同様に俺のことを戒くんと名前で呼ぶようになった。俺が、千代子のことをバカにしたことを思い出しやりすぎだったと思って謝ったら、千代子は目をまん丸くして何かつぶやいた後、




「いいよ、別にわたしが根暗歴女なのは事実だし。んー、じゃあ、謝罪としてわたしのことを名前で呼んで!わたしは、戒くんって呼ぶから」



といったためである。謝罪がそんなに軽くていいのかと聞きたかったが、彼女が話を打ち切ったためやめた。たぶん、いたちごっこになる気がするから。そう、千代子は、……………。ってあれ?俺何言ってんだ?



「……ん!戒くん!聞いてる?」


ハッとして、顔を上げれば千代子が呆れた顔をしていた。


「もう、戒くん聞いてなかったのね!」


「す、すまない。」


「もっかい説明するね。和宮がいる大奥に行くために、タイムトラベルの時に使ったこの懐中時計を使うの。この懐中時計で姿を消すことができるから。」


「え?姿を消す!?てか、その懐中時計なにもの!?」


「もう!そこから聞いてなかったの?はぁ。


この懐中時計は同じくタイムトラベラーであったわたしの祖父のものよ。祖父が亡くなったときにわたしに形見でくれたタイムトラベルをするための大事なものなの。しかも、この懐中時計は時空の歪みを直す時に便利な能力が入っているの。でも、使用者は一人と決まっていてその使用者の命がつきるまで懐の人がこの懐中時計を使えることはないの。」



「へー。」



そんなことしか、口からでない。そもそも、本当に自分がタイムトラベルしたのか実感も薄い。なんというか、うーん。

確かに、ここは江戸時代なのかもしれない。町を歩いてそう思う。もちろん、服装は着物だ。洋服を着ていたら子供に異人め!と言われてしまった。洋服を着ていて攘夷だ、殺せ!なんてなったら悲惨だしな。いや!勘違いするなよ!外で着替えてないから!この時代の小町家のみなさんにお世話になった。小町家のルールとして別の時代からやってきた子孫には尽くせというルールがあるらしい。そういうシステムができるなんてなんか、すごい。


そして、この目の前のタイムトラベラーは何を考えてるのかよく分からないが、彼女はすごい人物なのだと思った。何度もタイムトラベルをしているから手慣れていると言ってしまえば終わりだが、どうやって和宮の生活をみるかキチンと案を練っている。もちろん、例の懐中時計の力も使うようだがその力を使ってしまうとしばらくの間、タイムトラベルができなくなってしまうらしい。懐中時計は、中にあるエネルギーを特殊な力に変換できるが懐中時計内に留められるエネルギーが決まっている。これは、タイムトラベラーが好き勝手にできないようにするための抑止力になっているらしい。そのため、和宮の姿を見るために、姿を消してみてしまえばしばらくの間現代に戻れなくなってしまう。これが問題らしい。何か緊急事態のために力を残しておくべきだが、姿を消さなければ和宮に会えない。それをどう解決するか目の前のタイムトラベラーは考えているのだ。(少しぐらいなら姿を消すために使ってもいいがずっと使っていたらダメだという意味。)


俺だって彼女に


”タイムトラベルというのをできたわけだし、もう和宮の侮辱もしない。だから、もういいよ。帰ろう。”


そう言ったが、


”大丈夫。わたしは、戒くんに歴史の楽しさを知って貰いたいの。お願い。待って。”


俺も和宮という人に会ってみたいと思ってしまったから、もう少しここに留まっていたいと思っていた。それを知ってのことか


”それに、戒くんは自分の目で見たものしか信じないんでしょう?なら、会わなくちゃ、和宮に。”


彼女の目に強い光が灯っていた。ああ、これは止められない。記憶のどこかの俺が懐かしそうにそういった気がした。





Next


後編にこそ和宮を出します。この話は続編があるなら、千代子と戒の関係についてもやりたいですね。

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