1章 私の知らない過去
黒のドレスに身をまとった女性がいる。
髪の毛は肩につくぐらいだ。
「あと30分かぁ」
ーもうあの日あの時から10年が過ぎた。
ー今日の天気も雨だ。
外では冷たい雨が降っている。
ひとりの女性は窓ガラスに右手を当てた。
すっごく冷たかった。彼女の頬を涙がつたった。涙で灰色に見える瞳にはきっと窓ガラスよりも冷たい悲しみが潜んでいる。
「ごめんね…ゆう...」
第1章 私の知らない過去
森の中
はぁはぁはぁ...
「この子があれば私は、」
白いワンピースを着た20前半くらいの女の人は息をきらせて必死に走っていた。
もう顔は汗まみれ。それとは対照的に赤ん坊は気持ちよさそうにスヤスヤ眠っていた。タオルに包まれた赤ん坊の首にはすっごく大きい雫の中は黄色そとのコーティングされた部分は透明のネックレスがかけられていた。
「あと少しで森を抜ける」
女の人の表情は輝いた。
「あと、おおよそ50メートルだわ。
あと少しよ。あと少しだわ。
私の赤ちゃん。 っはははは。」
ーここまで来たら成功したにどうぜん。うまく逃げれたわ。
だが、そこまで甘くなかった
現実は。
「見つけたわ。待ちな!」
女の人は後ろを振り向き目を大きく見開いた。
そこには女の人と同じ年齢くらいで、髪の毛を後ろに束ねた背が高くちょっとエロい感じの女の人が立っていた。
「ふふふ、あんたどうなるかわかっている?」
女の人は男が聞いたら興奮してしまうような甘い笑いで言った。
「来ないで!この子は私の子よ!」
女の人は怒鳴って逃げた。
赤ん坊はびっくりして泣いた。
「うるさいわ!」
ーうるさいガキね。あーもうっもっと早く走らないと。
イライラしいた。焦ってもいた。
けど先ほどの疲れもあって追いかけるがわからしたら簡単に捕まえられる。
「逃げても無駄なのに。はぁしょうがないわね」
女の人は剣を抜いた。そして女の人を切りつけた。
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁ」
その声は森に響くくらいの声だった。それに赤ん坊の泣き声も重なって余計うるさかった。
女の人は赤ん坊を拾った。しゃがむときの束ねた髪の動きがなんとも美しかった。
「怖がらせてごめんね。愛漓亜」
女の人は妖艶に微笑んだ。