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第3話

『なお、強奪された二億円の現金と拳銃はまだ見つかっておらず、他の一人の行方とともに、捜査中である』


 現金は見つかっていないということは、もう一人の犯人が持ったまま逃げているのだろうか。しかし一体、二億円とはどれくらいの大きさなのだろう。

和樹はネットで調べてみた。


 一万円札のサイズは縦が七六ミリ横が百六十ミリ、厚さは○・一ミリというから、百万円を束ねると一センチとなる。これを一○○万円ずつ束にして、縦に五列横に四列で一○段に積むと、縦三八センチ、横六四センチ、高さ一○センチと、大きめのスーツケースに収まる嵩である。重さは一枚一・○二グラム、二億円で重量約二○キロとなる。


 案外コンパクトだが、街中を逃げ回るには邪魔だろうし、人目にも付く。自分だったらどこかに隠して、身軽になって逃げるだろう。


 そう考えたとき、山の中であの奇妙な行動を目撃したのが、十月二日だったことに気付いた。


 夕暮れ時にあんな山の中に何かを埋めるなんて、どう考えても怪し過ぎる。しかも強盗事件の翌日である。事件の起こった大阪からもそれほど遠くない。あの男が埋めていたのはバラバラ死体とかではなく、強盗犯が奪った現金二億円なのではないだろうか。和樹のその考えは、やがて確信に変わった。


 しかし、和樹はしばらく様子を見ることにした。


 まだ捕まっていないもう一人が、逃亡資金を得るため金を掘り出しに来るかもしれない。そんなのに遭遇すれば危険だ。


 それに、金を掘り出して、自分はどうしようと考えているのか。今はあの強盗事件と自分とは何の関係もない。しかし、現金を掘り出した瞬間、自分は犯罪者になってしまうかもしれない。


 和樹は当面山には近寄らず、パン工場のアルバイトに通い続けた。


 


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