食欲×愛情=?
不穏なカップルの話。昔書いたSSみたいな話です。
「あら?今日はなにかしら」
「スコーンだよ。外国のお菓子」
彼女の前に山盛りのスコーンを置く。
「これはなに?」
「ジャムとクロテッドクリームだよ。スコーンを食べるにはこれがいいって言うんだ」
「ふーん」
ちなみに、ジャムは苺。
「さくらのジャムではないわね」
「……たまには違うのも食べるよ」
すっかり、柘榴がお気に召したようだ。
やれやれと思いつつ、紅茶を入れる。
紅茶の銘柄はアッサムだ。
弟が読んでいた漫画を参考にした。
ちなみに、クロテッドクリームもその漫画を参考にした手製のものである。
そして、彼女はスコーンを食べ始めた。
ジャムもクリームもたっぷりつけて食べている。
両手でスコーンを持って子供のように食べている。
彼女は食に貪欲なのだ。
「ほら、汚れている」
彼女に口ついているジャムとクリームを指で拭う。
「落ち着いて食べるよ」
ぬぐったせいでジャムとクリームが指についていたのでティッシュで拭おうとしたら、
『……』
チュッ
『?』
彼女がジャムのついた俺の指を口に含む。
そして、指に舐められる感触がした。
「あなた、やっぱり」
彼女が瞳を細めて笑う。
彼女の瞳の瞳孔が縦に細長くなる。
それは人ならざるものの証拠。
笑う口からは鋭い牙と長い舌が見える。
「食べないでくれよ」
「どうして?」
「まだ、君の傍らに居たいんだ」
「あら」
彼女は目をぱちくりとさせる。
「そういうことなら、我慢するわ」
「あなた、おいしそう。でも食べたらなくなってしまうもの」
「大好きなあなたを食べないように我慢する」
まるで幼い女の子のように言う彼女。
「そうしてくれるなら、俺も嬉しいよ」
俺は彼女に口づけ、歯をなぞる。
その口内を舐った。
「今の私はあなたに食べられているのかしら」
「そうかもな」
いつか、俺を食べるかもしれない唇と牙。
俺しか味わえない部分だ。
「おいしく召し上がれ。ダーリン」
「いただきます。ハニー」




