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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第四章 邂逅のコビット王国編

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第八十六話

 僕の声でお姫様はゆっくりと目を開けて、大人しくなった。状況を飲み込んでくれたかと思っていたが、そうではなかった。お姫様は下を見ると更にジタバタと暴れだし、僕の頬に何度も何度もパンチがあたった。

「いたっ…! おっ、落ちないから、暴れるなって…! 落ち着けっ…。…このまま城に帰るからな」

「…城に戻るのもいやー! 離せー!」

「おい…いい加減にしろ…。いったっ! …暴れるんじゃない!」

「うるさい! …はなせっー!」

「……わかった。……じゃあ、離そうか?」

 僕はイラッとしたので、諦めた声で少しだけ手の力を緩めた。もちろん落とす気なんてないが、効果はバツグンだった。お姫様の顔色はみるみる青ざめていき、ガシッと僕の体を掴んだ。

「……離さないで下さい」

 かなり、冷静になったようだった。

「じゃあ、帰るからな…」

 お姫様は黙ったまま、コクっとうなずいた。僕は抱き抱えたまま空を飛び城に戻った。ひとまずはミッションクリアといったところだろう。



「…あれ? ここじゃなかったかな…」

「……」

 周りの風景は似ているような気はしたが、そこにはとてつもなく大きい真っ赤なキノコが生えていた。道を間違えてしまったのかと思いながら、お姫様の顔をみると、様子がおかしい。

「うそっ…。なに…これ…」

 表情は消え、受け入れ難い現実に絶望していくそのさまは、ただ事では無いことがわかった。僕は隠れながら、ゆっくりと茂みに降りた。

「…ここは城があった場所で間違いないんだな?」


 「……」

 泣きながらお姫様は無言で首を縦に振った。かける言葉もないが、少なくとも事態はまだ最悪じゃない。どうするべきか僕は考えていた。

「…そうか……」

「早く…助けに…」

「……嫌な予感がする…。近づかない方がいい…」

「……」

 僕は助けに行こうとするお姫様の手を掴むと、手が震えていた。まあ、無理もないか……。

「……それより僕の上半身を支えててくれ。…中の様子をみてくる」

「……」

 彼女は放心状態で全く話を聞いてないようだった。僕はしゃがみこんで、お姫様と視線を合わせた。

「時間がないんだ。協力してくれ。…助けたいんだろ?」

「………ええ……」

「…いいかい? 僕は城の中を確認する為にスキルを使って、しばらく気絶したみたいな状態になる。もし、異変が起きたらなんとか時間を稼いでくれ」

「なんとかって…」

「なんとかだ。話している時間がもったいない。最悪…君の命が危険になったら逃げでもいい。…いいね?」

「うっ、うん」

 僕はステータス画面を開きプレイデットを発動した。距離を伸ばすため、発動時間は一分にしたので急いで移動して城の中に入った。

「これは…」

 どうやら城の中の人は無事なようだが、周りの話を聞くと城の周りのキノコは魔法で破壊しても、すぐに元の状態に戻ってしまうようだ。


「そろそろ一分か…」

 数秒後に僕は本体に戻っていた。お姫様は僕が意識を取り戻した事を確認すると、恐る恐る尋ねてきた。

「…どうだった?」

「中の人は無事だ。ただ、城からでれないみたいだ。あのキノコに見覚えはない?」

「あれは魔力吸いダケみたい…。でも、あんな大きなもの見たことない」

「…魔力吸いダケ?」

「魔石みたいな感じで魔力を貯める事ができるの…。でも、貯めるというよりは、魔力を吸収するって感じで…。このままじゃあ、中にいる皆が危ない…」

「なら、さっさとキノコの本体を倒そう」

「そんなの無理よ!」

「やってみなくちゃわかんないだろ?」

「だって、あなた…レベル5の雑魚じゃない!」

「なっ!? レッ、レベル、みれるのか!?」

 僕は素直に驚いていると少し元気になっていた顔が一気に崩れて、再び泣きそうになっていた。

「みれるわよ…。鑑定眼のスキル持ってるんだから…」

「…ちなみに相手のスキルとかもみれるのか?」

「そうよ…。…なに…これ? あなたのスキル…レベルが上がり辛いって…。うわあああん…。もう、だめだよぉおお!」

 僕のスキルを見ると、お姫様は完全に崩れ落ちて再び泣きだしてしまった。まあ、確かにこのスキルを初めて見たときはそんな気持ちになったけど…。

「いや…その…。ごめん……」

「うわぁああん!」

 ただ、少し希望が見えた。僕と違い相手のHPやMPだけではなく、このお姫様はスキルの詳細まで見れるのだ。もしかすると裏スキルも確認できるのかもしれない。

「…ちなみに裏スキルもみれる?」

「ひっぐっ…。裏スキル…?」

「…その…あんまりよくないスキルっていうか……」

「効果は見えないけど…名前だけならみれる…。うわっ…。でも…凄い悪そうな名前の裏スキルが沢山ついてる…。うわあああん…。やっぱりだめだよぉおお!」

 なるほど、名前だけか…。それでも十分だ。

「…まあ、否定はしない。…でも、君が協力してくれれば、皆をすぐに助けられるかも知れない」

「ひっぐっ…。…ほんとに?」

「ああ…。その前に自己紹介しよう。俺の名前はアルだ。お姫様は、なんて呼べばいい?」

「ひっぐっ…。シャルでいい…」


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