第八十四話
「たっ、大変だったね…。シオンさん…」
「…ああ……。まあ、なんとか終わったよ。もう少ししたら、王様が大臣達を連れてきて、現状を説明してくれるらしい。ただ、急に耳打ちされてから、王様の様子がおかしくてな…。慌てていたが、なにかあったのかな?」
「まっ、まあ、バタバタしてたんだよ」
きっと、アリスのことだろう。流石にこれ以上アリスを刺激するのはまずい。この会話は早くクローズさせよう。
「そうか…」
「そうだよ!」
僕がアタフタしながら話していると、小さな王冠をつけた可愛らしい子供が先頭に立ち、十人ほどのお供を引き連れぞろぞろと部屋に入ってきた。恐らく小さな王冠をつけている子供が王様なのだろう。部屋に入りアリスを見つけると近寄ってきて挨拶をした。
「アリス姫、お久しぶりです」
「おっ、お久しぶりです」
アリスは慌てて椅子から立ち上がると、ぎこちない動きでお辞儀をした。僕もそれを見ると椅子から慌てて立ちあがった。
「お出迎えできずにすいませんでした。どうやら手違いがあって…。まさか、姫様自らがこられるなんて思いもしませんでした。本当に申し訳ない事を…」
「いえいえ、気にしていません」
「本当に遠いところからきてもらい、ありがとうございます。…ところで、お父上は元気ですかな?」
「はっ、はい! お父上は元気です。王様もおかわりのないようで安心致しました」
「まあ、私は変わりないんですが、本当にまずいことになっていて…。…ところで、この方は?」
王様は僕の方を向きアリスに尋ねた。僕は軽くお辞儀をした。アリスと変わらないぐらいぎこちない動きだった気がする。
「はい。彼はシオンさんと同じく戦闘のプロです。必ずやお役にたてるかと思います」
「…彼が? いっ、いやいや、そうか…。君もわざわざ遠いところからありがとう」
「いっ、いえ…。…では、早速本題に入りたいのですが、どういった状況なのでしょうか?」
「ああ、実は…」
話を聞くと、見たこともない黒い一匹の魔物とキノコみたいなモンスター達がコビットの国に生えている魔法のキノコを食い尽くそうとしているらしい。しかも、回復薬等に使える大事なキノコばかりを狙っていて、山は毒キノコばかりになっているそうだ。僕達は、一通り説明を受けた後にいくつか質問してみた。
まず、敵の数を聞いてみたが、どうやら増殖型の厄介な相手で、こうしている今もどんどん増殖しているみたいだ。
そして、増殖を防ぐには火の魔法を使用するのが有効的みたいだが、モンスターの動きを止めた状態で使わなければ、山火事になる恐れがあり本当に厄介な相手らしい。
まあ、敵の正体や状況は大体わかったが、やはり敵の攻略法もその道のプロに聞くのが早いだろう。
「…シオンさんは、過去にこういった増殖型のモンスターを倒したことはないんですか?」
「一回だけある…。その時、私が倒したのは増殖型のスライムだった。本当にきりがなかったよ」
「そのときはどうやって倒したんですか?」
「ああ…。その時はしばらく戦っていくと一体だけとんでもなく強いスライムがあらわれたんだ。なんとかそいつを倒した後に周りを見ると、全てのスライムが消えてたんだ。…恐らくそれが本体だったんだろう」
「なるほど…」
「ただ、その時は限られた場所の中で、そこまで増殖していなかったから倒せたんだ。…今回は違う。この広い山の中で相当数のモンスターの中から本体を探すのは容易ではないだろう」
「……」
確かにその通りかもしれない。…でも、それなら僕のゲーム的予想と持っているスキルが使えるかもしれない。
考えられるルートと攻略法はそれぞれ三つある。
その一、本体が黒い魔物である。
この場合だと見つけやすいので探してデスマッチを発動して倒す。
そのニ、キノコのモンスターの中に一体だけ本体がいる。
この場合は見つけるのが厄介だ。だけど、僕にはプレイデッドがある。それでモンスターのステータスを確認して、キノコの本体を倒す。
その三、全て本体…。これが一番厄介だろう…。もしこうだったら全て倒すしかない。
まあ、まずは…。
「…王様、すいません。船酔いして気分が悪いので少し休みたいんですが、どこか部屋を貸してくれませんか?」
「そうだったの? あんなに船の上で子供みたいに、はしゃいで走り回ってたじゃない?」
僕は体調が悪そうな演技をすると、アリスは不思議そうな顔をして近づいてきた。僕は気づいてくれと言わんばかりに大きく目を見開いたが、感の悪いアリスはキョトンとしていた。
「……」
全くこいつは…敵なのか…。まあ、初めての船旅で想像以上に楽しくて、はしゃぎすぎてしまった僕も悪いんだが…。
なんて事を思っていると、勘のいいシオンさんがフォローしてくれた。流石、シオンさんだ。
「まあ、しばらくしてから悪くなることもあるさ。話は私達で聞いておくから部屋で休んでなよ」
「シオンさん、助かるよ。…王様、そういう事なので部屋を貸してもらえませんか?」
「よし、わかった。部屋に案内させよう」
王様が大臣に声をかけると大臣が部屋からでて行き、後から一人のメイドが部屋に入り僕の方にきて一礼した。部屋まで案内するということだったので、僕は可愛らしいメイドの後について行き部屋についた。




