第七十六話
「…よくわかりませんが、許して下さるのですか?」
「…ああ、当然だろ。空間系の魔法を手に入れるのが、バッドエンディングの条件かも知れないからな。…それはそうと、何個か聞きたいことがあるんだがいいか?」
僕は地面に座って、銅像を眺めた。神様は元気よく返事をした。僕は一安心して、質問に移った。
「…はっ、はい!」
「まず、一つ目に勇者は転生したのか?」
「いえ、まだしていません…。あなたが今いる世界のどこかで眠りについているのでしょう」
「…よし……! 二つ目に…悪魔がもし六体いるなら、吸収しようと思うんだけど問題ないか?」
「なっ、なぜそんな事を!?」
当然、こんな事を聞いても驚かれるだけだが、ヒントくらいは出る可能性はある。神様に聞いてもタダなんだから、気になった事はどんどん聞くべきだろう。質問するだけで金を取る悪徳NPCとは大違いだ。
「ゲーマー予想なんだが…恐らく魔王がそれぐらいしないと倒せない。…恐らくこいつは倒さないといけない気がする」
「…そんな恐ろしい魔物がいるんですね。…吸収に関しては、はっきりいうとわかりません。ただ、悪魔の魂はとっくに消滅しているので、問題ないはずなんですが…」
「動き回ってるのが引っかかるな…」
「はい…」
「…まあ、様子見だな。三つ目は…。…予知って、なにか見える?」
僕はバリアブルブックを開きページを確認すると、以前と同じように文字化けしていた。ただ、少しだけ読めるところが増えた気がする。ほんの少しだけだが、元の未来に戻りつつあるのかもしれない。
「…特に前回と変わりありません。ただ、少しだけ見やすくなったぐらいでしょうか…」
「そうか…。じゃあ、最後に…前に話した幽霊の事なんだけど…。魂を身体に戻すには魂と身体に触れて、リカバリーすればいいそうなんだけどあってる?」
「はい。それで大丈夫です…。ですが…そんなことは…」
「オッケー…。それだけわかれば十分だ…。また、連絡するよ」
僕が話をすませて部屋に戻ると、アリスは椅子に座りベッドに寝ているシルフィーの様子を心配そうに見ていた。
「…アリス、お待たせ」
「用事、終わった?」
「ああ…。やっと進みそうだよ」
「ふーん。…なにしてたか、どうせ聞いても教えくれないんでしょうね?」
「ごっ、ごめん…」
アリスは目を細めて、僕の方を見てきた。僕は自分の頭を押さえながら謝った。
「まぁ、いいわ。…そろそろいい時間だし、シスターが帰ってきたら、一回…城に戻らない?」
「…そうだな。おっと…! そろそろシスター達が入れるように扉の鍵を開けとかないと…」
「そうね…」
教会の重い扉を開けると夕日が綺麗にさしこんできた。僕は何故かその夕日を見ると、アリスとの別れを考えてしまった。
「どうしたの? ぼーっとして…」
ぼーっと夕日を見ているとアリスは僕のところにきて話しかけてきた。
「まあ、黙って行くのもなんだしさ…。一応、アリスには伝えておくよ…。明日か明後日、この国をでようと思うんだ」
「そっ、そんなに急がなくても…。もう一週間ぐらいいればいいじゃない? もっ、もしかして足踏んだの怒ったの?」
「そうじゃないけどさ。…って、やっぱり踏んだんだろ! ちょっと痛かったんだぞ」
「だって変なこというから…」
僕が問い詰めると、アリスはとぼけた顔をしていた。僕はその件については追及するのを諦めた。
「まあいいや。…ってことだから、帰りにアリスのいってたデザート食べに行こう。パーティーの解散会だ」
「うっ、うん…」
僕等はシスター達が買い物から帰ってくると鍵を返して、お店に行きケーキを食べて城に戻った。こんな事言う性格じゃないけど美味しくて甘いケーキも少し悲しい味がした。
…よし、帰ってきたぞ。…ん?
「あれは…シオンさん?」
城に戻ると入口の所にシオンさんが立っていて、少し落ち込んでいるようだった。
「待っていたよ。…こっちはダメだ。…そっちはどうだった?」
「…ヒントは見つけたよ」
「ほっ、本当か!?」
「かなり有力な情報だ」
僕は今までの経緯を全て話す事にした。まあ、神様のことは内緒だが…。
「…って、事なんです」
「…でも、本当に信じていいのか? …そんな話?」
「…俺の予想だと大臣達がなにか見つけてくれてるはずです。…まあ、同盟国が協力的だったら…の話ですけどね」
僕が城を見ながら答えると、お腹を押さえてアリスが話しだした。
「ねぇ、アル…。話しの途中で悪いんだけど…。食べながら話そうよ…。ケーキだけじゃあ、お腹が空いちゃったし…。そうだっ! シオンさんも夕御飯どう?」
「…いただいていいのかな?」
「いいわよ! シオンさんは敵をやっつけてくれたんだから…。この国の恩人よ!」
「いや、あれは私じゃなく…」
シッ、シオンさん! アリスにばらす気じゃないよな!?




