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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第三章 麗しのエルフ王国編

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第六十九話

「なっ、なぜ、君がシルフィー様を知っているんだ!?」

 シオンさんは僕に詰め寄り襟を掴んだ。僕は体勢を崩しそうになり、ベッドに手をついた。ギシギシいって壊れそうだ。

「あのっ、ちょっと…襟を…離してっ…」

「すっ、すまない。驚いてしまって…。…説明してくれないか?」

「じっ、実は…」

 僕はアリスと泊まった宿の黒髪の幽霊の事を話した。話を進めれば進めるほど、シオンさんの顔がドンドンと暗くなり、僕は話をやめようとしたが、シオンさんの強い希望で最後まで話すことにした。



「…って事なんだ」

「そんな…ずっとあの場所に…」

「だっ、大丈夫?」

 シオンさんは急に崩れ、僕は膝をつき様子を伺った。冷静なシオンさんがここまで取り乱すなんて、どんな関係なのだろう。

「ああ…大丈夫だ。…ずっとシルフィー様をこんな状態にしたやつを探していた。やっぱり…あいつがそうだったのか…。君が…君が…敵を討ってくれたんだね…。本当にありがとう…」

「…シルフィーは生きてるの?」

 僕とシオンさんは立ち上がり、シルフィーの方を向いた。血色も悪いといえば悪いが、死人のような感じでもない。なにもいわれなければ、寝ているようにしか見えないが、そうではないのだろう。

「…わからない。…でも、なにを言っても言葉を発しないんだ」

「……」

「…ただ、先日叫び声をあげたと連絡がきてね。心配になって様子を見にきたんだ」

 なるほど…。用事があるというのはこの事だったのか。…というか、叫び声をあげたのは僕のせいかもしれない。

「…ごめん。悪霊だと思ってシルフィーを驚かしたんだ。…そのせいだと思う」

「いや、気にしなくていい。…それで教会にきてシルフィー様にあったら、君の名前を…。でも、本当に関係あるなんて思わなかったよ。…シルフィー様は、今どこに!?」

「いや…その…それがわからないんだ」

「そう…なのか…」

「…とりあえず、リカバリーで様子を見てみるよ。もしかしたら、なにかわかるかもしれない」

「ああ! よろしく頼む…」

「ふぅー…。…リカバリー!」

 …ん? …なんだ? …これ? 

 王様が死にかけていたときと同じ、真っ白なパズルだ。ただ、王様の時とは違って、見かけ上は問題なく綺麗に全部揃っていて、消えそうな感じもない。

「…どうだ?」

「…わからない。…僕じゃ治せないのかもしれない」

「そうか…」

 ……なにか治す方法がないのか。…そうだ! 神様に聞いてみよう。ちょうど教会だしすぐに聞ける。

「ちょっと待ってて! 回復魔法に詳しい人に聞いてくるから…」

「えっ! …驚いたよ。君以上に詳しい人がいるんだね。…わかった。私はシルフィー様の様子を見てるよ」

 僕は部屋を出て神様の銅像が置いてあるフロアについた。銅像を見ると古さは感じたが、よく磨かれてピカピカだ。一応、大事なものなんだろう。

「…おーい、神様。…聞こえる?」

「はい。聞こえてますよ。なんですか?」

「…実は魂と体が離れちゃってる人がいてさ。…その人を助けたいんだけどどうすればいいんだ?」

「うーん…。…魂は近くにあるんですか?」

「…わからない」

「そうですか…。じゃあ、まずは幽霊を体の近くに連れて来てください。それで戻ることもあります。確か幽霊になれるんでしたよね?」

「ああ、なれるよ。じゃあ、探してくる!」

「ちょっ、ちょっと待ってください! 近況報告してください!」

「面倒くさいなあ…。えっと…」

 僕はエルフの王国にきた後に牢屋に閉じ込められ、その後によくわからない魔物を倒して、エルフ達を助ける為にリカバリーを連発したことを伝えた。



「…って、感じかな」

「…いろいろツッコミたい所が多々ありますけど…。まずは無事でよかったです…。ただ、あなたがさらに化け物みたいなステータスになった事に驚きを隠せません」

「俺だって好きでなってるわけじゃないんだけどな…」

「…あのー…確認なんですけど、俺はこの世界の王になる!…ドン!ドン!ドン!…とか、野望はないですよね」

「ねえよ! …っていうかなんなんだ? あの変な魔物…」

「正直わかりませんが、ただの魔物ではないと思います。…少し体を見せてくれますか?」

「見せるっていってもどうすればいいんだ? …服脱げばいいのか?」

「そんなことしなくていいです! しばらくじっとしてて下さい!」

 神様が妙な呪文を唱えると銅像の中から小さな金色に光る球体がでてきた。それは段々と僕に近づき体内にヒュっと入ると、しばらくして銅像に戻っていった。なんか妙にくすぐったい。



「…どうだった?」

「……」

 …返事がない。聞こえなかったのか?

「…ねえ、神様? …どうだったの?」

「…私は生まれて初めての感情に戸惑っています」

「…初めての感情?」

「…恐怖です」

「…神様が恐怖って…どうしたんだよ」

「…わかりません。私も混乱しています。ただ、これは私の恐怖というより…。…すいません。先に幽霊を探してきてくれませんか? …それまでには整理しておきます」

「…ああ、わかったよ。大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫です。では…」

 …どうしたんだろう? なんか様子が変だったけど…。

「……」

 …まあ、いいか。…神様にいわれた通り、先にシルフィーを探しに行こう。

 


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