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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第三章 麗しのエルフ王国編

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第六十七話

「おっそいー!」

 僕が部屋に戻ると王様の言う通り確かにアリスはあの赤い服に着替えていた。僕は窓の方をみて時計台を見ると八時五十分を指していた。

「ごめん、ごめん。…っていうか、まだ時間じゃないだろ」

「まあそうだけど…。そういえば、下でシオンさんが待ってるよ。なんか怖い顔してた気もするけど…気のせいかな?」

「……」

 …怖い顔?

 僕達は階段を下り城をでると、そこにはシオンさんが立っていて、初めてギルドであったときのような怖い顔を確かにしていた。

「おはよう。シオンさん」

「シオンさん。おはよう」

「ああ、二人ともおはよう…。…アル、少し話がしたいんだがいいか?」

「…いいですよ」

「空で二人きりで話したいんだ。アリス姫、十分ほど借りるよ」

「わかったわ」

 二人きりで話したいなんて、一体なんの話だろう。…まさか、上空に伝説の樹でもあるのか!? なんて甘い話じゃないんだろうな…。…というか性別どっちなんだろう。普段は女の子っぽいけど、今は男の人っぽい感じがするし…。…いくらなんでも…さすがに男は無理だな……。

 そんな事を思いながら僕はシオンさんの手を握り、高く上空に飛びだして城の屋根に降りた。いい景色だが、強い風が吹いて会話するには向いてないような気がする。



「…ここなら誰もいないだろう……。単刀直入に聞く…。…お前があの黒い鎧を着た魔物なのか?」

「なっ、なんの話?」

 …まずい。…ばっ、ばれたのか? …なっ、なんで!?

「…とぼける気か? …お前に渡したペンダントが見えたんだ。とぼけるならそれでもいいが…。あの姿…。事と次第によっては…お前を…斬る!」

 シオンさんは剣の柄をスッと握って構えた。僕は驚いて屋根から、ズリ落ちそうになってしまった。

「…なっ!?」

 …しまったぁああ! ペンダントを鎧の中に入れてなかったぁああ!

 シオンさんの方を見ると、かなり怒っていた。…というかこのままでは倒されてしまう。

「…答える気はないということか?」

「…ごめん。シオンさん…。別に騙すつもりはなかったんですけど…」

 …仕方ない。ここは、正直に話そう。シオンさんもキーマンだ。

 僕は今までの経緯…転生したこと以外の事を全て話した。この世界が崩壊することも…四天王を二人倒したことも…呪いのようなスキルのことも…。



「…この世界が崩壊するだと!? そんなバカなことが…」

「信じられないのはわかります。…でも、本当に嘘じゃないんです。まっ、まぁ…証拠はないですけど…」

 自分で言ってても信じられないが、こんな世界に連れてきた神様がいうのだから間違いないだろう。

「…まさか、この前の話は本当だったのか!? 確か…この世界を救いにきたゆ…」

「あっ、あれは、たっ、例え話でして…。急にそんな事を言っても信じてもらえないと思ったんです…」

 僕は慌てて誤魔化したが、もう少しで転生したのがばれるところだった。まあ、変な扱いを受けなければ、別にバレても問題ないんだが、バレた時のお約束というのも忘れてはいない。

「そっ、そうか…。…でも、本当なのか? 四天王を倒して力を吸収したって…。そんなバカなスキル…。まるで…」

「…俺がモンスターや魔物を倒したくない理由はそれです。…試しに変身してみましょうか? …それなら、今からでも証明できます」

「……」

 僕がそう答えるとシオンさんは無言になり、ジッと見てきた。僕がステータス画面を開こうとすると、シオンさんは僕に近づいてきた。

「…いや、しなくていい。…君のあの回復魔法を見せてもらっただけで十分だ」

「そうですか…」

 シオンさんの表情を見る限り、納得してくれたようだった。シオンさんは剣の柄から手を離し、なびく髪に手を当てて、こちらに歩いてきた。

「…過去に近いものはみたことあるが、比べものにならない。…そんな君が言うんだから信じられないが、信じよう。…強力だが恐ろしいスキルだな」

「信じてくれて助かりました」

「…まあ、実をいうと君が魔族の国のスパイかもしれないって事は始めから疑ってなかったんだ。…君が正体不明の魔物を倒して、王様を助けたのは事実からね。もし、魔族の国のスパイならわざわざそんな事しないだろう」

 …なるほど少しカマをかけられたのか。

「なかなかの演技でしたよ。迫真の演技っていうか…。本当に斬られちゃうのかと思いましたよ。ははっ…」

 僕が冗談混じりにそう言うと、シオンさんは一瞬暗い顔をした。見間違いかもしれないけど、誰かを殺しそうな…そんな表情をしていた。

「…別に全部が全部、演技ってわけじゃないけどな……」

「…えっ?」

「いっ、いや、勘違いするなって…。君のことじゃないから…。そっ、そんなに警戒するなよ」

「はっ、はい…」

 こっ、怖かった…。

「それにしても君にはなにか…お礼しないとな…」

 …お礼? …なんのお礼だ? …特に心当たりがないぞ。…まっ、まさかっ!?

「よっ、夜中にイタズラしたから、きっ、斬る気ですか!? ごっ、ごめんなさい! …あっ、あれは違うんです! 寝ぼけてて、つっ、つい、出来心で…」

「…なにをしたんだ?」

 …あれのことじゃなかったのか……。

「ふっ…。演技ですよ…。なかなか上手いでしょ? …もしかして、騙されちゃいました?」

「だっ、騙された〜。もしかして、本当になにかされてるのかと思ったよ」

「はははっ…」

「はははっ…」

「……」

「…さて、冗談はここまでだ。…正直にいえば今なら許してやる」

「実は…」

 

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