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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第三章 麗しのエルフ王国編

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第五十六話

「…なあ、アリス。この辺であってるよな?」

「ええ。あそこの大きな時計台に降りましょう」

 アリスが指差す方向には巨大な時計台があり、その屋上は広場になっていたのでそこへゆっくりと着地した。

「やっとついたな」

「ええ…」

 床にコツンと足がついた。その時、この時計台と同じような高さの建物も見えないのに、妙に音が反響していた気がした。

「なあ…アリス…」

「…なに?」

「いや…なんでもない…」

 少し違和感を感じたけど、気のせいだろう。…なんとか無事についた。僕はアリスの手をそっと離し、一安心していた。その瞬間、無数の緑色に光る線が時計台全体を鳥籠のように囲んだ。

「なっ、なんだ!」

「この魔法は!?」

 上に気を取られていると、腹を数発殴られ気付けば数メートルありそうな緑色の線に体をぐるぐるに拘束されていた。そこまでダメージを受けてはいないが、どうやら捕まってしまったようだ。

「うっ、動けない…」

「やめて! いるんでしょ!?」

 アリスが叫ぶと時計台の裏側から、ぞろぞろと兵士が現れ高そうな服を着た大臣のような老人がゆっくりと僕らに近づいてきた。

「やはり…姫様でしたか…」

「早く彼を離して!」

「それはできません。現在、彼には姫様を誘拐した疑惑がかけられています」

「いつものことでしょ! 私がいなくなるのなんて!」

「…そう。いつものことです。…ですが、今回は違うかもしれない。姫様が洗脳されていわされているのかも知れない」

「洗脳なんてされてないわよ!」

「姫様…。私の口からはいいづらいのですが、彼が誘拐犯になり…死罪になるかならないかは姫様次第ということです。…お察し下さい」

「……わかったわ。すぐに城に戻る。…アル、ごめんね。絶対に助けるから…」

 拘束されて地面に寝そべっている僕にアリスは近づくと、悲しそうな顔をしながら老人の元へ向かっていった。

「では、姫様…。こちらへ…。馬車を用意してあります」

「もし、アルに変なことしたら絶対に許さないから!」

「……わかりました。可能な限りのことはしましょう」

 複数の兵士に連れられて、階段を降りる最後までこちらを見ていたが、アリスが心配しないように僕はにこやかに笑ってみせた。しばらくして、アリスの足音が消えると、隣にたった老人は僕に話しかけてきた。

「…さて、若いの。もう少しすると迎えの馬車がくる。そのあとに牢屋に入ってもらう。…よいな?」

 このあとの選択肢としては、思いっきりちぎって逃げる。このままグルグルまきになったまま逃げる。そんなことを考えていたが、やはり素直に従おう。

「わかったよ…。でも、アリスになにかあったら許さないからな…」

「いわれるまでもない…」

「なら、好きにしろ…」

「…では、少し眠ってもらおう」

「…ん…なにを? …いつっ!」

「次が最後の目覚めにならないことを祈るんじゃな」

「…っ!」

 老人は僕の首に手をあて、チクリと痛みがすると強烈な眠気が襲って来た。どうやら、睡眠薬を打たれたようだ。そうして、僕は深い深い眠りについたのだった。




 床が硬くて冷たい…。頬がひんやりとする…。

「…いったいな……」

 僕は起き上がり周りを見ると、薄暗く堅そうな壁と鉄格子に囲まれていた。通路は松明のような灯りが一定間隔で辺りを照らしていた。まあ、恐らくというか確実に牢屋だろう。完全に捕まってしまったようだ。

「…まずいな」

 僕はステータス画面からスキル画面を開き、マリシアウルネクストを確認した。一応、点滅はしてないようだけど…。

「…悪意はない? それか、点滅するほどではないってことか…?」

 まぁ、今の僕ならこの牢屋を爆発させて、上空から逃げることも可能だけど…。最悪のケースになるまでは、ちょっと様子を見るか…。でも、不当な裁判が行われて…ゲームオーバーになるくらいならそういう手段も考えないとな…。

「…ったく、幼なじみの発明家がいれば逃げられるのに……。仕方ない…。自力コースか…。はぁ…なんか…頭が痛い…」

 現状はどうすることもできない。まあ、アリスのやつがどこまでできるかだな…。…ん? 足音がする…。誰かきたみたいだ。一旦、寝たふりでもするか…。



 

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