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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第二章 憧れのギルド編

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第四十九話

 まばゆい光に突っ込むと大破したバイクの音がきこえてきた。だが、不思議なことにバイクもあの闘技場も見当たらないが、現実に帰ってきたみたいだ。僕は安心すると、さっきまでの緊張の糸がとぎれて、地面に座り込んだ。

「…危なかったわ」

「…なんとか…なったな……」

「…大丈夫そうね。足は震えてるけど…」

「……」

 そこはほっといてくれ…。

「…さて…私はいくわ」

「……ん? まてよ…。…ケガしてるぞ?」

「……大丈夫よ。このくらい…」

「…ちょっとまってろ……。回復してやるからさ…」

「…いいって!」

「………リカバリー!」

 アーデルの周りがキラキラと金色の星屑が降ってきたように輝いた。さっきまで、淋しげな風が吹いていたが、急に勢いよく荒れた風が吹き、僕はほんの一瞬だけ目を瞑った。

「…次に会うときは…本当に最後になると思う。…その次に会うときは貴方を知らない私……。…全力で殺しなさい」

「………なにいってんだよ……。…アーデル? …って、シオンさん!?」

 アーデルが…どこにもいない…。あれ……。全部…夢…だったのか? …シオンさん…隣にいるし……。おかしい…。…お酒飲んだ覚えは無いんだけど……。




 僕は隣にいたシオンさんをしっかりと支えて歩きながら、黄色く光る月をときおり黙って見ていた。今夜の月は綺麗な月だ。だが…その綺麗さの中に相反するものを僕は感じた。そのなにかが一向にわからず、行き先も確認せずにボーとしながら、真っ直ぐ歩いていると、詳しくはわからないが、恐らく大人の遊び場…夜の街についてしまった。全然違う所にきてしまったようだ。早く離れないと…。

「…んっ? …ついたかい? …って、君はなんてとこにきてるんだ!?」

「ちっ、違う。シオンさんが寝てたから昼間の記憶を頼りに歩いてきたつもりだったんだけど、こんな所にでてきちゃって…」

「うーん…。…本当かな?」

「本当ですって…」

「はっはっは。なーんてね。実は方向的にはあってるんだよね。後はここに入らずに右だよ」

「…了解しました」

「…それともまっすぐいくかい?」

「…みっ、右で! シオンさん、止まってないでいきますよ!」

 シオンさんはニヤッと笑っていたので、慌てた僕はスッとこの場を離れようとした。だが、シオンさんがよろけてしまい、僕は慌てて手を握って抱えた。

「おっと…」

「…大丈夫ですか!?」

「大丈夫だよ…。……どうした? …ボッーとして?」

 僕はシオンさんの手を握っていると、シオンさんが沈んでいる妙な映像が頭に浮かび、さっきから気になっていることを聞いてみることにした。

「……シオンさん…この街に闘技場ってありますよね?」

「……この街にはそんなものないよ」

「…でも…闘技大会が開催されるんですよね? 宿屋でポスター見ましたし…」

「…初耳だな。…そもそも…闘技大会は危険だから禁止されてるはずだ……。……夢でも見てたんじゃないのか?」

「……」 

 …やっぱり…夢だったんだろうか?

 僕は釈然としない気分のまま、三十分くらいまっすぐ歩いていたが、シオンさんの自宅前につくころにはやっぱり夢だと思うようになっていた。だって…あまりにも非現実の中でも現実的じゃないからだ。



「よし、そろそろおろしてくれて大丈夫だよ…」

 少ししゃがみ込んでシオンさんをゆっくりと降ろしながら、僕は自宅を眺めた。

 よくみるとシオンさんの家って小さいしボロいよな…。作りはしっかりしているけど…。所々ペンキが剥がれてて、とてもお金持ちの住む家にはみえないし…。まあ、世界を旅してるらしいし、家なんてそもそもいらないのかもしれないけど…。

「じゃあ、僕はこれで…」

「待ちたまえ…。今日は遅いしここに泊まるといい。さっきみたいに迷ってしまうよ。まあ、お姫様の事も心配かもしれないが、警備もいるしこの街にいる限り安全だろう…」

「うーん…」

 まぁ確かにこの街にいれば大丈夫か…。宿の場所もわからないし…。肉体労働して疲れたし…。よしっ…。今日はここに泊まらせてもらおう…。

「…どうする?」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

 それから僕は部屋に入り軽くシャワーを浴びた後、歯磨きをして長いソファーに寝転がった。シオンさんは僕の服を洗ってくれた後、同じようにシャワーを浴び歯磨きをしてベッドに入り灯りをけした。



「…なあ、まだ起きてるかい?」

「はい…。起きてますよ」

「…ちょっと、こっちにきてくれないか?」

「どうしたんですか?」

 僕はソファーから起きて月明かりを頼りにベッドまでいくとシオンさんが笑みを浮かべて僕の手を引っ張った。そのせいで、僕はよろけてベッドに倒れてしまった。

「…疲れがとれないから、こっちで寝なよ」

「そっ、それはまずくないですか?」

「…どこがだい? 男同士なら全く問題ないだろ?」

 いや、まぁそれはそれで問題ある気がするんだけど…。…というか、顔がかなり赤いけど結構酔っぱらってるのか?

「…酔ってるんですか?」

「酔ってないにゃ…」

 …完全に酔っぱらってるな。…ついでに他の質問をしてみるか。

「…シオンさんって、やっぱり男なんですか?」

「…それは秘密だよ」

 …そこまでは酔ってないのか? まぁ、いいか…。確かに柔らかいベッドの方が寝心地がいいのは確かだ…。割とベッドも広いし、使わせてもらおう。

「…じゃあ、おやすみなさい」

「うにゅ…。おやすみ…」

 僕は綺麗なシオンさんを見て少しドキドキしていたが、ここ最近、魔族の反撃に警戒し精神的な疲れがたまっていたのかもしれない。ベッドに入ると数分後には眠りに落ちてしまった。





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