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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第二章 憧れのギルド編

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第四十三話

「そういえば秘密の任務があるっていってたけど…。私を送り届けたら、さっきの人に手伝ってもらうの?」

「まぁ、一応…」

「…一応?」

「…うん。…本当にコーラをわけてあげるくらいで手伝ってくれるのか心配だよ」

「コッ、コーラって…。秘密の任務ってそんなに簡単なの!?」

「…いや、かなり難しいと思う」 

「…なら、お金を普通に払えば?」

「うーん…。実はその人…お金で払うと本当は依頼料がかなり高くて…。すごい強そうなんだけど…」

 不安そうに僕がいうと、アリスはベッドから飛び降り、バッグの中からお財布を取りだして話しかけてきた。

「…いくらなの? ちょっとくらいは、その…協力するよ?」

「…一千万ギルだって……」

 僕が真面目な顔をして一千万いうと、アリスの手から可愛いリボンのついたお財布がボトッと床に落ちた。口をあんぐりさせている。まあ、僕も同じリアクションをするだろう。

「…なっ、なにがどうなったら一千万がコーラになるのよ! …冗談いわれたんじゃないの?」

「…そうなのかな?」

 僕は床に落ちた財布を取り渡すと、アリスはバッグの中に直して、小言をいいながらベッドに戻っていった。

「全く…心配して損した…。冗談に決まってるじゃない! それか騙されてるか…。…それとも…アルの冗談なの……?」

「ちっ、違うって…。本当にいわれたんだよ!」

「でも、そんなに高い人いるのかな…。…本当に誰なんだろ? …有名な人なの? 名前は?」

「…名前? シオンって名前だよ」

「シッ、シオン!? シオンにあったの!?」

 驚いた様子でベッドから起き上がると、僕に物凄い勢いで迫ってきた。

「なっ、なんだ…知ってるのか?」

「当たり前でしょ! 王都でもかなりの有名人よ。女の子のファンクラブもできるくらい…。冷徹の美少年剣士って言われてて謎に包まれてるんだけど、でもそこがまた格好いいって…。帰ってきてたのね…。私も会いたかったなー。…っていうか知らないの?」

「…知らないよ。でも、アリスがお年頃ってのはわかった…」

 僕が冗談っぽくいうと、これ以上ないくらいアリスの耳が赤くなり慌てて否定し始めた。

「そっ、そんなんじゃないって! 周りが騒いでるから一回会ってみたいってそれだけよ!」

「動揺してる…。怪しい…」

「わっ、わたしが悪かったわよ。さっきは、からかってごめんなさい…。だから、もうやめて…」

 流石に可哀想なのでこの辺で勘弁してやろう。

「まぁ、許してやるか…」

「ありがと…。ところで…その…シオンさんはこの街にまだいるの?」

「どうだろ…。しばらく用事があるっていってたし…。まぁ、今度あったときにアリスにあってくれないかって聞いてみるよ」

「ほんとっ!? よし、今日の夕飯は私のおごりよ!」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」



 そんなこんなで僕は夕飯をご馳走になることになった。アリスについていくと、割と人の多い人気店で中に入ると店員さんに薄い暖簾のかかった個室に僕達は案内された。

「…なかなかいい雰囲気だな」

「…なに頼む?」

「アッ、アリスのおまかせで…」

「いいの? じゃあ、適当に頼むわね」

 メニューは、よくわからなかったのでアリスに頼んでもらい、夕飯は色や形は違うがレタスとトマトの味のサラダ。次に、ジャガイモの味みたいなスープに、なにかよくわからないが牛肉みたいな味のジューシーな脂ののったお肉…。そして、見たこともないフルーツがのったゼリーがでてきた。

「これ、おいしいわね…」

「初めて食べたよ。なかなか美味だな…。はむっ…」

 食べてみるとわかるがとてもおいしく、味覚はパラレルワールドといえども同じであることに僕は安心した。



「ああ、おいしかった…。アリス、ありがとっ!」

「いえいえ、どういたしまして…。…ん?」

 何故かアリスはキョトンとした顔で僕の左上を見ていた。気になって振り返ると、そこには黒いフードを被り、メガネをかけた人物が立っていた。

「やあ…」

「…えっ? …もしかして……」

 部屋で見たあの姿に慣れてしまっていたので、少し気づくのが遅れたが、よくよく見るとシオンさんだった。今は服装のせいかもしれないが、不思議なことに少しかっこいい男性に見える。

「後ろ姿が似ていたから、もしやと思ったが…。こんな所で君と会うなんてびっくりしたよ。…私も座っていいかい?」

「はい、いいですよ…。…アリスもいいよね?」

「いいけど…。ねえ、この人…誰? …あなたの知り合い?」

「…えっ? ああ…君が会いたがっていた人だよ」

「…えっ!? もっ、もしかして…シっ…シオンさんですか?」

 アリスは驚いて一瞬大きな声を出したが、恐らく騒ぎになるのを恐れて小さな声で質問していた。シオンさんはフードを脱ぎ、僕の隣にスッと座った。

「そうだよ。ところでこのお嬢さんは誰なんだ? 君のこれかい?」

 シオンさんは笑いながら、小指を立てて僕に尋ねてきた。なんか少しオヤジ臭い…。

「違う、違う…。アリスっていって、ボディーガードをしてるんだ」

「…ボディーガード?」

「はい。はじめまして…。アリスっていいます…。ヨロシクオネガイシマス…」

 こいつ…わかりやすいくらい緊張しているな…。

 シオンさんはメニュー表を取って顔をアリスから隠すように持つと、急に僕の方をジロジロと横目に見ながら話しだした。何故か少し機嫌が悪そうだった。

「ふーん…。作家の卵がボディーガードか…。変わったこともあるんだな」

 そうだった…。作家の卵っていったんだった…。まずい…。なんとか誤魔化さないと…。


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