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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第二章 憧れのギルド編

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第四十二話

 宿屋に帰り部屋に入るとアリスがベットに座って足をブラブラさせていた。可愛らしい口が尖っていてやや不機嫌のようだった。

「あーやっと帰ってきた。どこいって…。あれ、なんで服変わってるの?」

「…えっ? まぁ、色々あってさ…」

「色々ってなに?」

「色々は色々だよ」

「…それっていえないことなの?」

 ソファーに座った後、ふとアリスの顔を見ると、目を細めて明らかに嫌悪した顔になっていた。僕は必死に伝えようとしたが、本当になにもないのに必死に伝えようとすればするほど、自分でもわかるくらい胡散臭くなる。

「ちっ、違うっ! 決して変な理由じゃない!」

「動揺してる…。怪しい…」

「急に変なこというからだ!」

「じゃあ、なにがあったの?」

「いや、それは…」

 あまり話してしまうと危険なことに巻き込んでしまうかもしれない。限定して話そう。

「じっ、実は秘密の任務があってさ。ギルドにいってきたんだ」

「秘密の任務ってなに?」

「いや、そこは秘密なんだけど、情報を手に入れる為にギルドにいってたんだ。…それで、その交換条件として炭酸入りのコーラを渡したんけど…。…後は想像つくだろ?」

「ぷっ、はははっ…。まぁ、本当はそんなところだと思ってたんだけどね…。だって、コーラ臭いし…」

 まだ、臭うのか…。まぁ、鼻が慣れてしまったんだろう。全く大人をからかいやがって…。

「まぁ、そういうこと…」

「どんな人だったの? そのギルドの人?」

「うーん…。世界を股に掛ける黒服着た長髪黒髪の男性?」

「…なんで疑問系なのよ」

 なんでかっていうと…。

「ギルドの受付の人は男っていってたんだけど、ぱっとみ…アリスが明るい可愛い系だとすると、その人はクールな綺麗系の女の子って感じでさ…。…まぁ、少し緊張したよ」

「さっ、さり気なく変なこといわないでよ!」

 よく見るとアリスの耳の先が赤くなっていた。案外、褒められるのに慣れてないようだ。…よし、仕返しに褒めちぎろう。

「正直、アリスって俺がみた女の子の中で五本の指に入るくらい可愛いいよ」

「急になにいいだすのよ!」

「肌も綺麗でスタイルもよくて可愛くてさ。一流モデルみたいだよ」

 …おっ、更に赤くなってきたぞ。面白いな…。…ん?

 突然、アリスはベットから立ち上がり僕の目の前に立った後、右手をあげて人差し指を立てた。

「…どうしたんだ? 私が一番可愛いってアピールか?」

 そんな冗談をいうと、アリスの人差し指の上に小さな火の玉が浮かび上がった。嫌な予感しかしない。

「これ以上変なこといったらファイアーボールをあてるから!」

「まっ、まて! もういわないから! おみやげもあるから! なっ!?」

「…ならいいわ。早くおみやげだしてよ!」

 アリスが手を降ろすと赤々と燃える火の玉は萎んでいった。とりあえず、一安心といったところだ。

「全く恐ろしいやつだな…。はい、おみやげ…」

 ボトルが似ているからなんともいえないが、一応お詫びの印にバッグの中からバニラ味のコーラをイメージして取りだした後、アリスにポンッと優しく投げた。後でこっそり飲もうと思ってたのに…。

「変なこというからでしょ。でも…あ…。…ん? また、コーラ!?」 

「いっ、いらないんならやっぱり返して…。そっ、それか半分…。あっ、あぁっ、あぁ~」

 一口飲むとそのままボトルを傾けて、ゴクゴクと飲み始めた。ああ…せめて…ちゃんと味わってほしい…。おっ、俺のコーラが…。

「なっ、なにこれ! この変わった味のコーラ…。すっごい美味しい!」

 …やっぱりイメージすれば取りだせるみたいだな。…どうでもいいか。

「…はぁー。…飲んだんだから許してくれよ」

「許すから教えてよ! これ、どこに売ってるの!?」

「…非売品だよ。報酬で少しだけもらってきたんだ」

「報酬?」

「ああ、クエストを受けてさ…」

 続きを話そうとするとアリスはコーラをテーブルに荒っぽく置いた後、僕の襟を持って揺さぶり始めた。

「どういうことなのよ! 私に黙ってなんで勝手にそんな面白そうなことしてたの!?」

「くっ、苦しい。アッ、アリスは寝るっていってたから…」

「クエスト受けるなら起きてたわよ! 当然、明日も受けるんでしょ!?」

「うっ、受けないよ」

「信じらんない。私、クエスト受けてくれるまでここからでないから…」

 襟から手を離すと不服そうにほっぺを風船のようにふくらませながらベッドに横になった。本当にワガママな子だ。

 …まいったな。

「…っていうかアリスの護衛がクエスト受けてるようなもんだろ」

「……」

 …無視かい!

「なぁ、明日は王都にいこうと思うんだけど…」

「……」

 …ダメだ。…反応がない。くそぅ…。秘密兵器をだすしかないのかぁ…。

「…はぁ……。…実はさ…他にも変わった味のコーラがあるんだ」

「……」

 僕の言葉にアリスはなにもいわなかったが、やたら耳がピクピクと動きだした。…もうひと押しだろう。

「アリスが黙ってついてきてくれたら、そのコーラ…半分あげるよ」

「…全部ならいいよ」

「全部だとっ!?」

「…うん」

 …ここでモタモタしている場合でもないし諦めるしかないか。

「わっ、わかったよ」

「…ほんとに?」

「…でも、王都についてからな」 

「やったぁー!」

 振り向いたアリスはとってもにっこりと笑っていた。どうやら機嫌が治ったようだ。代償はかなり大きいが…。

「…ついてからだからな……」

「わかってるわよ。…まぁ、全部っていったけどアルが無事に王都まで護衛してくれたら、ちょっとだけわけてあげるからね。…感謝してよ?」

「…ああ……」

 そもそも俺のコーラなんだが…。


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