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クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第六章 孤絶のドワーフ王国編

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第百六十四話

「……」

 どうしたんだろう…。まっ、いいか…。俺も疲れたし寝るか…。

「…ねえ、アル!」

「…ん?」

 部屋に移動しようとすると、ヒステリックな感じでアリスが大きな声を上げた。アリスの表情を見ると、解決したっていうのにいつもの笑顔が消えたままだ。理由を探してみたが、やはり見当がつかない。

「お願いがあるの…。…私も精霊の力が使えるようになりたい!」

「……どうしたんだ…急に?」

「私…アルの事が心配なの…。アルのスキル…なんだかとっても嫌な予感がする…。…倒した敵を吸収するなんて、どう考えてもおかしいよ!」

「いや、気をつければ大丈夫…。…って、なんで、それを!? …まさか、シオンさんが!?」

 シオンさんの様子が変だったことを思い出していると、アリスはコクっと首を縦に振った。

「うん…。でも、シオンさんは責めないであげて…。私が問い詰めたの…」

「別に責める気はないけど…。…なんで、わかったんだ?」

「ウィンディーネも変なことをいってたの…。契約者じゃないけど、悪魔みたいな力を感じるって…」

「でも、それだけじゃ…」

「……」

「…おっ、おい!? …どうしたんだ、アリス?」

「……」

 アリスは黙ったまま近づいて、僕の右手をギュッと触ると、頬から涙を流して胸元にうずくまった。僕は気の利いたこともできず、静かに背中を撫でることしかできなかった。



「…落ち着いた?」

「…シャルがみたの……。あなたの腕が黒い魔物の腕になっていくとこを…」

「……」

 しまった…。あの時か…。

「それで、思い出したの…。あなたがモンスターを倒したくないっていってた事…」

「隠してたのは悪かったけど…。心配かけたくなかったから…」

「…そんなこと気にしてるんじゃない! お願いだから、これ以上、敵を倒さないで!」

「…なるべくそうしたいけど、あの黒い魔物は手に入れておきたいんだ。全部…。魔王を倒す為にもっと力がほしい…。もっとだ…」

「なんで…そんな楽しそうな顔でいうの? アル…なんだかおかしいよ…」

「……」

「…ごっ、ごめん、違うの! そんな事いいたかったんじゃないの…。私、部屋にいくね…」

 アリスが広間からでていくと、僕は頭をガシガシと掻きながら、バタッと倒れてソファーに寝転がった。平静を装っていたが、アリスの言葉に少しだけショックを受けていた。

「楽しそうな顔…か…」

 あまり自覚したくなかったけど…確かにそうかもしれない…。まるでゲームをやってるような感覚に陥るときがある。前よりも更に強く…。

「ああっ…くそっ! 少し寝るか…」





 僕が疲れて目を閉じると、あの上下左右のわからない暗闇に僕は立っていた。そして、また少しだけ大人びた奴の声が聞こえてきた。

「いやー…今回も驚かされたよ…。精神を切り離して、ドゥラスロールを発動するとはね…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ…。今のどういうことだ?」

「…自覚してなかったのか? そうか…。無意識に…。だが…おかしいな…。無意識と言うにはあまりにも…」

 …精神を切り離す!? なに、物騒な事を…。

「…おい、説明しろよ!」

「……あれは…君がもう使っていない子供の時の精神を切り離した存在なんだ…。失った子供心…といってもいいかもしれないね…」

 失った子供心…? 

「そうだ…。ついでに色々と聞きたいことがあるんだ…」

「…なにが知りたいんだい?」

 僕は立っているのが疲れたので声のする方を向いて座った。目の前にいるはずの見えない相手を必死に見ようとしたが、やはりなにも見えない。ただ、そこになにかがいるのだけはわかる。

「まずは…お前の正体についてだ」

「んーそうだな…。…普通にいうのもつまらないし…当ててみなよ? …チャンスは一回だ」

 当ててみろ…か…。いいだろう…。すでに予想はつけてる…。

「お前の正体…ズバリ、裏スキルを確認するスキル…インビジブルビジブルだ!」

 僕はどこにいるかもわからない相手に向かって、名探偵になったような気分で自信満々に答えた。

「…残念、ハズレだよ」

「なんだよ…。唯一任意発動タイプの裏スキルでデメリットないから怪しいと思ってたのにな…」

「…なにをいってるんだ? デメリットならあるだろ? 裏スキルを認識できる事…。それ自体がデメリットだ。認識した時点でより効果が深まる。この世界では特にね…」

「そんなことって…」

「まあ、逆にいえば認識さえしなければ、ある程度否定することもできたのかもしれないね…。もう遅いけど、ハッハッハ…」

「笑うとこじゃないだろ…。でも、まあいいか…。大変な目にあってるけど、裏スキルを認識してなかったら、ここまでこれてなかったかもしれないし…」

「そうだな…。…確かにその通りだ……。君はここまで来てしまった…。魔法も使えない……。黒騎士にもなれない……。負けるはずだったのに……。なぜ…君は勝つことができたんだ……?」

「…どういう意味だ?」

 目の前にいるはずの人物は急に消えてしまったかと思うくらい静かになった。長い沈黙が終わって、そいつは淡々と話を始めたが、別人かと思うくらい恐ろしい声に変わっていった。

「……俺からも質問だ。…ハッピーエンドのゲームとバッドエンドのゲーム…どっちが好きだ?」

 …変な質問だな……。

「…ハッピーエンドに決まってるだろ」

「……質問が悪かったな…。もし、バッドエンドのゲームを手渡されたら君はやるかい?」

「……やらないかもな…。なんかせっかく頑張ったのに報われないって…。つまんないだろ…。やってて…嫌になるっていうかさ…」

「そうだな……。俺もさ…。もし…そんなゲームをやってることに気づいたら…。…例え…主人公に恨まれてでも…途中で電源を切るだろう……」

「なんなんだよ…。…急に変な質問して? …ん? なんだ今の音…」

 ガシャっと妙な金属音が聞こえたあと、下の方から扉の閉まる音が聞こえた。その音を聞いた途端に体中の力が抜けていく感じがした。

「もう少しみていたかったんだけどね…。残念だが…これで…最後にしよう…」

「最後って…なにがだよ…」

「…今…君の裏スキルを全て奪った……」

「…なっ!?」

「…君は元の世界に帰れ!」

「…はあ!?」





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