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クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第六章 孤絶のドワーフ王国編

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第百六十二話

 思いっきり壁に突き飛ばされたものの、剣は鞘に収まったままだ。僕への敵意は感じないが、不思議なことにひどく取り乱し、震えた左手で顔を強く押さえつけていた。

「……助けてくれたのには礼をいう…。…今回は見逃してやるが、私の獲物を狙えばお前は殺す…。…いいな!」

「…おっ、おい! 復讐なんてやめろって…。…なっ!」

 ゼロの右手から突如として放たれた炎の矢が後ろの壁を貫通すると、見るからに危険そうな光が段々と強く輝きだした。咄嗟に壁から離れて地面に伏せたのは正解だった。その数秒後に岩壁を砕くほどの衝撃破と共に土煙が舞った。



「……」

 …もういないみたいだな……。

 パラパラと小石が落ちたあとに顔を上げると、どこにもゼロの姿はなかった。周囲の状況を確認すると、矢が刺さった岩壁は丸くえぐれていたが、僕がさっきまで座っていた場所はそこまで被害はないようだ。見逃してやるって言葉は嘘ではなさそうだ。

「…とめれなかったな……」

 完全に姿を隠してしまうその刹那、怒りや憎しみや悲しみ、そういった負の感情を織り交ぜたような表情をしていた。誰かに止めてほしそうなそんな表情にもみえたのは、僕の願望なのかもしれない。

「……」

 なんか…可哀想なやつだったな…。できれば復讐をやめさせたいけど…。

 そんな事を考えていると、ヒョコっと地面の中から少年が現れ、キョロキョロと辺りを見渡している。僕が見る限りケガはしてないようだ。

「…大丈夫か?」

「…なんだ…また隠れてたのか?」

「…仕方ないだろ。大人のケンカに子供は入れねえよ」

 僕はルアの落ち込んだ表情を見て、少し嫌な思い出を思い出した。

「まぁ…確かにな…。…今のは俺が悪かった……。……ごめん」

「あっ、謝んなって…。俺だって…悪かったんだし……。……でも…いつから大人なんだろうな……」

「……それは…」

「…そっか! …わかったぞ! 悪いことしたら謝る…それが大人だ…。……相棒…悪かったな…」

「…そうだな」

 …それが案外難しいんだよな……。

「…これで俺も大人に近づいたぜ…。今度、会ったらさっきのやつとも仲直りしろよ! …さて…そろそろいこうぜ……。…これ以上ここにいても仕方ないだろ?」

「そうだな…。みんなの様子が心配だ…」





 僕等は外にでた後に上空に浮かんだ船に戻ると、皆はソファーや椅子でグッタリと倒れていた。皆は僕が操舵室に入ると、痛みを抱えながら起き上がろうとしていたので、慌てて止めてリカバリーを順番にかけていった。慣れない戦闘のせいかシオンさん以外はリカバリーをかけてもゲッソリとしていたが、それでも少しずつ顔色は良くなっていた。

「みんな、無事でよかった…」

「無事だけど、疲れたよ…。…ところで、なんでアルが二人いるの?」

「…こいつは……」

「…俺か? 俺の名は…モゴモゴ…」

「本当の名を知られるのはまずいから偽名を使ってくれ…。君は……ルアだ…。…いいね?」

 僕が適当に答えようとすると、小さな僕が勝手に自己紹介を始めようとした。僕は即座に彼の口を封印して、みんなに聞かれないように小さな声で耳打ちすると、少年はニコッとした後に頷いた。この子は僕に似てこういうことには非常に協力的だ。

「…俺の名は…ルアだ。よろしくな…!」

「…それで、誰なの?」

「まっ、まあ、色々とあったんだよ…。仲良くしてくれ…」

「うーん…。まあ、いっか…。ほら、私の部屋にお菓子あるからおいで…。それに、アルにもらったコーラもあるよ〜」

「…えっ? そうなのか? 仕方ないな〜」

 ルアとシャルは手を繋いで仲良く広間をでていった。僕はニコニコした二人が出ていくのを微笑ましく見たあとにウィンディーネに現状を尋ねた。

「そういえば、ウィンディーネ…。…この国の封印はどうなったんだ? まだ、尻尾が消えてないみたいだけど…大丈夫なのか?」

「いずれ元の状態に戻るわよ…。なにしろ…本体を倒したんだし…。、…まあ、貴方の話が本当ならね?」

 ウィンディーネは僕の肩に乗り、チョンっとほっぺをつついた。僕は頬についた水滴を指で払った。

「本当だって…。それなら、いいか…」

「まあ、ついでにいうと…封印はかなり解けてるわね…。…特にこの付近なんて普通に魔法が使えるんじゃない?」

「…大丈夫なのか?」

「まっ、悪魔の力も完全に停止したみたいだし…。もう、封印も必要ないでしょ? …どうする? せっかくだし、解いちゃう? まっ、デメリットもあるけど…」

「…デメリット?」

 ウィンディーネはヒラヒラと飛んで目の前に立つと、急に僕のペンダントを指差した。僕は手に取ってみたが、特にそれらしい異変は今のところ起きてない。このペンダントがどうしたのだろうか。

「…貴方の持ってる魔石のMPが回復しなくなるわね…。それとつなげてるし…」 

「そうだったのか…」

「…さあ、どうする? 貴方も過去の愚者と同じように力を求めるのかしら? …それとも……」

 この魔石のMPが回復しなくなるのは痛いけど…。まあ、仕方ないか…。

「よし、解除し…」

「ちょっと待ってくれ! …悪いんだけど、このままにしといてくれないか?」

 封印の解除をお願いしようとすると、慌てた様子でエリックが話を遮った。下を向いて深く考え込んでいるようだったが、僕が尋ねると、エリックは真剣な眼差しでみつめてきた。

「…どうしてだ? みんな、魔法が使えるようになるのに…」

「なんていうか、これでいい気がするんだ…」

「…でも、不便じゃないか?」

「確かにな…。でも、この国は魔法の使えない国だから、別の新しい可能性を見つけようとしてる…。そう、思うんだ…」

「…新しい可能性?」

「ああ…。ドワーフの国がここまで発展できたのは、きっと魔法が使えなかったからだ…。初代ドワーフ王もそれを望んでる気がするんだ…」

 なるほど…。確かに僕たちの世界もそうなのかもしれないな…。

「わかったよ…」

「そうだ! 船を俺の家におろしてくれないか? 取ってきたいものがあるんだ!」

「いいけど…。…なんなんだ? 取ってきたいものって?」

「それはみてのお楽しみだ!」

 エリックの家の近くに着陸すると、エリックは船から降りてどこかへ急いで向かっていった。あんなに急いで、どこにいったんだろう。





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