第百五十四話
「なんとか倒せたな…。まあ、これくらいならなんとかなりそうだ。… ん? …あつっ! それに、なんか焦げ臭い…。…って、服が燃えてる!」
着ていることを忘れていたが、透明化する服が燃えてしまったようだった。唸り声も聞こえたので、すぐに服を脱ぎ捨てて、モンスター見ると、ゆっくりと起き上がっていた。さっきまで切り刻んだ傷は赤く光りながら消え、ゼロになったHPは段々と元に戻っている。
「グゥルルルル…」
「なるほど…ゾンビってこういうことか…」
「…ウォーーーーン!」
「…ん? なんだ…」
剣を構えるとモンスターはすぐには襲いかからず、不思議な行動をとった。妙な鳴き声で洞窟中に声を反響させたのだ。すると、洞窟の奥の方から、地響きと共に十匹程度のモンスターが集まって、気づけば僕の周りをうろついていた。
「グゥルル…」
「なっ、なるほど、仲間をよぶね…」
「ガァッ!」
「うおっ…! あぶなっ…。だったら…これで…!」
モンスターは口から火を吐き暴れながら僕に攻撃を仕掛けてきた。迫りくる火柱を壁を走って避けながら、口と手足に風の拘束魔法をかけた。
「ふぅ…。これで動きは封じたけど…」
「グゥゥゥ…」
「まいったな…」
こんな感じでモンスターを拘束しながら進んでいたらきりがない。
「…ん?」
モンスターをよく見るとあることに気づいた。僕は空中から降りて確認したが、やはり間違いない。
「…尻尾が二つある?」
そうか…そういうことか…。一つはこのモンスターの尻尾、そしてもう一つは…。
「……あの尻尾だ…」
なるほど…。これがエネルギー源なのか…。
僕はコンセントを抜くようにポンポンとそれを外すとモンスター達は土へと帰っていった。一安心した後に僕は燃え残った服を拾って、リカバリーをかけてみたが、残念ながら何の機能もないただの服のようだ。
「とりあえずは解決だな…。でも、無線機能はこわれてるみたいだ…。伝えたかったんだけど…。そうだ…。エンチャントしてみるか……!」
補助魔法器具だとしたら、僕なら直せるかもしれない。アイテム画面を開いてみると、文字化けばかりの画面が現れ、一目見てそれが壊れていることが分かった。流石にこの状態でエンチャントすると、嫌な予感がする。
「…ステータス…どう思う?」
ステータスに確認すると、高度なエンチャントが組まれていて、やはり修復はできないだろうとのことだ。
「…仮にうまくいっても呪いの装備みたいになりそうだな……」
そんなエンチャントを誰がしたのかも気になるが、僕はその話を聴いて、試しにその辺に落ちている石ころを拾った後に無茶苦茶なエンチャントをかけてみた。すると、石ころは段々と赤くなりヤバいと思って投げ捨てると、最後には四方に爆散した。
「……うん…。…やめとこう」
まぁ、ウィンディーネがいるから大丈夫か…。さて、これからどうするかな…。
「…ん? これは…」
服をバッグに入れようとしたときに地面に青い丸薬が一つ落ちていることに気がついた。どうやら、シャルの薬がケースからはみ出て、僕の服に紛れ込んでいたようだ。もう元に戻っているので、捨てようかと思ったが、最初に飲んだ薬の副作用みたいなものが時間差で出てくることを恐れ、すぐに取り出せるようにズボンのポケットにしまった。
「…さて…行くか……」
目の前の洞窟をみると、ここから先はポツンポツンと灯りあるだけで、ほぼ真っ暗だった。
「……」
下手に灯りをつけて進むと危険そうだ…。…かといって灯りをつけないと、なにも見えないし…。なんかいい方法ないかな…。
「うーん…」
こんな状態で使えそうな裏スキルはない…。…なら、ゴーレムを何体か作って戦わせるか? マニュアルタイプではなく、オートタイプの戦闘ゴーレムを…。
「…いでよ…ゴーレム!」
目の前には土偶のようなゴーレムが二体現れた。だが、ゴーレム達は穴の中に入らずにお互いが目を合わせた後、戦闘というかケンカを始めて気が付けば壊れていた。
「だっ、だめだな…。シャルのいうとおり難しいみたいだ…」
やっぱり、このまま進むしかないのか…。
「…ん? …なんだこれ?」
…スキルが点滅してるぞ? 一体なんのスキルだ…? なんだ…ドゥラスロールか…。よくわからないけど、使えなかったⅣのスキルが使えるようになっているみたいだ…。でも…。
「つっ、つかえねえ…」
僕はがっくりとしながら、ステータスの説明をみていた。
〈地の虚構を従え、真実となせ〉
〈Ⅰの影:HPと引き換えに相手の意識を奪う事ができる。ただし、対象の意識を開放した場合、HPは元に戻る 〉
〈Ⅱの影:対象の影と本体を入れ替えることができる〉
〈Ⅲの影:あらゆる物質をクリエイトする事ができる〉
〈Ⅳの影:全てのMPを引き換えに爆発的なエネルギーを起こす事ができる〉




