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クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第六章 孤絶のドワーフ王国編

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第百五十一話

 ウィンディーネが呼ぶと、ヴォルトはエリックの前にスッーと飛んだ。ヴォルトはなにもせずフワフワと飛び、彼をジッと見ている。彼に力を貸すかを見定めているようだ。

「俺はダメなやつだ…。それでも…超えちゃいけないラインは超えてないつもりだった…」

「……」

「…それでも…頭を空っぽにして言われるがままに作った俺の責任だ……。……ヴォルト様…俺に力を貸してくれ…」

「……」

「少しでも償いをしたいんだ…。頼む……」

「……」

 ヴォルトがエリックの周りをくるくると回りだすと、エリックの胸に棒状のペンダントが浮かび上がった。エリックは姿こそ変わらなかったものの、紫色の光が薄っすらと覆った。

「なっ、なんだ!? 力が溢れてくる!?」

「よかったわね…。ヴォルトが優しくて…。でも、裏切ればわかってるわね。ヴォルトがやらなくても私がやるわ…」

「そんなつもりはない…。アル、俺はなにをすればいい?」

「ちょっ、ちょっと待ってくれ。…ウィンディーネ! ウィンディーネも誰かに加護を与える事はできるのか?」

「…私にも力を貸せと? …あなた達、人間に?」

「頼む…」

 ウィンディーネは僕が頼み込むと、腕を組んで嫌そうな顔をしながら目をつむった。ただ、そこまで嫌そうな感じではない。なんとなくだが、もう一押しか二押しで行けそうだ。

「そうね…。うーん…」

「お願いだ…。ウィンディーネ…」

「でもなー……」

「…俺にできることなら、なんでもするから……」

「……今の言葉忘れないでね……」

「あっ、ああ…」

「そこまで頼まれたら、仕方ない……。じゃあ、そこの剣を真っ二つにしたやつ…。前にでてきなさい!」

「…わっ、私か!?」

「私の剣を真っ二つにした愚かな人間よ。力を貸しましょう…」

「うっ…!」

「…本当に愚かな人間よ……」

 二回いうとダメージはニ倍みたいだ。シオンさんは段々と前屈みになっていき、本当に申し訳なさそうな顔をして謝っていた。

「…ほっ、本当にすみませんでした……」

「わかればいいわ…。…でも、あなたは氷の方が相性いいかもしれないわね…。まあ、いいわ…。…ん?」

 ウィンディーネはシオンさんの周りをくるくると周りだした。なにかあったのだろうか?

「ちっ、力が溢れている…のか?」

 シオンさんが不思議な顔をしながら、手を開いたり閉じたりしていた。よく見ると、力を貸したはずのウィンディーネも何故か不思議な顔をしていた。ウィンディーネはシオンさんの耳元に近づき、よく聞こえなかったが、なにかをいったみたいだった。

「あなたって…もしかして…ゴニョゴニョ……。…ゴニョ?」

「…ちっ、違うにゃ!」

「動揺しすぎよ…。あんた、なんかノスクみたいね…。まあ、嫌いじゃないわよ…。あなたみたいな正直な子…。あなたには少し別の力を貸しましょう」

 ウィンディーネがシオンさんに触れてつぶやくと、体が青い光に包まれて、徐々に姿が変わっていった。光が少し収まると、まるでウィンディーネを思わせるような姿になっていた。

「…こっ、これは……」

「…なんて力だ……」

「少し別の方法で力を貸しただけよ…。まったく、恐ろしい力ね…。抑えるのが大変よ…。…さて、それでどうするの?」

「…なにを?」

「はぁ…。なにを?って…」

「…どうした?」

 ウィンディーネは疲れきった顔をして、僕の肩に乗ってきた。そして、僕の耳をガシッと掴むと鼓膜が裂けるくらいの大声でガッーと叫んできた。

「どうしたじゃないわよ!!! 作戦よ!! あなたがリーダーなんでしょ!?」

「うっさ…! …いや、リーダーってわけじゃ…。まっ、まあ、考えるけどさ…」

 さてと、どうするか…。今の状況からすると…。いつものゲーマー理論で考えるか…。

「まずは…」

 まずは、あの剣を破壊する…。制御されてるならできなくしてやればいい…。

「うーん…」

 いや、だめだ…。こういうのは、下手に破壊すると暴走するかもしれない…。

「あとは…」

 あとは操ってるやつを倒す。…っていうか、そもそも誰なんだ? シオンさんに似たやつなのか? エリックなら、なにか知っているかもしれない…。

「…エリック、あの剣を作らせたのは誰なんだ?」

「アルもあったはずだ…。カジノのオーナーだ」

「あいつか…。…ってことは、あいつが操ってるのか?」

「それは…わからない」

「だよな…」

 なら、再封印する…。これができれば簡単なんだが…。

「ウィンディーネ、あいつらをまとめて封印できないのか?」

「無理よ…。そもそも封印は完全には破られてないのよ…。何重にもかけてる一部が解けたの…。この状態で…なんで動いてるのか…私もわけわかんないわよ。…悔しいけど、封印するにしても原因を排除してからね」

 やっぱりあれしかないか…。ゲームだと一番シンプルで一番ヤバそうな展開だ…。待てよ…。そうだ…。大事な事を聞いてなかった…。一応、聞いておこう…。

「なあ、ウィンディーネ…。昔、悪魔が暴走した時…尻尾以外でなにか異変は起きなかったのか?」

「うーん…。かなり昔のことだからね…。なにかとんでもない事があった気もするけど…」

「…とんでもない事?」 

「うーん…。ちょっと待って…。もう少しで思いだせそうな気がする…。うーん…。なんだったかしら…」

 ウィンディーネが頭を抱え込んで考え込んだタイミングで、なぜかズシンと船体が揺れた。最初は地盤沈下でも起きたのかと思っていたが、よくよく考えると少し妙だ。地震のように揺れてるが、音が大きくなってくる。

「…なぁ…みんな……。さっきから…変な音が聞こえて……」

「みっ、みんな、みて!」

「…ん?」

「…とんでもない巨大なモンスターが!」

「なっ、なんだあれ!?」

 モニター越しでも簡単にわかる巨大なモンスターが何体も土の中から起き上がっていた。目覚めたばかりで動きは悪そうだが、今にも襲ってきそうだ。そんな中、ウィンディーネはモニターを指差して、スッキリした顔をしていた。

「…思いだしたー! 巨大ゾンビモンスターが動きだしたのよ!」

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