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第十四話

「あっ、どこにいってたのよ!」

 宿屋の入口にはアリスが怒って立っていたが、僕は完全に腰が抜けてベットに顔を埋もらせた。

「…ごめん」

 ……心を読まれていたら、完全にやられていた…。

「…どっ、どうしたの?」

 僕は呼吸をする為に絶望した顔で横を向いた。アリスは不思議そうにこちらを見ていた。

「……俺も急にトイレに行きたくなってさ…。トイレを探し回ってたんだよ。それで……」

「…まさか…その顔……間に合わなかったの?」

「…間に合ったよ……! 間に合ったけど…」

「そう…。それじゃあ、仕方ないわね……」

 きっと妙な誤解をしている顔だったが、四天王の事を言うわけにもいかなかったので僕はさっさと話を流す事にした。

「…そういえば、ステータスってギルドにいかないと見れないんだよね?」

「ええ、まあ…体力測定みたいなもんだし…。あっ、でも中にはそういうスキルや魔法もあるのかもしれないわね。あんまり、聞いたことないけど…」

「そっ、そうなのか?」

 …ということは、ステータス画面自体もまさかスキルの一つなのか?

「…まるで冒険の初心者みたいね? 本当にあのゴ…」

 僕は急いで彼女の口をふさいだ。もしかしたらまだ監視されているかもしれない。

「…落ち着いて聞いてくれ」

「なにすふのよ!? 急に!?」

「幽霊が怒ってる」

「えっ!?」

「どうも冒険話が嫌いらしい。君に取りつこうとしている。静かにしてるんだ」

「……」

 涙目になった彼女は僕に抱きつき、無言で素早く何度もうなずいた。




 その後、支度が終わり宿からでると、僕はアリスに出発する前に店へアイテムを買いに行くと嘘をつき、いったん別れて人がいない路地裏でステータス画面を確認した。

「ステータス! …さて、どうなってるのかなっと……」

 レベル2…HP200…MP200…なるほど少しは戦いやすくなった。…ん? スキルのタグが点滅しているな…。

 スキルを開くとメッセージが表示された。僕はどうせろくでもない事が書かれているから読み飛ばしてやろうかと思っていたけど一応読むことにした。

「なになに…。スキルポイントが余っています。振り分け、または新しいスキルを習得できます。使用しますか…だと!?」

 …はっきりいって振り分ける事ができるスキルなんてあるのか? いや、何個かはあるかもしれない。

 僕は振分け画面を確認するとスキルポイントが10ポイントほどたまっていた。その後に振り分ける事が出来るリストを見ていくと嬉しい予想通りの文字が浮かんでいた。

「…よし!」

 まずはこれに振ろう…。…ステータスだ!

 上限いっぱいまで振り完ストさせた後にステータスのメイン画面を再度開くとレベル、HP、MPの他に耐性、体重、身長、血圧、脈拍、年齢そういったデータが追加されていた。タグはアイテムデータとモンスターデータ、スペルデータ、MAP等が追加されていた。

「…なかなか優秀だな……」

 まずはアイテムデータ…。これは所持しているアイテムの効果、価格、個数そういった情報が書かれている。サーチ機能もあるようだ。

「さて、スキル画面の説明は…」

 変わってない…。裏スキルの説明…。これも変わったところはない。

「…どうするかな……。新スキルはランダムみたいだし…。悩ましい…。残りのポイントなにに使おう…」

 僕は悩みながら振分け画面を見ていった。すると、ある画面で手が止まった。

「うーん…。これも微妙だな…。…あれ?」

 …妙だな。…スキルリストと振分け画面に表示されているリストが微妙に違うみたいだ。…なにか理由があるのか? …まぁ、困るわけでもないし別にいいか……。

 しばらく考えた結果、残りのポイントの振り分け先はアンスキルフルとパーバスセットのコンボで魔法の強化をするという手もあるが、あえて新スキル習得に使った。何よりそのほうが面白そうだったからだ。

「よしっと…。…これでよさそうだな」

 画面にはどこからともなく二つ宝箱が現れ、ドキドキしながら開くを押すと僕は新しいスキルを覚えたようだった。

「…さーて、一体どんな効果なんだ?」

 僕はゲームをするようにワクワクしながらスキルの説明画面を覗き込んだ。一つ目のスキルは、ドクターペイン。聴診器をぶら下げだ骸骨が注射器を持っている。これは任意発動型であらゆる状態異常に好きな時間なれるみたいだ。

「うーん…」

 …これはハズレだな。

 そして二つ目のスキル。名前はスネークロードスネークス、このアイコンは曲がりくねった道を蛇が歩いているみたいだ。説明を見ると、この効果は…。

「大地を汚した許されざる者よ。囚われの星よ。地を這う生命よ。哀れな羊たちよ。怯えるがいい。今一度、根源たるその力を一つにし贖罪とする…か…。ふーん…。…どういう意味なんだろう……。…なんか…これだけなんか文面が凝ってるな……」

「…きゃあああ! 魔物よぉお!!」

「…どっ、どこだ!」

 ピンクのドレスを着た貴婦人が涙を流して腰を抜かしている。僕はすぐさま剣を抜き、目線の先を追ったが、特に魔物の姿は見えない。

「……」

 いない…。…勘違いか?

 貴婦人の様子を見ると、髪は乱れて、キレイなドレスは土の汚れでダメになっている。腰の抜けた彼女はそんなこともお構いなしにどこかにいる魔物からこの場を去ろうと必死だった。

「…たっ、助けて!」

「……」

 …やっぱり…いないよな。…聞いてみるか……。

 何度確かめてもいない。上を見ても横を見てもこの辺には僕と彼女しかいない。僕は彼女に近づいて、事情を聞くことにした。

「…ひぃいい!」

 彼女はなぜか更に取り乱し、羽をもがれた蝶のように暴れ回っていた。

「…あっ……」

 そうか…。流石に剣を仕舞わないと物騒だな…。これじゃあ、僕が襲ってるみたいに…。

「ちっ、近…な……」

「…ん?」

 剣が黒いぞ…。こんな色だったか…。違うよな…。これじゃ…まるで黒騎士が持ってた剣みたいだ………。はっはっは…まさか……。

「近づくなぁー! この化け物ぉおお!!」

 そう…。そのまさかだった…。これは常時発動型だったのだ。


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