第百二十七話
「…それにしても、あいつどこにいったんだ? …こっちかな?」
細い道を抜けると、そこには雰囲気の違ったお店がチラホラと建っていた。妙に可愛らしい看板がチラホラと立っている。
「…なんか…変わったところにでたな……。ここじゃなさそうだけど……。…ん? なになに…。可愛い子猫ちゃん…おさわりし放題だと!? それにこのイラストは!?」
僕は胸ポケットに入れていたチケットを取りだした。あの宿屋のエロ猫がいっていた場所はここのようだ。今度こっそりこようかな…。そんな事を考えていると聞いたことのある声がしたので、後ろを振り返った。
「…やっぱり変態だったのね」
アリスがドン引きして僕を見つめていた。
「…ちっ、違う! 全くやましい気持ちはない! …っていうか、アリスこそなんでこんなところに? まさか…この店に……」
「迷ったのよ…! さっきの事は私が悪かったし…戻ろうとしたんだけど…。道に迷ってどうしようかなって困ってた時に、どこかで見たことのある変態さんを見つけて声をかけたってわけ…」
アリスは諦めたような目で僕の事を見てきた。僕はアリスの方に近づき、自身の手をゴシゴシと服で綺麗に拭いて前にだした。
「変態さんではないがな…。アリス…悪いけど時間があまりないんだ…。飛びながら事情を話す…。城にいくぞ…」
「わかったわ……」
僕はアリスの手を少し緊張しながら掴み、空へと飛び出した。飛び始めて数分間は今までの経緯を淡々と話していたが、特に質問もなかったので、あっという間に会話は終わってしまった。それからしばらくお互いに無言になり、風の音だけがビュンビュンと耳を横切る音が聞こえた。そんなに距離はないはずだが、妙に遠く感じる。
「…………その…ごめん…」
「……」
とりあえず謝っておこうと思ったが、こういうのはあまり慣れていないので、つい小さい声になってしまった。しばらく待ってみたが、反応がない。風の音でかき消されてしまったのだろうか? 僕はアリスの顔を恐る恐る横目に見たが、やはり聞こえてないようだ。僕はスピードを落とし、空の上で本気謝るというなんとも悲しいことをやった。もう煮るなり焼くなり好きにしてほしい。
「…ごめん。悪かったよ…」
「…えっ? ううん…」
「……」
「私もごめん…」
「……」
「……アルはさっきのこと怒ってる?」
「……まぁ…怒ってないといえば嘘になるかな…。ちょっと理不尽だなとは思うよ」
僕がそんな事をいうとアリスは力を込めて両手をグーにした。また、少し怒ったようだった。
「でっ、でも、アルだって変な事いったじゃない! こっ、子供パンツとか……」
「じゃあ、一つ聞くが…あの時、みたかったんだ…っていったら蹴らなかったのか?」
僕は怒られるのを覚悟で、あえてそんな質問をぶつけてみた。アリスは怒らなかったが、顔を真っ赤にしていた。
「みっ、みたかったの!?」
「ちっ、違うわ! 例えばの話だよ…」
僕が予想外の反応に焦ってそう答えると、アリスはしばらく黙り込んで笑いながら答えた。
「うーん…。更に思いっきり蹴ってたかも…」
「…だろ? 結局、どうやっても…疑われた時点で俺は蹴られる運命にあったってことさ……。…理不尽だろ?」
「…あっ! 城がみえたよ!」
「…今、完全に話題変えただろ……」
「なっ、なんの話かな。ほっ、ほらっ、みんな待ってるから、早く、早く!」




