第百十九話
「誰なんだ…って…。…あっ、あれ?」
僕がまだ話をしているにも関わらず眩い光が全身を包みこみ、気付けば元の世界に戻っていた。起き上がるとあの恐ろしいダンジョンではなく、豪華な部屋のベッドで寝ていたようだった。
「…だっ、大丈夫? …アル?」
「…ここはどこだ?」
まさか…夢オチ…とかではないよな? ポーション臭いし…夢じゃなさそうだけど…。
「夢じゃないよ。ここはお城の中さ…。今度はベッドに寝かせたからね」
ノスクは僕の方をみて、ニッコリと笑った。僕は気を失ってからのことが気になっていた。皆は無事なんだろうか。
「…ノスク…あれからどうなったんだ?」
「…アルが倒れてから、この剣ですぐにお城に戻ったんだ。アルのこと…心配だったけど…。それから、あの場所にもう一度戻って…みんなで更に奥にいったんだ…。…あっ、そうだ……。ごめん…。これ借りてたんだ。返すね…」
「…ん? …バッグ?」
「うん…。その中には水とか食料とか入ってたからね。もし、僕が魔法で戻れなくても生きていけるようにね」
「そうだな…」
「でね…。話は戻るけど、それからあの先にみんなで進んだんだ。でも、おかしなことにホコリとか、かなりかぶってたんだけど…。なんていうか…。作ったばっかりかと思うくらい部屋とか通路が綺麗だったんだ…」
「それは俺のせいかも…。リカバリー使ったからな」
ところとごろ壊れていたから、リカバリーで全て元に戻しておいたけど、最初からやっておけばここまで苦労しなかったのかもしれないな…。
「どっ、どういうこと!?」
「だからさ、建物全て直したんだよ」
ここからは僕の予想だが、あのダンジョン自体がMPドレインのエンチャントがされていたのではないかと思う。それがある時、老朽化して壊れてしまい、あんなにも尻尾は元気だったのだろう。僕だったら一番閉じ込めるのに有効なものは絶対に入れる。そういえば、あの時…。いや…終わったことだ…。今更考えても仕方ないか…。
「にゃ!? そっ、そんなこともできるの!?」
「まぁ、その話はいいから…。続きを…」
「えっと…そうだ! それで最後の部屋についたんだ…。そこには…」
「そこには…?」
一体…どんなボスが…。いや…実はお宝か…。
「なにもなかったんだ…」
「…なっ、なにも!?」
「うん。それで仕方なく、みんなで帰ってきたんだ。なんか変なゴミは床に落ちてたけど…。…はい」
なにか重要なアイテムとかヒントくらいはあるかと思ったけど予想が外れた。そんなことを思っていると、ノスクから意外なものが手渡された。
「…こっ、これは…ゲーム機…!?」
「…それなにかわかるの?」
「遊びの道具っていうか…。いや…でも…そっくりだ……。…ソフトは入ってるけど…電源はつかないな……。…なんでこんなものが……」
「なんだ…おもちゃか…」
なぜか携帯ゲーム機が床に落ちていたようだ。もしかすると、僕がリカバリーしたときに妙なことが起きてしまったのかもしれない。
「…あれ? そういえば、二人しか空間移動出来なかったんじゃないのか? ああ、そうか…。ノスクが一回戻ればいいのか…。いや…でも…回数制限があったんじゃ…」
「うん…。そのはずだったんだけど、みんな一度に帰ってこれたんだ…。なんか剣が力を貸してくれるっていうか……。空間移動の制約って僕の勘違いで、ただの力不足なのかもしれない…。にぁー…」
「そんなことないよ。ノスクは頑張ってくれた。…でも、本当に不思議な剣だな」
「うん。本当にそうだね…」
「まぁいいか…。今は休もう。みんな…無事なんだから…」
「それが…」
ノスクは深刻そうな顔をしていた。もしかしたら怪我でもしたのかもしれない。
「なっ、なにかあったのか!?」
「実はさっきからそこにいるんだ」
「…えっ?」
僕はベッドの布団を取ると、そこには大きな黒色の毛布と小さな白色の毛布…。ではなく、アバンとルナ…それとアリスが僕の足元で寝ていた。通りで足元がやたらと暖かいわけだ。
「やめたほうがいいっていったんだけど…」
「……あれ? 黄色い毛布がないな…」
僕は両手を広げてゆっくりとノスクに近づいた。ノスクは顔をプルプルと震わせながら壁に背をついた。
「ぼっ、僕はやらないよ。男に抱きつく趣味はないからね…。…あれ? なっ、なんで近づいてくるの? アル、かっ、顔が怖いよ…。にゃあああああ…」
…黄色い毛布を手に入れた。




