第百十七話
気を失いそうになるほどの痛みと共に、どこまでも闇の中に落ちていったが、ゴールは案外近くにあるものだ。青い光に包まれ僕達は再度上に戻ると、落下していた勢いが死にきらずベチャッと床に伏していた。敵の姿が見えないところを見ると一応は成功のようだが、もう痛すぎて弱音を吐きそうだ。
「…っ! …早くペンダントを!」
「おっ、おう! これだ!」
「アル様、早く!」
「ありがとう…。よし…これだけあれば…。…リカバリー!!」
ペンダントを受け取り、両手を地面につけて唱えると、どんどん修復されていき部屋が元の姿へと戻っていった。これで解決…一件落着だろう。
「…よっ、よし…。おっ、終わった…」
「みたいだね…」
「だな…」
「ですね…」
「ぷっ…。はははははっ…」
「にゃはははっ…」
「がははははっ…」
「はははははっ…」
僕らは顔を見合わせると、なぜかわからないがつい笑ってしまった。その時だった。カタカタと床が揺れだし、大量の水が溢れるようなゴォーッといった音が下の方から聞こえてきた。
よかった…。なんとか無事に…。…ん? なんだ、この音は…!?
「…まっ、まさか!?」
「アッ、アル! さっきの音が聞こえてくるよ!」
その言葉と同時に爆発したような衝撃が辺りに走り、山のような形に床下が変形していた。こんな形になっても奴らは床下からでてきていないことに感心してしまうが、それでも嫌な予感しかしない。
「…くそっ! あーどうすれば…」
「…なっ、なんだこれ!?」
そんな予感を抱いていると、ふと青い光が目に入った。ノスクの方を見ると、目を見開くことができないほど剣が青く輝いていた。
「………っ!?」
「…すっ、すごい、魔力だ!」
「…それ、まっ、魔石で作られてたのか!?」
「わっ、わかんないよ…」
「でも…魔石なら……。…いや、今はそんな事はどうでもいい! ノスク、その剣を貸してくれ!」
「うっ、うん!」
「……ドゥラスロールスリー発動! 奴らが二度とでてこれないようにこの床の中に永遠に封印しろ!」
「…了解しました」
そして、ダメ押しの…。
「…リカバリー!!!」
発動と同時に床下で暴れまわり、最後の悪あがきをしているようだったが、しばらくすると振動が止まって静かになった。そして、またしばらくすると更に下の方からドンッと落下したような音が聞こえた。とうとう諦めたようだ。
「…ふっ、封印できたのかな?」
「たっ、多分な…。疲れた…。はい、剣…返すよ…」
ノスクの剣は先程と違い青い輝きを失っていた。剣を確認するとMPが減っているとかではなく、MP表示自体がされていなかった。本当に不思議な剣だ。
「アル…。そういえば、体は大丈夫なの?」
「えっ? ああ…。だっ、大丈夫…」
…じゃなさそうだ。まずい…。視界がぼやけてきた…。しまったな…。
「ねえ! アッ、アル、大丈夫!?」
「アルの旦那!?」
「アル様!?」
「だっ、大丈夫…」
僕はリカバリーを唱えようとしたが、意識が朦朧としているせいで、発動が間にあわず意識を失ってしまった。そうして、僕はまたあの世界であいつと出会った。




