第百十二話
「…やっ、やっとついたな。ここか…」
周囲を見ると辺りは暗くなり夜になっていた。結局、ここまでくるのに半日近くもかかってしまった。モンスターはそこまでいなかったのに…。
「やっ、やっとついたにゃ…。…アル…どうしたの?」
「……すごい石像だなっと思って…」
ダンジョンの入口を見ると、暗くてよく見えないが、ニ体の大きな石像が剣を持って立っていた。
「ああ、これか…。左側の猫はたぶん僕のご先祖様かな。…文句いいたいよ。この地図わかりづらいにゃー!」
「ああ、全く…その地図のせいで酷い目にあったな…」
ノスクの持っていた古地図はざっくりとした事が書かれていて、例えばこの岩が目印とかこの川が目印とか、正確な距離や方向がわからない地図だった。しかも、この建物は妙な力がかかっていて上空からだと視認できないみたいだ。
「もう…ヘトヘトだよ…」
「…みんな、大丈夫か?」
「うっ、うん。ちょっと休めば大丈夫だよ…」
「だっ、だらしがないわね…」
「よっ、余裕だ…」
やっぱり疲れてるな…。流石にこのままダンジョンに入るのは難しいのかも知れない…。
「ノスク、この中はどのくらい広いんだ?」
「うーん…。わかんないよ…」
「そうか…。…っていうか、なんでここにきたんだ? ここになにかあるって、ご先祖様の資料にかいてあったのか?」
「ううん…。なにもかいてなかったよ。…なにもヒントがないっていったよね? ほんとになにもわかんないからここにきたんだ…」
マッ、マジか…。
「ふっ、ふざけんなよ! わかんないって…。なんかあるからきたんじゃねえのか!?」
「そっ、そんなのあったら、僕が知りたいよ!」
「貴方達、騒がないで!」
まずいな…。疲労で皆のストレスが溜まっているようだな…。仕方ない…。あれをやるか。
「ストップ! みんな一列に並んでくれ…」
猫達は険悪な顔をして一列に並んだ。僕は先頭に立ったノスクの肩に手を置いた。
「なにするの? アル?」
「…ん? 回復だよ…。…リカバリー!」
「…え? ふっ、ふっ、ふにゃぁあー!」
ノスクは全身の力が抜け地面にバタッと寝っ転がった。なんかピクピクしていた。まっ、まぁ…大丈夫だろう。
「…よし、おわり! 次はお前達の番だ…」
「おっ、俺は遠慮しとくぜ…」
「わっ、私も!」
「まあ、遠慮するなよ…。…リカバリー!」
「うっ…。…だっ、だめだ、アルの旦那! …ごっ、ごろにゃぁあーん!」
アバンも全身の力が抜けて寝っ転がった。白目になってるけども大丈夫だろう。
「さぁ…ルナで最後だ…」
「わっ、私は大丈夫ですよ!? アッ、アル様!? …っていうか、ちっ、近づかないで下さい!」
「大丈夫だから…。…ねっ? …リカバリー!」
「…気持ちよすぎて…抗え…ない…。だめっ…。にゃっ…にゃっ…にゃぁあーん!」
「……」
すやすや寝てるし、次はご飯でも作るか。まあ、簡単な料理しか作れないんだけど…。
適当にバッグからいくつかの食料とフライパンを取りだした。ペロッと調味料をなめながら、適当な料理をいくつか作った。
「よし…。…できあがり!」
「…んっ? あれ…」
声をだすとノスクは眠そうな顔をして起き上がった。おこしてしまったようだ。まぁ…料理もできたことだし、ちょうどよかったかもしれない。
「冷めないうちに食べて…。味は保証しないけど…」
「あっ、ありがとう…」
僕が料理を手渡すと、ノスクはパクっとウインナーを一口食べた。まあ、猫の口にあうかはわからないけど、味は許してもらおう。
「うっ、うっ…」
「…ん? …どうしたんだ?」
「…うまふぎるにゃぁあああー!!!」
「…ったく、うるせえな。…ん? …俺はなにをして…」
「うるさいわね…。…あれ? 私、寝てたの?」
「…ちょうどよかった。みんなも食べてよ」
「すまねえ…。じゃあ…頂くと……。…んぐっ? うっ…うっにゃ…。うにゃすぎるにゃぁああ!」
「全く大げさね。普通の料理じゃない…」
「うーん…。だよな…」
「いっ、いや…アル様が作ってくれた料理に文句をいうつもりはなくてですね。過剰反応しすぎだと…。いえ、あの…すいません…」
僕と目が合うと慌てて否定していたが、確かにルナの言う通りオーバーな反応だ。でも、二人とも冗談をいっている感じでもない。その証拠に一言も喋らずにムシャムシャと食べている。
「まぁ、食べてみてよ…。おいしいみたいだから…」
ルナは悪気はないのだろうが、わざとらしい演技をしていた。この子の性格上、嘘をつくのが苦手なんだろう。
「おっ、おいしそうな料理ですねー…。こっ、こんな料理…お城でみたことないですー。ほんとにおいしそうだな〜…。でっ、では、いただきます〜。パクっ…」
「…どう?」
「おっ、おっ、おっ…」
「……」
「おいししゅぎるにゅー!!! なっ、なんでこんな普通の料理がこんなにもおいしいの!?」
そんなに僕は料理がうまくないんだけどな…。まぁ…僕もお腹すいたし食べよう。
「…パクッ……。…なっ、なっ、にゃんじゃこりゃぁあああー!!!」
今まで食べた料理の中で一番おいしいかもしれない。…もしかして、この装備のおかげで料理力もあがっているのか? ……いつかポテトチップスとフライドポテトを作ろう。
そんな事を考えながら、しばし休息をとった。まあ、とりあえず皆の様子を見る限り仲直りは成功したようだ。




