第百十一話
「うーん…。この説明だけじゃわからないな…」
…っていうか、なんでスネークイーターを解除してないのに吸収したスキルが使えるんだろう…。
「…まさかこれもスネークイーターが弱まっているからなのか……。いや…でも、あいつはプレゼントっていってたし…」
……そもそもあいつってなんなんだ? なにも見えない真っ暗な空間で僕はあいつと出会った。僕が死んだ…あの時…。…僕が死ぬことがトリガーとなって、新たなスキルが使えるようになったってことか?
「……んーわかんないな…」
…今はあんまり考えても仕方ないか……。
「……よし…スキル発動!」
おかしい…。発動しているはずだが、特に姿形は変わってないようだ。ぱっと見はなにも変わっていないように見える。恐らくはなにか変化があるはずだと思い、隅々までステータスを確認してみた。
「…うーん。…レベルあがってるけど……。…ってあれ!? いやいや、なんでHP減ってるの!? …おかしいだろ!?」
よく見ると、最大HPや最大MPが極端に減少していた。驚いた僕は画面に向かって文句を言うと、声が流れだした。
「…後ろを向いて下さい」
「えっ!? うっ、うしろ?」
「なにもない…けど…」
「下を見てください」
「しっ、した?」
僕は言われるがまま後ろを向いたが、特になにもなかったが、地面を見るとありえない光景を目にした。
「…ドゥラスロールの虚構です」
「おっ、俺以外の影がある!」
そこには僕以外の影が不気味なことに四つあった。その光景を見て、とりあえず右手をあげてみると影は全て同じように手をあげた。
「…どういうことなんだ? …というかこの数字は何なんだ?」
影の胸のあたりにそれぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳという文字が黄色くゆらゆらと浮かびあがっていた。僕がぼーっとそれを見ていると説明が始まった。
「Ⅰの影はHPと引き換えに相手の意識を奪う事が出来ます。ただし対象の意識を開放した場合HPは元に戻ります」
「意識を奪う? …あのキノコにするスキルか…」
…というか、あの時…巨大なキノコのHPが低かったのもこういう事か…。
「Ⅱの影は対象の影と本体を入れ替えることができます」
「…テレポートって事か?」
なるほど…それで厄介なやつが最後に残ったってわけだ。
「Ⅲの影はあらゆる物質をクリエイトする事ができます」
「どんな宝石でも作れるって事か…」
でも、若干フルスキルフルとかぶっているのか? ダイヤくらいなら作れたし…。
「Ⅳの影は全てのMPを引き換えに爆発的なエネルギーを発生させる事ができますが、現在使用できません」
「…って、使用できない!? まっ、まあ、いいか…。流石に攻撃範囲と威力が凄すぎて使えないし…」
「どの影を使用しますか?」
「じゃあ、これで…」
「了解しました」
その言葉とともにⅠ以外の影はすっと消えて僕の影に戻った。このスキルはMPが通常時は減らないが、発動した影の数だけ最大HPと最大MPが減ってしまうようだ。なかなか扱い方が難しそうなスキルだ。
「なるほどな…。よし…。まあなんとなくわかったし酒場に戻ってみるか…」
酒場に戻ると、リュックサックを背負った猫達が待っていた。リュックサックがパンパンになって、道具や武器がはみだしている。
「どうしたんだ…。…その荷物?」
「いっ、今からいくところはとっても恐ろしいところだから、色々買ったんだ」
確かに備えあればなんとかっていうけど…重そうだな…。ノスクは足がプルプルしてるし…戦いに支障がでそうだな…。神様から貰ったバッグに入れておこう。
「…みんな…リュックサックをおろしてくれ」
僕はみんながリュックサックを床に置いた後、リュックサックの中からポーションをいくつか取りだし猫たちに渡した。とりあえず、一つ、二つ持っておけば十分だろう。
「…アル? なにしてるの?」
「いや、重そうだからさ。全部持とうと思って…」
「だっ、大丈夫だよ! そっ、そんな事しなくって!」
「わっ、私も大丈夫ですよ!」
「なっ、なんなら俺が全部持つぜ!」
「まあ大丈夫だよ。見てなって…」
僕は残りの全ての荷物を手に取り、リュックサックごとバッグにヒョイっと入れた。こんなことできるなんて、未来の青い猫もびっくりだよな。
「きっ、消えたにゃぁああああ!?」
「てっ、手品ですか!?」
「おっ、俺の荷物!?」
「…っと、まあ…こんな具合に荷物は俺のバッグに入れとくからさ。必要なものがあったらいってくれ」
「…わっ、わかったよ」
「さてと…。準備が整ったみたいだし、今からダンジョンに行こうと思う。…いいかい?」
「うん!」
「ええ!」
「おう!」
「…よし! 行こう!」
…準備完了。…出撃だ。
僕たちはそれからノスクの案内通りに進み、山を越え崖を登り洞窟を通り、なんとかダンジョンにたどりつく事ができた。




