表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5番目の王子  作者: Moma
41/60

魔法騎士団①

リューネは頬杖をつき、窓の外に目をやっては一つ、また一つと溜息をついた。

今日はアルとともに魔導塔に来て、簡単な事務作業を手伝うはずだったのだが――朝からずっとこの調子だ。

心配になったアルが、ミルクたっぷりのココアを差し出しながら声をかける。


「どうした、リューネ。何か気になることでもあるのか?」


「ありがとう、アル。甘くて美味しい……」


柔らかく微笑み、カップを両手で包むリューネ。その表情に、安堵よりもまだ影を残した不安が見える。


「ジュウト、大丈夫かな。魔物が出るような場所に行くなんて、やっぱり心配…」


ジュウトが魔法騎士団に加わりたいと願い出たことを受け、リューネは兄のレステュユルニに頼み込み、彼の受け入れ先を確保した。

レステュユルニはルブテールズに恩を売れる形となり、同盟締結にも前向きだった。

もっとも、クスラウドが平和で魔物の出ない国だからこそ可能な話で、ジュウトには“必要があれば即帰国させる”という条件が付けられた。当然のことだった。


「絶対に危険がないとは言えないが、今まで騎士団で命を落とした者や大怪我をした者はいない。そもそも、強力な魔物が現れた時は、魔力の高い王家が総出で討伐に向かうからな」


「アルも、魔物と戦ったことがあるの?」


「何度か魔法騎士団と共闘した。後方から回復術師(ヒーラー)が前衛を支える形だ。ジュウトほどの魔力を持つ術師が後衛にいれば、前線の士気も大きく上がる。安心して全力で戦えるからな」


「そうなんだ。ジュウトの存在って、とても大きいんだね」


「それに、ジュウトの所属してる班には、面倒見のいい奴がいる。剣士としても魔導士としても優秀な仲間ばかりだ。何より、全員転移の護符も常に身に着けている」


「エキシビジョンマッチの時に使ってた、あの護符のこと?」


「そう。魔力持ち専用の護符で、危機や魔力の枯渇に反応して自動的に転移を発動する。だから、最悪の事態にはなりにくいんだ」


アルの説明を受けて、リューネの肩の力が少しだけ抜けたのが分かる。


「以前、ジュウトが護衛と模擬戦をしているのを見たんだが、剣の腕も相当なものだった。回復術師(ヒーラー)で剣を携えているのは、アイツだけだぞ」


「……ジュウトはね、一番僕の近くにいる者が、僕の盾になれなきゃ意味がないって。従者になってくれた時から、ずっと鍛錬を欠かさなかったの。だからカフェで僕が襲われた時、すごく悔やんでたし、心配させちゃった」


アルは静かに目を伏せ、ふと想像する――もし、今リューネが突然いなくなったら、自分は正気でいられるだろうかと。答えは分かり切っている。狂ったように、世界の果てまででも探し回るだろう。


「アル?」


「いや、お前が心配する気持ち、すごく分かると思ってな。よし、今日は魔法騎士団の視察に行こう。自分の目で見れば、少しは安心するだろう?どうせ何も手につかないだろうしな」


「見てみたいけど、僕が行って大丈夫かな。魔物が出たら、戦うどころか逃げるのも遅いし…」


リューネは自嘲気味に眉を下げる。自覚があるのか、足の遅さを気にしているようだ。


「お前は強制横抱きで移動だ。何かあっても、すぐに転移できるようにな」


「ん~。魔法騎士団の人たちに見られたら、ちょっと恥ずかしいかも。それに最近、少し体重増えたし…」


恥じらいを浮かべたリューネに、アルはわずかに眉を寄せた。


(コイツの羞恥の基準が未だに分からねぇ)


魔導塔での仕事の休憩中、しょっちゅうアルの膝の上に乗り上げ、凭れ掛かり、短い仮眠を取っている姿を散々他人に見られているにも関わらず、危険かもしれない場所への移動で横抱きの姿は恥ずかしいなどと(のたま)うのだ。


「お前の体重なんて羽みたいなもんだ。それに、少し背が伸びただろ。いっぱい食ってもう少し太ってもいいくらいだ」


「毎日たくさん食べてるの、アルだって知ってるでしょ?それなのに羽みたいだなんて…」


リューネは口を尖らせて不満そうな表情を浮かべたが、アルが触れるようなキスを唇に落とすと、瞬時に笑顔になった。リューネの可愛らしい笑顔につられ、アルも目元を和らげる。


「そうと決まれば早速転移するぞ。長居はしないからこのまま行くか」




長くなったので後半へつづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ