魔王討伐前夜
ご拝読ありがとうございます。
短いファンタジーコメディを考えていたらこういった話が出来上がりました。
よろしくお願いします。
魔王討伐前夜に宿屋で一時の休息を楽しんでいる時に僕たちに最大のピンチが訪れた。あるものを巡って僕たちに争いが勃発したのだ。僕は勇者として戦士と僧侶と魔法使いのことを止めなければならない。明日はついに魔王討伐だ。こんな所で仲間で争っている訳にはいかないからだ。
「俺は納得できねえぞ」
「あなたたちはレディファーストっていう言葉を知らないの?」
「もう止めろ。そんなことで争ってどうする」
「それが無いとわしはもう駄目じゃ」
「じいさん。こんな時に死にそうな振りは止めろ」
「だいたい。私は前からあなたのことが気に入らなかったのよ」
「何! 貴様。ドサクサに紛れて何言ってやがるんだ」
「もう止めろと言ってるだろ。明日は魔王討伐に行くんだぞ」
「お客様お静かにお願いできますか? 騒ぐなら外でお願いしたいのですが……」
「よし。じゃあ勝負だ。表に出ろ!」
「望む所だわ。勝負よ」
「おい。どこに行く」
「ほほほ。腕が鳴るわい」
戦士と僧侶は武器を持って外に出て行ってしまった。これだけの行動力をもっと出してくれれば魔王討伐ももっと楽だったのだがと内心思った。それよりもあいつらを止めなければいけない。僕は魔法使いのじいさんと外に出た。
「じゃあ勝った方があれをもらえるそれでいいわね」
「ああ。望む所だ。どこからでも来い。俺は前から一度決着を付けなければと思っていたんだ! 丁度いい」
「おい。お前らいい加減にしろよな」
「勇者殿。若い情熱はもう止められのじゃよ。これもんまた一興」
「じいさん。また適当なことを言って」
「はああああああああ」
「うおおおおおおおおお」
戦士と僧侶を雄叫びを挙げると戦いを始めた。僕は間に入って彼らを止めようとした。
「ああ。始めちゃったよ。だから止めろって痛え。熱っ! お前らな……。俺を怒らせたな。ヒシャアアアアアアアア」
「勇者殿までわしも混ぜんかー」
僕たちは本気で戦いあった。そもそもの発端は差し入れのプリンが一つ多かったことだ。食べ物は恐ろしい。まさかここまで人を狂わせてしまうとは。
俺たちは死力を尽くして一晩戦った。
さすがに今まで戦ってきた屈強な仲間だ。
こいつら中々倒れようとしない。
気がつくといつの間にかに朝になっていた。
明るくなって周りを見回すとみんなぼろぼろだった。これでは今日は魔王討伐には行かれない。
「よし。もう一泊しよう。それでプリンはじゃんけんで勝った人が食べよう」
「そうね。それがいいわ」
「仕方がねえな。はあ。はあ。それで……我慢してやる」
「わしもそれで同意じゃ。本当に死ぬ所じゃった」
俺たちはもう体を休めるためにもう一泊することにした。結局プリンはじゃんけんで勝った僧侶が食べることになった。
夜、宿屋に再びプリンの差し入れが来た。数は五つ。差し入れる人は絶対わざとやっているじゃないかと思う。
「俺は今度こそ譲る気はねえぞ」
「じゃあじゃんけんにしよう」
「勇者殿はじゃんけんが弱いと知っていてそんなことを言うんじゃな」
「はあ。何でそんなことに」
「表に出ろ。若造! 勇者殿には一度誰が一番か。体で感じてもらう必要があるみたいじゃからな」
「じじい! それ以上の侮辱は許さないぞ」
「だったら表に出るんじゃ」
「望む所だ」
「待て。お前ら次はプリンを食べるのは俺だからな」
「私ももちろん次も食べるわよ」
俺たちは再びプリンを巡って戦うことになった。いったいいつになったら世界に平和は訪れるのだろうか。それは誰にも分からない。




