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羅刹狩り  作者: HasumiChouji
第1章:絆を断ち切る者(ビラムバー)
3/13

(2)

 余り知られていないが、握力の(かなめ)は小指だ。

 小指を失なった場合、他の指を失なった時に比べて、握力の低下は著しいものになる。

 その時、真佐木の口から吐き出されたのは……血と唾が混った液体だけじゃなかった。

「う……うわああああ……」

 真佐木は、教官の利き腕の小指を噛み千切っていた。

 くいっ……くいっ……。

 真佐木は、「来い」と挑発するかのように、教官に向けて指を動かす。

 教官は……右手の小指が有った箇所を左手で押えながら……理解不能な怪物を見る目で、真佐木を見ている。

「ふう……」

 真佐木の口から、溜息のような呼吸音が漏れる。

 教官との距離を……ゆっくりと詰める真佐木。

 その時、教官が前蹴りを放つ。

 スピード・威力ともに十分。

 けど……教官の動揺が形になったかのような……見るも無様なテレフォン……。

 タイミングが見え見えの蹴りに対して、真佐木はカウンターの蹴りを放っていた。

 その蹴りが、教官の軸足の膝を砕く。

「@+*#$%&〜ッ‼」

 教官の口から放たれる、意味不明な叫び。

「だ……誰か……止め……」

「だ……誰か……他の教官を呼んで……」

 そう言ってる奴は居るが、誰も動けない。

 だが、俺だけは……。

 「気」を操る為の呼吸法には……精神を落ち着かせる効果も有る。

「一、二、三……」

 呼吸と共に数を数える「数息観」と呼ばれる仏教の天台宗や日蓮宗の行法を取り入れた呼吸法。

 それを行ない……そして……。

「やめろ……‼」

 だが……間に合わなかった。

 教官の両目は、既に潰されていた。

 教官の両耳は……昔話の「耳なし芳一」のように無くなっていた。

 そして……。

「私がやってるのは社会奉仕って奴だぞ」

 真佐木は大真面目な表情(かお)と口調でそう言った……。

 ……が、こいつには変な癖が有る。

 本人にとっては「下らない冗談を言ってるつもり」の時ほど、大真面目な表情と口調になる。

「何をふざけてやがるッ‼」

「私は、大真面目に、世の為、人の為になる事をしただけだぞ……ゲス野郎の劣ったDNAが次の世代に受け継がれる悪夢のような事態を防いだだけだ」

 俺のパンチを払った真佐木の手は……床に倒れ伏した教官の股間を指差していた。

 ズボンの上からでも、はっきり判った。

 教官の生殖能力(キンタマ)は……既に真佐木によって無惨にも踏み潰されていた。

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