(2)
実技試験の一部と、座学の試験は、冬休みに入る前に終っていた。
「なぁ、お前ら、優等生のクセに、何で、これの成績はイロイロアレなんだ?」
同じクラスの牧田が、俺や真佐木の横でそう言っている。
俺達の目の前に張り出されているのは、冬休み前の試験の結果だった。
「真佐木も緒方も、他の成績が良くても、他のメンバーとの協調性が無いと『戦士』には成れんぞ」
背後から、学年主任の山本の嫌味ったらしい声。
俺も真佐木も、他の科目の成績は……まぁ、自分で言うのも申し分無いが、集団行動が関係する実技の成績は……良くて中の下だった。
「私は、後方支援を希望してますので」
真佐木が面倒臭そうに、そう答える。
「だったら、猶の事だ」
「わかりました……。おい、そろそろ、次の訓練に行くか……」
真佐木は、俺達に、そう言うと話を打ち切る。
「おい、待て、話は終って……」
俺達は聞こえないフリをして、その場を去る。
「なあ、ところでさ、お前ら、付き合ってるの?」
「いや、恋愛感情無しの友達なら、こいつみたいな野暮天の方が向いてる」
「俺はヘタレの臆病者なんでな……。学校中のレズとバイの女を全員敵に回す度胸は無い」
牧田の阿呆な質問に、真佐木も俺も、適当な答を返す。
「レズだとのバイだのは差別用語だ。ちゃんと、レズビアンとかバイセクシャルとか呼べ」
「はいはい、判りました」
「お前らがいいコンビになりそうな事だけは判った」
「配属先が同じとは限らないだろ」
真佐木がそう答える。
そうか……。
男である俺と、同性愛者の女である真佐木の間に、恋愛感情なんか生じる訳が無い。
これが友情と言えるモノかさえ、良く判らない。
でも、俺達は、成行きとは言え、同じ秘密を共有してしまった。
しかし……この学校を卒業し……そして、配属先は、全く別になり……その後、連絡を取り合う事も少なくなったなら……その後も、この友情みたいな関係は続くのだろうか?




