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「貴様らぁ〜ッ‼ 何を考えているゥ〜ッ⁉」
普通の漫画やアニメやドラマなんかだったら、こんな金切り声を上げる男は神経質そうないわゆる「爬虫類顔」の痩せ気味の体型の奴だろう。
しかし、俺と真佐木を怒鳴り付けてるのは……いつもなら「爽やか系スポーツマン」風のがっしり体型の……学年主任の山本だった。
俺達がやった事は、当然ながら学校側にバレて(その場に教員も居たんだから当り前だ)、当然ながら、夜が明けない内にお説教を食らう羽目になった。
「自分のしでかした事は理解しています。私は集団行動には向いていません。退学処分を甘んじて受け入れます。でも、こいつは……」
真佐木は、大真面目な表情と何の感情も感じられない口調で、淡々とそう言った。ただし、くだらね〜冗談を言ってるつもりの時ほど、大真面目な表情と口調になるよ〜な奴の「大真面目な表情と口調」だ。
「ふ……ふざけるなぁ〜ッ‼」
「あ……何、こんな時間に?」
ところが、真佐木はスマホを取り出し誰かと通話し始めた。
「えっ……?……いや、薄々、予想は付いてたけど……わかった。丁度いいや。先生に訊いてみる」
「な……何をしているゥ〜ッ‼ スマホを仕舞……」
「はい、もう、親からの電話は終りました。すいません。この学校の規則について質問が有ります」
「うるさいッ‼ まずは俺の話を訊……」
「あの、親族の葬儀で学校を休みたいのですが……」
「はぁ? 何を言ってる。そもそも、親族って誰だッ?」
「曾祖父の妹です」
「あ…阿呆かッ‼ ほとんど他人だろうがッ‼」
「いや、でも、子供の頃は実の孫みたいに……」
「何が親族だッ? 何親等離れてるんだッ? 第一、曾祖父の妹って、そんなのが何で今でも生きてるッ? 何歳だッ?」
「曾祖父とは20ぐらい齢の差が有ったので……下手したら、祖父との年齢差も10未満だったような……」
「駄目だ、駄目だ、駄目に決って……」
「ま……待って……あくまで、確認だが……」
その時、嶋崎先生が割り込んだ。
「何だ? 一体、何のつもりだ? 何を知りたい?」
「はい、何ですか?」
「まさか……あの伝説の人が、まだ生きてたのか?」
「えっと……もう死にましたよ。私達が、生徒に混ってこの学校に入り込んでた羅刹と戦ってた頃に事切れたようですが」
相変わらず、真佐木は大真面目な表情と口調で、そう答えた。




