影の悪夢
夢を見よう。いい夢だ。幸せな、元に戻る夢を…。
「鬼頭くん。」
後ろから明璃の声がした。振り向くと明璃がいた。その横には友樹や京香、龍騎も居て4人の後ろには俺たちでデビューを邪魔したクリミナルポリスがいる。
「おい、クリミナルポリスが!」
といい逃げようとすると明璃が俺の手を掴んだ。逃げないと捕まる。
「鬼頭くん私達ね時雨から抜けてクリミナルポリスになろうと思うの。」
何を言っているんだ、明璃は頭がおかしくなったのか?普通ならここにいる5人全員捕まる。なのになんで急に。明璃も友樹も京香も龍騎もおかしくなってる。これが裏切りか。裏切られたのか、俺は。
「離せ!明璃!」
そう叫んでも明璃は手を離さずただ笑っていた。そして友樹が俺の肩を掴み
「お前を捕まえれば俺たちは許されるんだ。」
と笑って言った。ふざけるなお前達が裏切った癖にどうせあいつに何か言われたんだ。あのクリミナルポリスに
「ねぇ鬼頭は結局何がしたかったの?そんなの誰にも共感して貰えないよ。」
京香が薄気味悪い笑顔でいい俺の腕を掴んだ。やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
「鬼頭お前はずっーとひとりぼっちだ。」
龍騎が俺の目の前で嘲笑う様に言った。
「やめろやめろやめろやめろ!俺を否定するな!味方だと思ってたのに仲間だと思ってたのに!裏切りやがって!許さない許さない許さない許さない許さない絶対にお前らを捕まえて地獄の果てまで引きずり回してやる!」
怒りのままに叫ぶと明璃の声が聞こえてきた。さっきの声じゃない。いつもの声が聞こえてきた。
「鬼頭くん!鬼頭くん!大丈夫?うなされてた。汗びっしょりだね。着替えた方がいいよ。」
「明璃、裏切ってない、よな?」
どうやら俺は夢を見ていたらしい。酷い夢だ。でもやっぱり怖くて、聞いてしまった。
「裏切る?裏切る訳ないじゃん。私の居場所はここなんだよ。今更引き返せないし。」
明璃はどうしたのか聞きながらクスクス笑っていた。でも明璃が裏切るとは到底思えないが明璃がいちばんここにいる理由が分からない。考えてみれば明璃はなぜここにいるんだ。全く分からない。そう考えると本当に裏切られるのかもしれない。明璃が他の奴らが俺を裏切るのかもしれない俺を否定するかもしれない。嫌だ絶対に嫌だ。俺を否定するな。
「明璃はなんでこんな所にいるんだ?」
「なんでって君が正しいって思ったからだよ。鬼頭くんは言葉にするのが下手なだけでいつも正しい事を言う。だから鬼頭くんについて行きたいって思ったの。」
明璃は嘘をついていない。本能が言っている。きっとこの夢は疲れてるからだ。少し休もう。
裏切られる訳ない仲間なんだ。俺たちに残された居場所は時雨しかないんだから。俺たちの唯一の希望は時雨だけなんだから。