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Villains  作者: 吉川 虎
光と影
5/6

光の子

光璃のセリフが長いです。読みにくいかもしれませんが優しい目で読んで頂けると幸いです。

クリミナルポリスとしてのデビューが邪魔され、失敗に終わった。犯人は5人。1人は俺と同い年の男。俺は目の前に居たのに、捕まえる事が出来なかった。戦った瞬間勝てないと本能が悟った。その瞬間体が動かなくなった。そして、俺は戦う事をやめた。いや、諦めた。逃げたと同じだ。これでよくクリミナルポリスになろうと思ったな。自分で自分に呆れるよ。本当に弱い奴だ。

「ねぇねぇ、東山くん。そんな所で何してるの?」

光璃がいつもの明るい声で言った。本当に彼女の明るさには憧れる。

「あっ、いや、少し。」

と言葉を詰まらせると光璃は優しく俺の顔を見て微笑み、

「まだ気にしてるの?襲撃の事。あの時は仕方なかったよ。私だってもしも同じ立場になったら、多分なにも出来なかったと思う。それに犯人の情報だって聞き出せたんでしょ?お手柄だよ」

とガッツポーズをした。純粋で誰もがつられて笑顔になりそうな笑顔。作り笑いでは絶対にない笑顔。この先光璃のこの笑顔に何人の人が救われるのだろうか、何人の人が彼女を好きになるのか。天然タラシとはこういう子の事を言うのか。

「犯人の情報は交換条件で教えて貰った。俺の手柄じゃない。戦うことを諦めたんだ。逃げたと同じだ。こんな奴がクリミナルポリスを名乗れるわけない。俺は弱いやつだ。」

そうつぶやくと光璃は頬を膨らませて俺に優しいゲンコツをした。

「弱くないよ!強いよ!戦うことは諦めたかもしれない、でもさ現実に背を向けた訳じゃ無いし、犯人を故意に逃がした訳じゃない。諦めたとしても次会った時戦う事を諦めなければいい!私達は沢山の人を笑顔に出来ればいいの途中で戦う事を諦めてもまた戻ってくればいいの!結果的に犯人の情報だって手に入ったし。結果オーライ」

光璃のお説教は嫌にならないお説教で逆に勇気を貰える。毒舌だけど光璃の口は沢山の人に勇気を与えてくれる、魔法の口だ。

「ありがとう。そう言って貰えると助かるよ。ほんとに俺はダメダメだな。」

思わず言ってしまった。

「私ね、ダメダメでいいと思うの。クリミナルポリスは完璧を求められる仕事だけど、私完璧ってあんまり好きじゃないの。完璧って言うと凄い人みたいだけどなんか人間じゃ無いみたい。この世界に存在する物は全部何かが欠けてるの。地球は私達が住める環境だけど、もし太陽が無くなれば私達は絶滅するし太陽があっても地球が無ければ私達は存在しない。クリミナルポリスに捕まった人達も悪い事をしてはいけないっていう判断をつけることが出来なかったけどそれを私たちクリミナルポリスで気づかせる。何かが欠けてるから他の何かがが支え合う世界ができて何かが欠けてるから世界は美しい。未完成なまま生きて完璧を求めて前に進む生き物の姿は美しい。完璧なんてそんな物はいらない。完璧がこの世界に必要ないから何かが欠けて産まれてくる。でもその欠けた姿が必要だからそうやって生まれてきたの。そう考えるとさ、色んなものが輝いて見えない?」

光璃は本当に凄い人だこんな事こんな風に考えられる人はそんなにいないと思う。誰しもが完璧になりたいと思ってしまう事があるだろうから。でも確かに俺たちに空を自由に飛べる翼も無ければ海を自由に泳げる鰭もないでも飛行機や潜水艦、船があって自由に行き来出来る。でも飛行機も潜水艦も船も燃料が必要で、燃料を取るにはまたその技術が必要で、そう考えていくと全てにおいて何かが欠けていてなのに世界は素晴らしい。やっぱり光璃は凄い。

「俺これから頑張るよ誰かの欠けた部分を支えて俺の欠けた部分を支えて貰ってもう一度あいつと戦う。その時は諦めないし逃げない。」

そう強く言うと光璃は嬉しそうに

「そうだね」

と笑った。

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