表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/43

『隣町』⑤

『隣町』⑤

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目的の隣町付近にまで来た。

 僕は魔法少女に変身したままだし、先輩は仮にも一年程活動を続けて来た魔法少女だ。

 徒歩でもそう時間はかからなかった。


「凄い、ですね……」


「あぁ、そうだな」


 サイレンの音が幾つも聞こえる。

 見える範囲だけでもパトカーに消防車、救急車まで。

 それが何台もだ。


 街が燃えている。

 夜だと言うのに、人工の光ではなく自然の光に照らされている。

 どこまでも不自然に。


 あちこちが破壊されている。

 道路は抉れ、ビルは傾き、民家が押し潰されていた。

 街が瓦礫の山へと成り果てていた。


 嗅ぎ慣れない匂いだ。

 色々なものが燃える匂い、コンクリやら木材の粉塵、幾つもの車の排気、不快なものが入り混じった匂い。

 これが街が死ぬ匂いなのだろうか。


 ここで暴れたヴィランは相当に強力だったらしい。

 まぁ、余程の力が無ければ魔法少女と戦ってそれを退けることなど出来るはずもないのだが。

 初めて戦う僕ですら、あれほど動けたのだから。


 しかし、これが魔法少女が敗北した後の街の姿なのか……


 この街がヴィランに襲われたのは数日は前だったはず。

 あれからずっとそのヴィランが暴れ回っていたとは考えにくい。

 そもそも、警察はヴィラン案件に積極的な介入はしない。


 視線の先、街の炎に照らされて1人の男が警察2人に連行される姿が見えた。

 あれがヴィラン、と言うことはないだろう。

 警察2人に抑えられる程度の存在に魔法少女が負けるとは思えないし、街をここまで好き放題されるとも思えない。


 魔法少女は希望の象徴、正義そのもだ。

 その敗北は人の不安を煽り、ましてや身近な守護者が負けるなんてことがあれば。

 治安の悪化は避けられない、か。


 新しく魔法少女が来れば多少は改善するのだろうが。

 ここにいたのが強力なヴィランだと分かり切ってる以上、付近の魔法少女も慎重にはなるか。

 その間に人による被害とヴィランによる被害が増えるとしても。


 自分が負けてしまったら元も子もない。

 そもそも積極的に命を賭けたくはない。

 これがあちこちで起こって、結果的に社会は機能不全を起こしていくのか。


 僕がヴィランに負けていたらあの街も……


 まぁ、僕にとってこの状況はむしろ好都合ではある。

 この様子じゃ魔法少女はまだ居ないはず。

 正直、今の僕としては絶対に会いたくない相手である。


 それに、無法者のヴィランの中で強さとは正義だ。

 いや、詳しくは知らないが多分そんなもんのはずだ。

 色々と情報を知ってるかもしれない。


 その分危険ではあるが、何も知らないヴィラン相手に交渉して無駄骨を折るよりは遥かに有意義なはず。


「よし、行くか」


「本当に行くんですか?」


「もちろん」


「……」


 不安そうな顔をする先輩。

 まぁ、そりゃそうか。

 いるかもしれないのは魔法少女を負かした相手だからな。


「怖気付いたの?」


「は、はい」


「行きたくない?」


「出来れば……」


 遠慮がちに顔を覗かせる。

 本当に小動物だな。

 警戒心を抱いたネズミやらモルモットそっくりである。


 イライラしてマスコットの死体を持つ手に力が入る。


「じゃあ、死ぬ?」


「ひぃっ」


「選択肢は二つに一つ。街に行くか、ここで死ぬか。どうする?」


「い、行きます! 行かせてください」


「そう」


 怯えるぐらいなら、初めからはいと言えばいいのに。

 何を分かり切ったことを……

 せっかく奴隷にして連れて来たのに、タダで逃すわけないだろ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

感想、評価、なんでもいいので反応もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ