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『魔法少女の初仕事』⑧

『魔法少女の初仕事』⑧

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 引き抜いたモノは、まだ輪郭も定まっていない光の塊だった。

 魔法少女としての僕の力がかなり大量に込められているのだろう。

 持っていて少し熱いぐらいだし、ヴィランが黒い炎を纏った時と同じように周囲の空間すら歪んで見える。

 それが僕の手の中で形を造る。


 これは……、ステッキ?


 別に杖の様な形をしている訳ではない、現実にある武器と比較してみればメイスが近いだろうか。

 もちろん、僕が今着ているロリータ衣装と同じ様なファンシーな色使いと装飾が施されていることを除けばだが。

 ただ、魔法少女達は似たようなものをステッキと呼んで魔法の発動に使っていたはず。


 そんな疑問を覚えたのだが、すぐに解決した。

 どうやら使用方法としても基本的にはほぼメイスでいいらしい。

 なんとなくそう分かるのだ。


 マスコットやら妹とはえらい違いだ。

 さすが相棒。

 僕専用のマジック・ウェポン。


 でも、そうか……


 メイス、近距離専用の打撃系の武器か。

 どうせなら中距離に対応出来る槍とか、贅沢を言うなら遠距離武器が良かったんだけど……

 まぁ、こればっかりは仕方ない。


 すると、持っていて熱いぐらいの熱を持っていたメイスから冷気が。

 そして脳に直接悲しみの感情を訴えてくる。


 ごめん、ごめんって。

 嘘だから。

 お前で十分、いやお前がいい。


 マジック・ウェポンってこんな感情豊かなのか……


 まぁ、実際この子で良かった。

 たとえ有用な武器を形取ったマジック・ウェポンだったとしても、性格がマスコットみたいなやつだったら困ったことになるしな。

 うん、これで良かったんだ。


 ……おかげで、現状を突破出来そうだし。


 メイスを構えヴィランを改めて注視する。

 マジック・ウェポンを警戒したのか、僕がそれを手にしてからヴィランが攻勢を止めお互いの間合い外での睨み合い。


 僕にこれを出させない様にかなり無理をしたのだろう。

 相手にも徐々に疲労が見えてきている。

 黒い炎を拳に纏ってあれだけ激しく動き回ったんだ、疲労して当然だ。

 むしろ、依然として炎を拳に纏ったままで、動きもそれほど落ちてない事を考慮すれば警戒を弱めるわけにはいかない。


 しかし、炎の変形などはやっぱり出来なかったのか。

 出し惜しみした結果、ここまでズルズルきたのか。

 せっかくだし「このままの流れで相棒のデビュー戦!」と行きたいところだが、多少分かってきたとはいえ黒い炎の効果や運用法は相変わらず不明なまま。


 それに、これは子供向けのアニメや特撮じゃ無いんだ。

 解決手段があるのに、それを出し惜しみするような理由はない。

 マスコットとは違い、この子はそれをしっかり教えてくれた。


「ヴィラン、僕が君に天罰を与えてあげる」


「っ、やめ」


 僕とマスコットの会話を聞いていたのだ、何をするかは想像ついているだろう。

 だからこそ消耗の増大覚悟で攻勢を強めたのだろうし。


 でも、今更慌ててどうするのだろうか?

 せっかく僕の間合いの外で警戒していたと言うのに。

 そんな風に慌てるぐらいなら、じっとこっちを見つめてる方がまだましだ。


 ……だって、隙だらけだ。


「セイクリット・アタック」


 僕はただ、その場でメイスを振り下ろした。


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