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『僕、魔法少女になる』①

『僕、魔法少女になる』①

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 いつからか、この世界には超常の力を使い好き勝手暴れる存在が現れるようになった。

 街は破壊され、社会は混乱し、国家はその役割を果たせなくなっていく。

 人類はその未知に抗うことも出来ず、地球という星は人が簡単に死ぬ世界になってしまった。


『魔法少女』


 そんな世界に都合よく現れた、魔法という同じ超常の力を操りながら人類の脅威と相対し人々を守る存在。

 この世界の人々にとってそれはまさに希望の象徴、正義そのものである。

 例えそれが、まだ成人もしていない少女に全てを押し付ける事になってしまっていたとしても……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 僕には自慢の妹がいる。

 可愛くて、運動神経が良くて、頭脳明晰。


 まさに欠点無し!


 本当に同じ親から産まれて来た双子なのかと、たまに疑問に思うことすらある。

 それぐらい、僕とはいい意味で出来の違う妹だ。


 最近では魔法少女なんてモノまで始めたらしい。

 魔法少女だよ、魔法少女。

 世界をヴィランから守っているのだ。

 僕と同い年、まだ子供なのに。

 将来の夢すらまともに定まっていない僕とは大違い、本当に自慢の妹だ。


 ただ、最近はちょっとギクシャクしてるって言うか、距離を測りかねてるところがある。

 妹のことは自慢に思っているし、すごいと尊敬しているのだが。

 それでも、双子の兄妹なわけで……


 今でこそ僕と妹とではものが違うのだと割り切れてはいるが、それまでに多少なりとも葛藤があったのだ。

 その間に少々兄妹仲が拗れてしまった。

 今から考えればみたいなところはあるが、当時の僕には納得し難いところがあった。

 だからまぁ、仕方がないってやつなのだろう。

 当時は、自分より圧倒的に優れた妹相手にどう関わっていいかなんて分からなかった。


 兄妹仲が拗れ、初めこそ多少モヤモヤしたものを覚えていたような気がする。

 すれ違っても最低限の会話すらない、話しかけるのは僕からだし用事がなければ最低限の会話すらしない。

 学校であったことや、ゲームでの出来事とか、今まではそういう些細な物すら共有していたのにと何処か寂しかった。

 でも、友だちの話やネットの話を見るに世の家族って言うのは案外ドライな物らしい。

 そう理解してからは、そんモノなんだと自分の感情にも折り合いが付いていった。


 たから、驚いた。

 久しぶりに妹の方から話しかけられて。


 何事かと思えば、


「お兄ちゃんに相談したい事があるの」


 なんて。


 相談って、なんだろうか?

 妹がわざわざ僕に相談してくるようなことなんて検討も付かない。

 しかも、親に聞かれたくないから部屋で話したい、って……


 妹の部屋に入るなんていつぶりだろうか。

 まだ兄妹仲が良好だった頃も、遊ぶならリビングか僕の部屋だった。

 本当に久しぶりだ。


 間取りこそ僕の部屋とそう変わらないはずだが、随分と雰囲気が違う。

 こう言うのが女の子の部屋ってやつなのだろうか。

 何がって物があるわけじゃないんだけど、それこそ雰囲気的な?


 なんとなく居心地の悪さを感じながら妹の言葉を待つも、どうも言いにくそうにしている。

 普段から結構なんでもはっきり言う妹にしては珍しい。


 そんなに言葉にするのに苦慮するような相談内容なのだろうか?

 だとしたら、ますますなんで僕に相談……

 それぐらい頼りになると思われているんだったら嬉しい事なんだけど、果たして期待に応えられるかどうか。


 しばらくして、妹は口を開いた。


「お兄ちゃん、私の代わりに魔法少女やってくれない?」


「……は??」


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