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風魔法使いの兄妹は、王女殿下に恋をする  作者: ともP
第四章:レオン・ステラ
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043. 大魔法

◆ レイナに肩を貸して、三人は王城へ向けて歩き始める。


街の中心にある巨大な城へと向かった。王城に続く丘はまだ被害にあっていなかった。

ここが、最後の砦というわけか……。レオンはレイナを支えながら歩く。クリスティーナは少し後ろからついてきてくれている。


「グオオォオオッ!!」


遠くから地鳴りのような音が聞こえてきた。そして、その音は徐々に近づいてくる。


「来やがったな……」


レオン達は足を止めて、城の方を向く。

そこには、レオンが今まで見たこともないほどの巨体な魔物が立っていた。


全身は漆黒の鱗に覆われていて、体長は百メートルを超えるだろう。翼を広げればもっと大きいかもしれない。

尻尾も長く、先端は鋭利な刃物のようになっている。頭には二本の角が生えていて、背中には大きな羽がある。

口には鋭い牙があり、目は赤く光っていた。


「あれが……、刻龍なのか……」


「あぁ、そうだ。あいつこそが――、」


クリスティーナは両手を天に掲げる。すると、空に大きな魔法陣が現れる。

魔法陣からは雷が放たれた。それは一直線に刻龍に向かっていく。

だが、刻龍は、黒い魔力の壁を作って攻撃を防いだ。


「嘘だろ……」


レオンとレイナはその恐るべき魔力に驚くしかなかった。クリスティーナはもう一度手を掲げると、次は氷の槍が降り注ぐ。だが、それも刻龍に届く前に消えていった。

クリスティーナは剣を抜いて、詠唱をし始める。


「我が命に従い、敵を撃て……。我は神の名のもとにこの剣を振るうものなり……。光の刃よ、敵を切り裂け」


眩い光が辺りを包み込む。レオンは目を開けることができないほどに強烈な光だった。

しばらく経ってからゆっくりと瞼を開く。目の前ではクリスティーナが剣を構えて立っている。


「駄目か……」


だが、刻龍の体には傷一つついていなかった。刻龍の足元を見ると地面が大きく凹んでいるのが分かる。

どうやら、今の一撃でクレーターを作ったようだ。


刻龍が吠える。それと同時に、刻龍の体から闇色の波動が発せられる。


「まずい」


クリスティーナは急いで防御魔法を展開するが、すぐに破られてしまう。

三人とも吹き飛ばされ、レオンはレイナを庇いながら地面に転がる。


「ぐっ……」


「レオン、大丈夫!?」


「俺は大丈夫だ。レイナは!?」


「私も大丈夫!」


「二人とも無事ならいい。それより――、」


クリスティーナがこちらに駆け寄ってくる。


「二人共、一旦離れろ。私が時間を稼ぐ!」


「そんな、無茶だ!」


「ここで止めなければ、」


クリスティーナはレオンに何かを伝えようとしたが、途中で言葉が途切れる。

刻龍はクリスティーナに狙いを定めて突進してきたのだ。

クリスティーナは剣を盾にして受け止めようとするが、簡単に弾き飛ばされてしまう。


「くそ!」


レオンは咄嵯の判断でレイナを抱えながら、刻龍の攻撃を避けていく。

刻龍の体は硬い。生半可な攻撃じゃ傷をつけることはできない。

それこそ、刻龍に致命傷を与えるためには、魔法かもしくは特別な武器が必要だ。


やるしかないか……。


レオンは剣を地面に突き刺さしながら、剣に語り掛ける。薄っすらと幻影が見えた。

紫髪の少女は残念そうにレオンに話しかけてくる。


「本当にやるつもりなの?」


「あぁ、俺の命をやる。だから、力を貸してくれ」


「貴方の覚悟、受け取ったわ。でも、力が足りないわ。それでも、あの龍は倒せない」


「なら、私の命もあげるから、それで足りる?」


レイナが俺の前に立った。少女は驚いたような表情を浮かべたが……、レイナの表情をみて本気と受け取ったのか何も言わずに肯定する。


「待ってくれ、レイナが犠牲になる必要なんてない!」


「私さ、レオンのいない世界なんて嫌だよ。生きる価値なんてないよ」


「レイナ……」


「それにね、レオンが死ぬくらいなら私は死んでもいいの。だって、レオンがいない世界で生きていても意味がないもの」


地面に刺さった剣を握るレオンにレイナが手を添える。そして、二人は同時に詠唱を始めた。


「レイナ・アルフォードの名のもとに、契約を交わす。その力を今ここに示せ! 」

「レオン・ステラの名の下に、契約を交わす。その力を今ここに示せ!」


「契約は成立した。剣を構えよ」


「レイナ、本当に良かったのか?」


「うん」


「後悔はないんだな?」


「うん」


「レイナの気持ちはよく分かった。俺もレイナがいない世界は嫌だ」


レイナは笑顔を浮かべてレオンに抱き着いた。刻龍は空高く舞い上がると、急降下してくる。

レオンとレイナは剣を握りしめて、空を見上げた。


二人の体が光に包まれる。そして、落ちてくる龍に向けてその光は向けられる。

刻龍は鋭い爪を立てて、地上へと向かってくる。


「グオオォオオッ!!」


刻龍の叫び声と共に大地が揺れた。レオンは空に向かって剣を突き上げる。


「喰らええぇー!!」


剣からは膨大な魔力が流れ出す。それは、刻龍のブレスを凌駕する魔力量。

地面に倒れていたクリスティーナは立ち上がる。


「な……、レオン、レイナ様――、」


光の柱が刻龍を飲み込んでいく。刻龍は悲鳴を上げながら暴れまわるが、やがて動きが鈍くなり、そのまま地面に落下した。


光は収まり、刻龍は石に封印され、その場に落ちた。

クリスティーナは呆然と立ち尽くしていた。

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