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風魔法使いの兄妹は、王女殿下に恋をする  作者: ともP
第四章:レオン・ステラ
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035. エアリス

◆ 一週間後――、ようやく学園の閉鎖も終わりレイナとの束の間の日常にレオンは戻っていた。レオンはレイナと一緒に学園に向かった。


「ようやく学園も元通りですね」


「事情聴取面倒でしたけどね」


「レオンはこの学園を守ったんですから誇っていいですよ」


レイナは笑顔を浮かべながらレオンにそう言った。そんな微笑ましい会話の雰囲気をぶち壊す怒声が教室の方から聞こえてくる。


「お前はいつになったら分かるんだ」


教室の中に入るとラインハルトが妹のアメリアに怒鳴りつけているのが見えた。


「兄様、ごめんなさい……」


「いい加減にしろ。お前は、どうしていつもそうなんだ?!」


レイナはその様子を唖然としながら見ていることしかできなかった。だが、レオンは真っ先に教室の中に入ってラインハルトを止めに入った。


「やめろ!」


「邪魔をするな」


「こんなことをしても意味はないだろ」


「うるさい!お前が俺の何を知っているっていうんだ!!」


ラインハルトは妹の胸ぐらを掴んで投げ飛ばす。


「二度と俺の前に現れるな」


そう言って、ラインハルトは教室を出ていこうとする。だが、レオンはその様子を見て更に頭に血が上り、ラインハルトの肩を掴んで教室に留めた。


「待てって言ってるだろ!」


レオンはそう言って、ラインハルトを睨みつける。


「なんだ、お前は……、部外者が口出しをするんじゃねぇ」


ラインハルトが剣を抜いた。もうラインハルトは正気を失っているとレオンは悟った。貴族が剣を構えていいのは誰かを守るときだけだ。


「妹に暴力を振るうなんて間違っているとお前は思わないのか?」


「あぁん、てめぇ……」


ラインハルトは剣を振り上げると、そのまま振り下ろした。だが、その剣はレオンには当たらなかった。風の加護、風切により、剣の軌道を変えたのだ。


「くっ……」


「おい、落ち着けよ」


「ふざけるなよ……」


「なんの話をしているのか知らんが、まずは冷静になれ!」


「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ラインハルトはもう一度剣をレオンに向かって振る。今度は軌道を変えることができず、剣先がレオンの頬を掠める。そこから血が流れ出す。


「くそ……、避けやがったか」


「おい、目を覚ませ!」


「うるせえんだよ!!どいつもこいつも馬鹿にしやがって、俺は貴族だぞ!!」


「はぁ……」


「俺はな、昔から優秀だったんだ。親父だって俺のことを褒めてくれた。なのに、なんで今更居なくなったはずの姉貴が戻ってくるんだ。全部、あの女が悪いんだ。あいつさえいなきゃ、俺は幸せだったのに、なんでだよ、ちくしょう……」


ラインハルトが泣き崩れると、教室の中にいた生徒たちは、彼に同情するようにこちらに視線を向けた。これは、洗脳魔法の一種だとレオンは気づいた。


「俺は、俺は悪くない。悪いのは、俺から何もかも奪ったあいつなんだ。だから、殺さないといけないんだ」


「もういい。分かった」


レオンに向かってラインハルトが突っ込んでくる。他の生徒も同時に押さえ込もうとしてくるが、それを全て風魔法で拘束する。そして、ラインハルトの首を掴むと、床に押し倒した。


「がはっ……」


「少し眠っていてくれ」


レオンは、ラインハルトをそのまま気絶させた。気絶させると同時に教室の窓が割れ、一人の少女が姿を現した。


「あら、もう終わっちゃったのね」


「お前は……」


「エヴァンは死んじゃったのね。可哀想に……。でも、安心して。ここにいる全員は私が殺してあげるから」


「エアリス!!」


「そう私は、エアリス。王都革命派閥幹部の一人よ。エヴァンが最後に残した魔法陣を上手く活用させてもらったわ。フフ、ラインハルトは馬鹿な男ね」


エアリスがそう言うと、周りにいた生徒たちが一斉に倒れていく。レオンは剣をエアリスに向ける。


「そんなに構えなくても大丈夫よ。戦うつもりはないから。それに、ここで暴れたら建物が崩壊しちゃうしね」


「何が目的だ?」


「簡単なことよ。私の目的は、この国をリセットすること。その為に、刻龍を復活させ、国王を殺し、王女を殺す。それで、私の計画は完成するの」


「刻龍?」


「そう、私たちが崇高なる目的の為には世界を滅ぼした龍を復活させる必要がある。それが、刻龍」


「……」


「まぁ、簡単に言えば、この国は、腐っているの。一部の人間だけが富を得て、それ以外の人間は奴隷のように扱われる。それじゃダメなの。この国のシステムを変えなければならないの」


「それで、国を壊すというわけか」


「理解が早くて助かるわ」


「一つだけ分からないことがある」


「何かしら?」


「なぜ、そこまでして、お前はこの国に復讐したいんだ?」


「そうねぇ、強いていうなら、私が幸せになるためかしら」


「幸せ?」


「ええ、幸せになりたいから、そのために邪魔なものを排除する。私は貴族が嫌いだったわ。元々、身分なんかに興味はなかったわ。貴方もこの学園にいたのなら、よく分かるはずでしょ?」


エアリスは机に腰掛けながら、ゆっくりと教室を見渡してそう言った。


「ここにいる人間は殺されても文句が言えないようなことばかりしてきた連中よ。親がしてきたことを含めてね」


「ふざけるな!それなら、お前も死ぬ覚悟はあるんだろうな?!」


「勿論よ。そのための準備は既にできているもの」


「なら、お前の野望はここで潰える」


「ふーん、できるかな?」


エアリスはそういうと、姿を消した。レオンは一目散にエアリスを追おうとする。


「レオン!」


「レイナはここで待っていてくれ」

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