034. 作戦会議
◆ レオンとレイナは馬車に乗り込むと、急いで王城へと向かった。
レオンとレイナが王城に戻ってくると、すぐに謁見の間に向かった。そこには、国の重鎮たちが勢揃いしており、その中には騎士団のバルバロッサもいる。
「おぉ、戻ったか。ご苦労であった」
国王は玉座から立ち上がると、二人を労うように言った。
「帰って早速で悪いのだが王都での出来事を報告していただきたい」
レオンはノアとの戦いの一部始終を報告した。
「なんと……、それは真なのか?」
「はい。奴と直接戦いましたので間違いないかと」
「まさか、悪魔が人間と手を組みこのような行動を起こすとは……」
「陛下、今一度我々にチャンスを頂けないでしょうか」
レオンの言葉を聞いた騎士たちは一斉に立ち上がり、王に進言した。
「よい。皆の気持ちはよく分かった。だが、奴らは手練れだ。そう簡単に倒せる相手ではない」
「で、ですが……」
「分かっておる。だからと言って諦めるわけにもいかぬだろう」
王はそう言って笑うと、レオンに向かって頭を下げた。
「レオン、どうか力を貸して欲しい」
「頭をお上げ下さい。私ができることならなんでも致します」
「そうか。ありがとう」
こうして、騎士団たちによる悪魔の討伐作戦が始まった。エヴァンを抜く、騎士団の幹部は残りエアリスを入れて四人いる。その四人を含め、悪魔であるノアを討伐するとなるとかなりの戦力が必要になる。レオンは一度アルフォード家の屋敷に戻り、準備を整える。鏡で見た自分の後ろには、色濃く闇の影が見える。その姿はレイナに見えてないのか、見ないふりをしてくれているのか分からない。だが、あまり心配はかけたくなかった。「レオン、破れてしまったローブ縫い直しておきましたよ」
レイナはそう言うと、縫い直してくれたローブを差し出した。
「あぁ、ありがとう」
レオンは礼を言うと、レイナが縫ってくれたローブを着た。
「やっぱり似合いますね」
「あの……」
「レオン、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません……」
(レイナを見ると心が痛む)
ずっと心配させてるのに、何も言わずに黙っているのは良くないと思いながらも、レオンは自分が背負っている真実をレイナに話す勇気がなかった。
「レオン、どうかしましたか?」
「そ、そんなことは」
「何かあったら、私はいつでも相談に乗りますからね」
レイナは優しい笑みを浮かべながら、レオンの手を握った。
(俺はレイナには一生敵わないな)
レオンはその手を握り返すと、「ありがとうございます」と言った。レイナとの会話を終えると、ノアと戦う為の準備を始めることにした。
レオンは、自室から一本の魔法剣を持ち出し、鞘から抜く。そして、自分の奥深くに眠る魔力を流し込んでみる。すると、刀身が黒く染まった。
「やはり、闇属性か……」
魔力を流し込むと、黒い魔力が刃となって現れる。そして、黒い炎のような物が纏わりついていた。この剣は、元々父が使っていた魔剣だった。
それをレオンが譲り受けたのだ。しかし、今は黒い魔力が溢れ出ており、とてもじゃないが普通の人間が使える代物ではなかった。
彼らと渡り合うのには、この剣の力が必要不可欠だ。
その剣の名は【レーヴァテイン】――、
かつて、龍を破り、国を救った英雄が持っていたとされる剣の名前だ。レオンは、父の形見であるその剣を携えて、王城へと戻る。
王城に戻ると、騎士団の幹部たちが揃っていた。
「レオン様、お待ちしておりました」
「はい。それで、どういった作戦を立てるつもりですか?」
「王都の郊外にある【嘆きの洞窟】と呼ばれる場所に、大量の魔物の反応があり、ノアという悪魔がそこを牛耳っていると思われます」
「【嘆きの洞窟】……」
そこは、王都の近くにある迷宮の一つで、中には強力な魔物が多数生息していると言われている。
「以前から魔物を討伐するための作戦を騎士団内で考えてはいましたが、エヴァンとエアリスの一件で、我々も早急に作戦を決行する必要が出てきました」
「そうですね……」
「そこで、レオン様にもこの作戦に参加していただきます」
幹部の一人がレオンに地図を見せる。そこには、王都郊外の森の中に赤い印が書かれている。
「これは?」
「そこに【嘆きの洞窟】の入り口があるのです」
「なるほど……。確かにこのルートからなら近いですね」
「ただ、このルートは先日の豪雨で落石があり、現在その除去作業をしてる最中です。なので、除去作業が終わり次第すぐに出発して欲しいのです」
「分かりました」
「それまではレイナ様の護衛任務を継続してもらいたいと思います」
「承知しました」
「それでは、よろしくお願いします」
こうして、レオンと騎士団によるノア討伐作戦が幕開けしようとしている。




