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風魔法使いの兄妹は、王女殿下に恋をする  作者: ともP
第四章:レオン・ステラ
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027. 学園編入

◆ 任命式も終わり、レオンは屋敷へと戻った。


屋敷に帰ると、金色の長い髪を腰まで垂らした少女が、食い入るように俺のことを見ていた。どこかレイナに似て整った顔立ちをしている。


「あの、どちら様ですか?」


「わたしは、ティナ。第二王女――、ティナ・アルフォード」


そう言うと、ティナは目を輝かせて近づいてきた。


「レオンは強いんだね」


「決闘を見てたのか?」


「うん。凄かった」


ティナは満面の笑みを溢している。


「そういえば、君はここで何をしてるんだ?」


ここは屋敷の一番端で、誰も使っていない空き部屋ばかりと聞いている。地下の倉庫には沢山の蔵書が置いてあるとは聞いているが……。


「それはね、秘密だよ」


ティナはそう言いながら微笑むと、レオンから離れる。そして、レオンに手を振って地下の方へ小走りで走って行ってしまった。


「何だったんだよ」


レオンは首を傾げながら呟いた。



◆ 翌日、レオンはレイナの通う学園への編入手続きを済ませると、すぐに王都に向かった。国王からはレイナの護衛なのだから、学園に通うのは当然だろうと言われてしまった。


「ここが、レイナの通う学園」


レオンは巨大な門の前で立ち止まる。


「あら、貴方はどなたかしら?ここは関係者以外立ち入り禁止なんだけど」


一人の女性がレオンに話しかけてくる。その女性は、銀髪のロングヘアーに眼鏡をかけた知的な雰囲気を纏った女性だった。


「すみません。自分は今日からこの学園に編入することになったレオン・ステラといいます」


レオンは女性に頭を下げる。


「あー、そういう事ね。私はクリスティーナよ。よろしくね」


「はい、こちらこそ」


「それじゃ、案内するわ」


「お願いします」


レオンはクリスティーナについて行く。すると、一つの教室の前に辿り着いた。


「ここが、あなたの入るクラスよ」


レオンは扉を開け中に入る。そこには、二十人程の生徒がいた。レオンはその中でも異様に目立つレイナの姿を見つけてちょっとだけホッとした。


「それでは、自己紹介をしてもらえるかしら?」


「はい。今日から皆さんと一緒に学ぶことになりましたレオン・ステラです。これから宜しくお願いします」


レオンが挨拶を終えると、パチパチと拍手が鳴り響く。


「それでは、レオン君の席は一番後ろの空いてる所に座ってください」


レオンは指示された通り、窓際の最後尾の席に座る。


「ねえ、君どこから来たの?見たことないけど」


隣の席にいた茶髪の少年が声をかけてきた。


「ここから遠い国だよ」


「この国は魔物に囲まれてるから他国から人がやってくることはないでしょ?」


「冗談だ」


「へー、君面白いね。僕はアランっていうんだ。仲良くしようよ」


「ああ、よろしくな」


レオンはこの貴族特有の世界の常識を知らないため、怪しまれることがないように注意していた。特に元冒険者だというのは伏せていようと思った。


それから、授業が始まった。

一時間目は歴史の授業で、王国の歴史や、貴族制度などについて学んだ。

二時間目からは算術の授業で、数字を使った計算の仕方を学び。

三時間目の魔法理論は魔法の基礎を学ぶ内容で、初級魔法の基礎を学ぶ。


どれも退屈で欠伸が出そうなほど平和的で何も刺激のない時間だ。レオンはずっとレイナのことを観察していた。


レイナは真面目な性格なのか、先生の話を聞き逃さないように真剣な表情で聞いていた。


そして、四時間目が終わり、昼休みの時間になるとレイナが席にやってきて、昼食を一緒に食べようと誘ってきた。


「レオン、行きましょう」


「えっと、何処に行くんですか?」


「学園の屋上です。気持ちいいですよ」


レオンはレイナに連れられ、校舎の最上階にある屋上へとやってきた。そして、二人はベンチに腰をかける。


「学園内でもこうしてレオンと一緒に入れて、私は幸せです」


「大袈裟ですよ」


「そんなことないです。私、人見知りなのであんまり友達がいないんですよ」


レイナは少し寂しげに微笑んだ。


「それは、レイナが王女様だから話しかけにくいだけだと思う」


王女と関わるのを面倒だと感じる人は多いんだと思う。


今日の一日だけでも、王族という身分がいかに貴族にとって扱いにくい存在かをよく表しているとレオンは思った。まさに、レイナは学園にとっての異分子であるのは間違いないが……、それが如実に表面化するこの学園もまた歪である。


「そうかもしれませんね」


「レイナの優しさに皆が気づいていないだけですよ。少なくとも、俺はそう思っていますよ」


「レオン……」


レイナは顔を伏せて表情を隠した。


「どうかしました?」


「いえ、なんでもありません。それよりもお弁当を食べてしまいましょう」


「そうですね」


それから、二人で他愛もない会話をしながら昼食を楽しんだ。

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