014. 復讐の炎
◆ 王都から離れたところにある【龍の巣】と呼ばれる洞窟の中で、一人の男が笑っていた。
「もう負けない、あの糞女」
男は、魔法陣の中心に立った。それを見つめる二人がいる。
「魔法陣よ、是に応じよ」
魔法陣が光り輝き、やがて男の姿が変わっていく。毛皮を纏い、魔物堕ちした元貴族の姿がそこにはあった。
「俺は強くなった。今度こそ、復讐してやる」
男の目には憎悪が宿っていた。全ての人間を殺して奴も殺す。それだけが今の目標だった。男は王都【フォーリナー】に向かって歩き出した。
◆ 王宮のベッドで目を覚ましたサラはどこか清々しい気持ちでいた。
サラは、身支度を整えてから朝食を食べるために食堂へ向かった。
食堂に入ると、ティナが椅子に座っているのを見つけた。ティナは、こちらに気がつくと手招きをしてきた。
「おはようございます。ティナ様」
「サラ、おはよ」
「お隣、失礼しますね」
「うん」
ティナの隣に座ると、サラはティナに質問をした。
「今日は何をされる予定なのですか?」
「んー、特に決まってないかな。サラは?」
「私も特段何もありませんね」
「そっか、なら一緒に買い物でも行かない?」
「構いませんが、何を買いに行くのですか?」
「んー、服とかかな。サラって服にあんま興味ないでしょ?」
「確かに……、あまり気にしたことはありませんでした」
「サラは顔立ち整ってて綺麗なんだからちゃんとした格好しないとダメだよ」
「はぁ、分かりました」
それから二人は、服を着替えるために一旦別れた。サラは、クローゼットを開けると適当に選んで着替えた。
(やはり、女性物の洋服はよく分からない)
サラは、冒険者時代は白いローブを身につけて生活していたため、洋服など着れれば何でもいいと思っていた。しかし、そんなことを言えば……、きっと、ティナに怒られてしまうだろう。仕方がないので、サラは適当なワンピースを着て部屋を出た。
ティナの部屋の前に着いたサラは、ドアをノックした。すると、中からティナの声が聞こえてくる。
「入っていいよ」
「失礼します」
サラが部屋に足を踏み入れると、ティナは固まっていた。
「あの……、何か変でしたか?」
「ううん! 似合ってるよ。やっぱり、サラにはそういうのがよく合うと思ってたの」
「ありがとうございます」
「よし、じゃあ行こうか」
「はい」
こうして、二人は王都の近くにある街【アーデント】に向かった。