第19話『寝取られ男と幼馴染の試作品一号』
「こ、これが発明品……か!?」
「あぁ。見てくれよ、試作品だけどよくできてるだろう!!」
ボーグが案内してくれた河原。
そこには四輪の手押し車の上に搭載された4メートルほどの巨大な筒が存在していた。
筒にはいくつも栓のようなものが取り付けられており、栓が塞いでいるパイプのようなものの間からは蒸気が絶え間なく漏れ出ている。
更に筒は後部が革製の細長い筒状のチューブが大きめの円筒状の金属タンクに繋がっていた。
「文献を漁っていたら蒸気砲というものを見つけてね。二百年ほど前に帝国の研究者が作っていたらしい。まぁ空気砲のほうが安定性がいいから成り代わられたらしいんだけど、僕がここに再現したんだ!」
「しかしまぁ、革のチューブはともかくこれとかこれ……全部金属だろう?魔石とかもどうしたんだ」
「金属は錆びついて家の倉庫にあったいろんなものとか村の人から貰えたのをかき集めたんだ。鉄とか青銅とか……ぶっちゃけ混ざり物だらけさ。鍛冶屋のおじさんに無理言って設備も貸してもらって……魔石は父さんから誕生日プレゼントで貰ったお守りのペンダントから外したやつを使ってるよ」
「ペンダント……」
親のプレゼント、しかも精霊教のお守りから取り外した魔石を使うっていうのもだいぶいかれてるが、それでも作ってしまうってことにボーグの末恐ろしさを感じてしまう。ついでに鍛冶屋のおじさんってことはデイブさんか?まぁ確かにあの人なら貸してくれそうではあるけど。
「まぁ火の魔石だったから水は川から汲んだやつを使ってるよ。タンクに水を一杯ためて、火の魔石に簡単な魔術式を上書きして刻んでるんだ。そして蒸気が砲後部の貯蔵タンクに溜まって……チャージできたら一気に開放!そしたら理論上は砲弾を放てるはずさ」
「理論上?」
そう俺が言うと、ボーグはあはは……と頭をポリポリかしながら笑う。
「実はまだ実射は試してなくてね。それに、ここの河原には村の人が来ないけど割とデカい発射音がするって書いてあったから二の足を踏んでるんだ」
混ぜ物だらけの金属で作った手作り感満載の蒸気砲。
正直暴発の未来しか見えないんだが、天才ボーグはそこらへんも考えてるんだろう。
「砲弾も自作したのか?」
「いや、軍用の火薬砲と一緒で石を砲弾にして発射するらしいからその通りに作ってるよ。まぁ鉄弾のほうがいいんだろうけど、そこまで余裕もなかったからね」
プシュー、と蒸気がはみ出して噴いている手作り蒸気砲。ていうか、さっきの言葉からすると……。
「なぁ、ボーグ。まさか今日実射試験するつもりだったのか?」
「あぁ!だからついでと思ってジョンも呼んだんだ、僕より鍛えてるだろ?」
蒸気砲の後ろに付けられた、これまた手作りのトリガーを見る。建て付けが悪いのかブルブル震えている。
「暴発しないんだよな?」
「…………理論上は」




