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第25話『寝取られ男はゴブリン狩りの準備をする』

 ゴブリンを倒すには3つのやり方がある。

一つは火の魔術や油を使った火炎放射器を使い洞窟内を燃やすこと、もう一つは洞窟の入口前で毒草を燃やして煙を洞窟内に充満させて毒殺または洞窟外へ出てきてから殺すこと、最後はマンパワーで洞窟内に突撃して一匹ずつ殺すことだ。


 準備はなるべく早くしないといけないから1つ目は無理だ。

3つ目も俺たちが参加したところで焼け石に水だから効果はない……だから、2つ目をやるしかない。


 ゴブリンは人間に比べて体格が小さい。

だから、人間なら死なない程度の毒でも連中にとっては致命になり得るのだ。


 もっとも、毒関係なく煙を出すのでだいたいは呼吸できなくて運良く毒に耐えたやつは外へ出てくる。そういう連中はだいたい弱っているので、適当に叩いて殺せばいい。いくら普通より知能のあるゴブリンでも弱ればただのゴブリン以下だからな。


 だが、まずは父さん率いる自警団の人たちを先に外へ出さないといけない。いくら毒が人間には致命ではないとは行っても窒息しては元も子もない。毒性を弱くしているのはあくまでも有事の際の保険に近い。


 それに、ゴブリンリーダーの率いるゴブリンたちは知能があるから無理に追撃には向かわないはずだ……そこを突く。


 俺たちがが逃げたあと、ゴブリンたちは奥へ戻るはず。入り口で人間が待ち伏せていたら各個撃破されかねないからな。

だが、そのあと送られる毒煙は洞窟内に流れ込む風に乗ってゴブリンたちを殺しに向かう。あるものは吐いて、あるものは体が麻痺してその場にうずくまるだろう。


 しかし、どちらにせよ父さんたちを逃げさせるために一人が洞窟内へ行く必要がある。それに関しては俺がすればいい……一番戦闘力が現状高いのは俺だろうしな。


 どこか淀んだ溜め息を吐く。

緊張しているのか……恐怖してるのか。まぁ、今まで鍛錬していた成果を見せるときだと思えばいい―――それにこんなこと、何度でも体験したことだ。



「ジョン!毒の枝見つかったよ!」

「アカニセイバラだ。青い方は毒性が強いからね、暗いし吟味するのに苦労したよ」

 30分ほど後だろうか?クソビッチとボーグが並んで戻ってきた。

その手には茨……といっても棘などの生えてない赤色の枝が腕一杯に握られている。


 洞窟の深さを軽く見た感じでは、ゴブリンを排除しながら進んでいるとしたらそろそろ最深部に近い時間帯。ほぼぎりぎりだ。

準備ができたなら、あとはなるべく早く行動するしかない。


「よし、ならエリーゼは風送りを。ボーグは――火打ち石は持ってるか?」

「火打ち石はないけど、ランタンを叩きつけたら火くらい簡単につくさ。念の為落ち葉も積んでおくよ」

「私も任せて!」

 なら行こうか。

ゴブリン狩りの始まりだ。

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